ミネット・ウォルターズ『火口箱』

成川裕子訳。創元推理文庫。
他に『養鶏場の殺人』を収録。

1998年6月、イギリスの片田舎、ソウアーブリッジで、93歳の老女と住み込みの看護師が殺され、近所に住むアイルランド人の35歳の男性が逮捕されたと報道する新聞記事から物語は始まる。
小さな閉鎖的な村で起こった事件。アイルランド人の犯人の家人を快く思わなかった隣人はじめ村人たちは、犯人の家につめかけ・・・やがて家は放火される・・・そうして真犯人として逮捕されたのは・・・

人は自分の見たいように見て、ストーリーを作りたがる。

たとえば、身体を鍛え、体格のいい男気のある男が実は気が小さかったり、自信ありげにふるまっていた者が自分に自信がなかったり。
ばかだと思われていた者がずる賢かったり。
一般的に人はうわべを見てそのイメージでその人を判断しがち。
また意図してそういうイメージに見られるようにふるまい、邪悪な心を内面に隠していたら・・・判断を誤ってしまう。
そんなことを考えさせられるミステリーでした。


ちなみに、火口箱（ほくちばこ）tindebox・・・火をつけるための道具一式が入った箱。

ベルは車に乗るのが好き

片道1時間半くらいのおねえちゃんのおうちまでドライブ・・・
遊びに来ていたおねえちゃんを送って行っただけ、すぐに帰りました。
それでも車でお出かけ・・・満足。

『血の探究』

byエレン・ウルマン。辻早苗訳。東京創元社。

1974年夏、休業中の精神不安定な大学教授がサンフランシスコのビルの一室を事務所として借りた。
隣室はドーラ・シュスラという精神分析医の診療室で、ここにレズビアンの患者が通ってきていて、彼女とのセッションの様子、会話が筒抜けだった。わたし（教授）はいつしか患者とシュスラ医師のセッションにのめりこんでいった。
患者が養子であること、自分のルーツ、母親が誰か、なぜ自分を捨てたのかを知りたがっていることを盗み聞き、患者の母親を探そうと手をつくし、ようやく彼女の母親らしき人物にたどりつく。
わたしはその資料を彼女が問い合わしていた養子縁組斡旋業者の架空の職員の名で送ったりした。
そうして彼女は母親に会いに行く。
盗み聞きの様子とわたし（教授）の独白で構成されたふうがわりな物語。
ナチスドイツがユダヤ人を迫害した、暗黒の時代にさかのぼり、ホロコースト、ゲシュタポ、レーベンスボルンなど、私たち日本人にとって聞きなれない単語が恐ろしかった。

アメリカ・ダークミステリー『冥闇』

byギリアン・フリン。中谷友紀子訳。小学館文庫。

２５年前、母と姉二人が自宅で惨殺された。当時７歳のリビーは兄に不利な証言を強要され、兄が逮捕された。
リビーは伯母の家をはじめ、親戚をたらいまわしにされ、育つ。世間から常に注目され、同情されるが、当然、社会に順応せず、
成人しても働かず、ひねくれ、嘘をつき、手癖も悪く、寄付金で怠惰に生活するような日々を送っている。
やがてその寄付金も底をつき、どうしようかと思っていたら、殺人事件に興味を持ち、それを調べ、推理することを趣味とする人たちが集まる殺人
クラブから連絡を受け、会合に参加する。その中の数人の女性たちが兄ベンの無実を信じていて、リビーの証言撤回、事件を調べるべく、関係者に会うことで、お金を出すと言う。これに乗じたリビーは当時を思い出し、事件を調べ始めるが・・・

タマネギの甘さが際立つ、玉葱とツナのパイ

タマネギをゆっくり飴色に炒めるのがコツ。

材料
玉葱のフィーリング
タマネギ・・・中１個半（正味１５０ｇ）
ツナ缶・・・１個
エリンギ・・・中１本
ピザ用ソース・・・適当
オリーブ油・・・大１

スライスしたタマネギをオリーブ油をひいたフライパンで、じっくり炒める。２０分くらい。焦がさずに。飴色に。
これにエリンギを加えてさっと炒め、ツナ缶を入れ、混ぜておく。これでフィーリングができあがり。

