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祝・アメリカ合衆国独立記念日〜超大国のアフリカ戦略、いずこへ?

2016-07-04 07:30:21 | アフリカ情勢
きょうはアメリカ合衆国のナショナルデーだ。アメリカ人の友人諸氏にお祝いを申し上げたい。

「ナショナルデー」とは、外交儀礼上、その国の建国を祝い、主権を認め合う重要な機会。アメリカでは「独立記念日」が当てられている。その意味では多くのアフリカの国々と一緒だ。でももっと正確に言えば、1776年に大陸会議にて「アメリカ独立宣言」が採択されたことを記念したものだそうだ。


そのアメリカ、アフリカとの関係が近年特に重要なものとなっている。

民主主義と自由を標榜しつつも世界的な覇権を守りたいアメリカ。大義を立てながらもビジネスチャンスをさらに着実にものにしていきたいアメリカ。アフリカにもゆかりがあるオバマ政権、アフリカに対しても積極的なアプローチが見られてきた。アメリカとアフリカを結ぶ枠組み、ツールも深化、多様化した。

(オバマ大統領歓迎のシャビーな垂れ幕。2013年6月セネガル・ダカールにて。)



軍事的には米軍アフリカ部隊、通称’AFRICOM’(アフリコム)の強化。こちらは先日ログにさせていただいた。

米軍、アフリカにおけるテロとの戦い(2)~’AFRICOM’の正体

特に対マリ、サヘル地域でのテロ作戦でのプレゼンスは少なくない。これを意識した西アフリカ多国籍統合定期訓練「フリントストック」は特徴的な動きだ。


経済面は大義を立てるために、ガバナンスとセットで議論されることが多い。特徴的なのは「ミレニアム・チャレンジング・アカウント(MCA)」。

特に2002年、ブッシュ政権からスタートしたイニシアチブ。対象はアフリカに限らないが、アフリカの国にも多く適用されている。対象国を民主化、貧困、経済・社会政策、政策実行能力など多角的な指標で評価。ハイスコアとなった国は「コンパクト」という合意を結び、晴れて対象国となる。スコアには達しないが、大幅な改善が見られる国は「スレッシュホールド」(threshold: 「閾値」)合意締結国として、限定的ながら支援を受けられる。パワーアフリカなどのイニシアティブも、MCCによるところが大きい。

現在、対象国はアフリカに、ベナン***、ブルキナファソ*、カーボベルデ**、コートジボワール**、ガーナ***、ケニア、レソト**、リベリア*、マダガスカル**、マラウィ*、マリ**、モザンビーク**、ナミビア**、ニジェール*、ウガンダ、ルワンダ、サントメ・プリンシペ、セネガル**、シエラレオネ、タンザニア*、トーゴ、ザンビア*の20ヵ国。

*** パワーコンパクト締結国
** コンパクト締結国
* コンパクト・スレッシュホールド締結国
無印 スレッシュホールド締結国


2006年にガンビアがステイタス剥奪。マリが加わった。翌年にはマラウィが対象となっている。


もう一つはAGOA、「アフリカ成長・機会法」( 'African Growth Opportunity Act')である。アフリカの成長加速化のため、米国向けの輸出品の関税の減免を行うというもの。こちらもMCC同様、民主化や人権、開発政策、労働雇用の健全性など、'AGOA eligibility'により選択的に適用される。

2000年当初からの締結国は31カ国だ。
南アフリカ、ベナン、ボツワナ、カメルーン、カーボベルデ、コンゴ(共)、ジブチ、エチオピア、ガボン、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、ケニア、レソト、マラウィ、マリ、モーリシャス、モザンビーク、ナミビア、ニジェール、ナイジェリア、ウガンダ、ルワンダ、サントメ・プリンシペ、セネガル、セイシェル、スワジランド、タンザニア、チャド、ザンビア

この後の追加加盟国は、マダガスカル(2001年)、シエラレオネ(2002年)、アンゴラ、コンゴ(民)、ガンビア(2003年)、ブルキナファソ(2004年)、ブルンジ、リベリア(2006年)、モーリタニア(2007年)、コモロ、トーゴ(2008年)、南スーダン(2011年)、コートジボワール(2012年)となっている。

ただし、ギニアは2010年に資格停止、2012年に復帰。ニジェールは2010年に資格停止、2011年に復帰。マダガスカルが2010年に資格停止、2014年に再開。ギニアビサウが2012年に資格停止、2014年に再開。マリが2013年に資格停止、2014年に再開。

ガンビア、南スーダン(2014年)、ブルンジ(2015年)は現在も資格停止中だ。


いずれもアメリカは対象国には民主主義の「お墨付き」を与え、支援を与える格好だ。しかしそのクライテリアと判断が正しいのか、疑念が呈されることもある。また事実上はアフリカからの輸出品目は限られているのが現状。さらにこのような恩恵が、アフリカへの無形の干渉ではないかとの声も聞かれる。アフリカの国と超大国は「非対称」な関係が成り立っている。


いずれにせよ、アメリカのアフリカ攻勢はここまで優先政策として取り組まれてきた。そのアプローチは、あくまで大義をかざして、アフリカ側にプレッシャーを与えるような格好になっていたとも言える。アフリカにとっては、好むと好まざるとに関わらず、「アンクル・サム」の支援を必要としているのが現実だ。

そしてその超大国は大統領選挙に揺れる。もしトランプ氏が当選したら、アフリカ戦略はどうなるのか?AFRICOMやAGOA、MCCは?!アフリカにとっても気になるところである。

(おわり)

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