ベルのきもち

日常のささやかな幸福感を書いていきたいと思います。

かってに物語

2013-05-09 07:25:48 | 物語
どんぐり町のどんぐり一家。母ちゃんとオレ、弟の三人家族。父ちゃんはいない。日曜日、コンロを囲んでもち焼き。もちが焼けて膨らんだ。タレは甘辛醤油がいいかな、いや、みそマヨネーズにしようかな。カスタードクリームもいい。いやカスタードクリームはあとでデザートにしよう。つばをのみこんだとき、横から伸びてきた箸がもちを直撃。プシュッと音がしてもちはしぼんでしまった。このやろー。オレは思わず弟の頭をはたいた。わあ、兄ちゃんが。えーん、えーんと弟が泣いた。母ちゃんがオレの名前を絶叫。オレは頭を腕でかばったけど、間に合わなかった。ぱつんと小気味いい音がして。お前の分はなしだ、弟に謝りなと母ちゃんが言った。オレは謝ったけど、弟は泣きやまない。泣きたいのはオレの方だ。父ちゃんはいない。