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ベルのきもち

日常のささやかな幸福感を書いていきたいと思います。

アメリカミステリー『シャイニングガール』

2014-04-29 09:02:42 | 本の紹介
byローレン・ビュークス。木村浩美訳。早川書房。

悪夢のようなミステリーでした。
ハーパーがその『家』を見つけたのは・・・1931年のことで、以来、彼は殺人に手を染めることになる。
『家』は最初、ただの空き家にしか見えなかったが・・・別の時代への出入り口だった。
大まかにそれらの時代を分けると・・・ハーパーが『家』を見つけた1931年前後、
後にハーパーに殺されかける少女、カービーと出会う1974年前後、当時13歳のカービーが被害に遭う1989年、
そしてカービーが大人になり、新聞社のインターンになって、連続殺人鬼のハーパーを追うようになった現在1992年から19993年ごろ。
それらの時代を行き来して、ストーリーは展開して行く。

作者のローレン・ビュークスは南アフリカ、ヨハネスバーグで生まれ育ち、現在ケープタウン在住。
ジャーナリスト、コラムニスト、脚本家を経て、SFミステリー『ZOO CITY』でアーサー・C・クラーク賞を受賞。
ハーパーによって殺される女性たちは時代をちがえても、本当は暴力によってどんな目に遭うかを示したかったと、作者は訳者あとがきのインタビューに答えていたが。被害者が女性になると、『女性のセクシーな死体』として被害状態プラスアルファの話題が報道されることが多々あり・・・ハーパーはシャイニングガールが輝く前にその可能性を摘み取るかのように殺してしまうが、その意味を考えてくださいと。
社会は女性を文字どおり殺すのではなく、可能性を摘み取るのだということを言いたかっと。(たとえば教育や職場での不平等、セクハラやレイプ、DVのようなこと)
この小説でヒロインのカービーは過去に瀕死の重傷を受け、心や身体に傷をうけながらも勇敢に犯人を追いかけていく姿が感動的で、作者の意図は成功したと思う。