パイ生地
強力粉・・・５０ｇ
薄力粉・・・５０ｇ
無塩バター（マーガリンでも可）・・・６０ｇ
卵黄・・・1/2個
冷水・・・４０㏄

１、強力粉と薄力粉をフードプロセッサーに入れて混ぜる。
２、１に刻んだバターを入れて、混ぜる。
３、２に卵黄と水を加えて、おそるおそるフードプロセッサーのスィッチを入れる。刃の回りが重くなったら即座に止める。
４、３をまな板上でこねる。
５、４をパイ皿に敷く。
６、５に上記の玉葱のフィーリングを敷きつめて、ピザソースで飾る。
７、２００度に予熱したオーブンで４０分くらい焼いて、出来上がり。

あつあつをどうぞ。

ユーモア・クライム・ミステリー『泥棒は几帳面であるべし』

byマシュー・ディックス。高山祥子訳。創元推理文庫。

マーティンは留守の家からものを盗む空き巣。でもガラスを割ったり、家のものを壊したり、汚したりはしない。
盗むものは冷蔵庫や食料貯蔵庫にある、バターやドレッシングなどの予備の食料品や洗面所の戸棚にある、これまた予備のシャンプーや歯磨き粉などの日用品。宝石箱からはあまり使われていないイヤリングなど。イヤリングをもちだすときはまず片方のそれを盗み出し、様子を見て何か月後にもう一方のイヤリングを盗るというやりかた。つまり家人になくなったかどうか気づかれないようなもの。
盗みに入る先もまわりの環境、侵入経路、留守になる時間帯、家族構成などしっかり下調べしてからという念の入れ方。
入った先の部屋やクローゼット、ひきだしや戸棚のなかをデジタルカメラで撮影し、すべてもとどおりにして、自分がそこの家に入ったという証拠をすべて消し去る、彼なりの美学を持っている。
こうした盗みをかれこれ１０年も続けていたが・・・
ある家で彼はうっかり便器に電動歯ブラシを落としてしまったところから、彼の運命の歯車が狂い・・・
後味、さっぱり。清涼感さえ漂う・・・几帳面なイケメン泥棒の物語。

ストロベリー・サンド

ラムレーズンのかわりに手製のイチゴジャムをはさんでみました。
ジャムは市販のでも美味しくできますが、今イチゴが安く出回っているので作ってみました。
イチゴジャムの作り方
材料
イチゴ・・・１パック（２８５ｇありました）
砂糖・・・１４２ｇ（だいたいイチゴの半分が目安です）
レモン汁・・・小２（レモン1/4をしぼります）　
それらを小鍋に入れて、ただ煮詰めるだけ。

クッキーの作り方
材料
バター・・・１００ｇ
砂糖・・・１００ｇ
卵・・・１個
小麦粉・・・２６０ｇ
BP・・・小１

１、柔らかくしたバターにハンドミキサーで砂糖を十分に混ぜた後、卵をハンドミキサーで、小麦粉、BPを木杓子で混ぜる。
２、１を四角柱の形にまとめて、冷凍庫で冷やし固めて、３ミリくらいの厚さに切る。
３、２を１７０度に予熱したオーブンで１５分くらい焼く。（上記の量なら２回に分けて焼く）
詳細は以前、紹介したレーズン・サンドのレシピでクッキーの作り方を参照してください。

ホイップクリーム
生クリーム１パックをハンドミキサーで泡立てて、砂糖大１～２を加えてさらに泡立てる。

冷めたクッキーにホイップクリームとイチゴジャムをはさんで冷蔵庫で冷やす。
冷蔵庫で１晩置いて翌日が食べごろです。

アメリカミステリー『KIZU-傷-』

byギリアン・フリン。北野寿美枝訳。早川書房。


カミルはシカゴの新聞記者。故郷、アメリカ中西部ミズーリ州ウインド・ギャップで去年８月に少女が絞殺され、また最近一人の少女が行方不明になった。
上司から取材を命じられ、カミルは帰省する。しばらくして失踪中の少女が前に殺害された少女と同様、歯を引き抜かれた状態で遺体となって発見される。
カミルは何年ぶりかで母、継父、異母妹と再会。旧友や町の知り合いと会い、取材を進めるうちに、自分自身の過去が露わになる。
彼女は幼いころから母との確執で精神を病み、自分の身体に頭にうかんだ単語をナイフや尖ったもので切り刻んでいて、傷だらけに。
事件の真相を探ることで自己と向き合うカミル。やがて少女を殺した犯人にたどりつくが・・・それはあまりにも衝撃的な真実だった。

３月２日はベルの記念日

７年前の３月２日はベルがうちに来た日です。
生後２か月、体重は３．５キロ。

ベルは今、７歳２か月、体重は２０キロになりました。