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ふたつの内閣改造(2)〜ブルキナファソ、社会の不満とテロのはざまで

2019-01-29 07:30:00 | アフリカ情勢
先週、大ニュースの陰で進行した、ふたつの内閣改造。きょうは二つ目のブルキナファソについて。

ふたつの内閣改造(1)〜トーゴ、大統領選挙まであと一年の新顔ぶれ


2015年のマルク・クリスチャン・カボレ大統領誕生から政権を支え続けてきたポール・カバ首相。19日にカボレ大統領に辞職を願い出た。大統領はこれを受理し、内閣が総辞職した。これは、先のトーゴのケースと異なり、あらかじめスケジュールされていたものではなかった。その舞台裏については「何も語られていない」と報じられるものの、ある程度読みとることができる。

ブルキナファソは建国以来ともいえる、未曾有の困難に直面している。なにはなくとも治安問題、テロとの戦いである。すでにこのブログでも述べているように、ブルキナファソの北部は、2015年ころから、マリ北部のイスラム武装勢力によるテロ、襲撃の舞台となってきた。そしてその脅威は2018年に入って同国東部に広がり、連続テロはとどまるところを知らない。

ブルキナファソで何が起きているか?
第一話 
第二話

昨年末の12月31日、ブルキナファソ政府は全45県のうちの約1/3にあたる14県に対し、非常事態宣言を発出した。1月15日には北東部の高山からカナダ人技術者が誘拐され、ほどなく殺害された。止まらない連続テロ。カボレ政権は、財政、外交関係、軍の指揮・練度・統率、市民保護・・・率直に言って、有効な手立てを打てないできた。

(首都ワガドゥグ中心部のスプレンディッドホテル、2011年撮影。その後2016年にはテロ襲撃を受けることになるのだった・・・。)


もう一つは社会の不満である。困難な中でも6%台の成長を続ける、一見好調な経済。しかしその配分は国民には回ってきていない、というのが国民の不満だ。近年、教育や保健サービスなど、公職者のストやデモが常態化してきた。さらにこれに追い打ちをかけたのが、昨年末に大きな問題となったガソリン代の大幅な値上げであった。カボレ大統領は財務大臣に対し、「説得力のない行き過ぎた値上げ」 « exagérée et inexplicable »だとレターを持って説明を求める場面もあった。労働者団体や市民社会組織はすでに「臨戦態勢」、大統領は年末の辞の中で、国民に危機事態への対処に団結して望むべく、「一時休戦」を呼びかけた。


このような状況の中、国民からの政府に対する批判、閣僚辞任の要求などが先鋭化していた。外電メディアの報道によれば、カボレ大統領は「政権に風を吹き込み、アクションを新たにしたい」意向があったという。それが今回の内閣総辞職の直接の引き金になったと思われる。

21日、カボレ大統領はクリストフ・ダビレ氏を首相に任命した。エコノミスト出身、西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA)理事、コンパオレ政権下で保健大臣、高等教育大臣などを歴任した。経験と経済政策への手腕が買われたものと報じられる。

注目の国防大臣には、シェリフ・ムミナ・シ氏を抜擢。モーリタニアのネマ生まれのジャーナリスト。軍人出身ではない。2014年の国民革命後、クーデターでさらに政治的混乱が深まる中、暫定政権の「国民移行期評議会」(Conseil national de la transition: CNT)議長をつとめた。また2015年のクーデターでミッシェル・カファンド暫定大統領、イサック・ジダ暫定首相がとらわれの身となると、6日の間、暫定大統領を務めたこともある。

大統領のシ新大臣への期待は国民の信頼回復。市民による革命後の移行期を支えた実績で、国民の信頼を勝ち取りたいねらいと見える。


28人の閣僚で再出発するダビレ内閣。テロの脅威、社会的緊張の間に揺れるブルキナファソの困難にどう立ち向かうのか。

(おわり)


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