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志情(しなさき)の海へ

かなたとこなた、どこにいてもつながりあう21世紀!世界は劇場、この島も心も劇場!貴方も私も劇場の主人公!

追記 ⇒「劇団うない」20周年記念公演、素晴らしかった!

2025-03-06 16:43:21 | 琉球・沖縄芸能:組踊・沖縄芝居、他
(つぶやき的に書いています!プロデュースの成功は記念公演にも関わらずチケット代金を3,000円にしたことも一因かもしれません。後援会の皆さんはチケット販売や広告の収益も頑張っていますね。那覇市のなは―と小劇場の試演沖縄芝居翻案劇の朗読会が同じ3,000円です!)

「花の代」は以前見た事があったのですが、とても丁寧な舞台で、見応えがありました。

チケットはほぼ完売で、行列ができる記念公演になっていました。それは、「花の代ーじゅり馬行列由来」
と言う作品そのものの持つ磁石のような魅惑に引き込まれているとも言えそうです。
 
 沖縄において、遊郭、そしてジュリの女性たちの痕跡や歴史はまだまだ新しいのだ、と感じました。
 女性芸能史の現在です。
うないの舞踊は、気品があります。

具体的に中身を振り返ります。

 舞踊も劇も丁寧な本番でした。時間をかけてじっくり取り組んだことが見て取れました。細かい演技や作品論などは、いろいろ言及できますが~。

 私自身は琉球・沖縄の女性芸能史を鑑みるに、乙姫劇団から劇団うないへの継承は、その芸能史の現在として重視してきました。
 英国で開催された国際学会では上間郁子さんと乙姫劇団を取り上げました。
 その論稿もUPしたいのですが、発表して論稿を修正しないといけないと思いつつそのままにしていました。やれやれ!

 いっしょにご覧になった鈴木先生は、いろいろ感想を話し合った後で、中国人は悪になっていますね、とポロリと話していたのが、興味深かったです。

解説と中身とのズレもありますが、遊廓の成り立ちについてはいろいろ説があり、平安山英太郎さんの台本です。唐時代の進貢船の中国人に拉致された王女が数年後に琉球に舞い戻り、那覇の知念小屋敷で春を売る、遊廓の前身になる商いを始めたという物語ですが、その後那覇の街の婦人たちが、夫たちが知念小屋敷の虜になっていくという現状の描写は面白く、見せ場でした。知念小屋敷(チジングヮヤシチ)です。

 琉球の遊廓の成り立ちに関しては、この作品はあくまでフィクションです。
いっしょに観劇していた大嶺可代さんによると、脚本は見せてもらえないとの事でした。あら、まぁー!です。平安山英太郎さんの台本ですが~中身を検証することは可能かと思います。

 遊廓の成り立ちについて、博論で書いたのですが、ここでは割愛します。平安山さんのフィクションは、飛躍があります。それはそれで物語はうまく構成されています。ジュリ馬行列の発端も、時期的に無理があります。推測はいろいろ~。

しかし王女が辻遊廓を頭として仕切っていたという伝承も残されています。実際真鍋樽金の位牌も残っていますよね。また論を読み返して確認したい所です。詳細は割愛。遊廓と女性芸能史については、今やらざるをえない課題が終わったら、出版に向けて動く予定です。

舞台の印象ですが、前舞踊は気品があってすがすがしさが良かったです。以前
から乙姫の舞踊には独特な気品を感じてきたので、それが中堅の役者の力量で生かされていた感じです。

松竹梅鶴亀、芭蕉布(間好子振付)、イェーク小、と良かったですね。
松竹梅鶴亀の振付は初代玉城盛義さんの創作、振付けとの事ですが、乙姫独特の振付群舞になっています。あでやかさがあります。乙姫劇団団長の上間郁子さんと初代家元玉城盛義さんとの深い師弟関係がありました。それは「炎の女」の作品に描かれています。確か真喜志康忠さんが盛義の役柄で、玉城秀子さんが上間郁子を演じています。盛義さんの娘、玉城初子さんは役者として、また劇作の面でもいい作品を残しています
 芭蕉布は劇団乙姫の二代目団長間 好子さんの振付作品ですね。とても抒情感あふれる歌と踊りは、清楚なイメージがします。
 「イェーク小」は劇団乙姫二代目団長間好子さんと看板役者(男役)上間初枝さんのコンビで人気を博した打組踊りです。

 しっかり乙姫劇団から継承した舞踊で観客を魅了した劇団うないの演出は見事でした。

2004年に「うない」を立ち上げた兼城道子さん、そしてその継承者となって15年間、団長として束ねてきた中曽根律子さんの力量が発揮された舞台になりました。20年の重みは、事務局長の久米ひさ子さんや後援会に支えられてきたのですね。中堅舞踊家、役者として活躍してきた面々の実力も確実に鍛えられてきています。しかし劇団乙姫の作品をメインで上演している「劇団うない」です。新しい多くの観客を魅了できるような新作が求められていますね。
 新しい歌劇や時代劇を創作したくなります。

 「花の代」、中曽根団長は頑張っていましたが、お年のせいか、その役柄は他の方でも良かったのではないか、と感じたのですが、気力と迫力は凄かったですね。背中が曲がっても役に取り組む、その団長の意気込みゆえに、気になりませんでした。しかし身体芸術は厳しいです。舞踊家も役者も身体とどう折り合いをつけるか、問われています。80代で舞踊家として役者として舞台に立つことは大きな挑戦になり、私たちはその姿にエールを送ります。

 観客が感銘を受ける限り、80代、90代の舞台は花となるのですね。瀬名派孝子さんや吉田妙子さんは、90代で現役の芝居役者です。凄いですね!
魅せる、存在感のある実演家、舞台人の魂の舞台へのパトスに勇気を得ます。

この「花の代」で最も重要な役柄は王女役平良芽美(めぐみ)さんとメーヌー(三枚目、トントンミー役の久米ひさ子さん)ですが、お二人ともその役柄をしっかり演じていました。それゆえに他の役者もまた脇をそれぞれに熱心に演じ、支えていました。集団演技も生き生きとしていました。

20年の経緯は、中堅の舞踊家の皆さんがしっかり腹を据えて演じています。「劇団うない」の強みです。その彼女たちが座談会で話し合っています。久米ひさ子さんをしっかり軸にしてですね。頼もしい!期待できます。

1,000円で販売していたパンフレットもしっかりしていました。華やかさの中に論評、寄稿もなかなか読ませました。

立教大の細井尚子さんの解釈は疑問ですが~。沖縄の舞台をあまりご覧になっていない方で、東アジアの女性舞踊団や歌舞団、演劇との比較で乙姫劇団や劇団うないを論じていますが、ちょっと違いますね。「自」と「他」の分析表示ですが、「乙姫劇団」や「劇団うない」は「自」がメインですね。「他」の影響はありますが~。洋舞~?

 劇団員の琉歌はいいですね。それは紹介したいです。

 真喜志(上間)きさ子さんは、寄稿されていないのですね。彼女は奥ゆかしいので、寄稿されなかったのか、それとも久米さんは声をかけなかったのでしょうか。彼女は実際乙姫劇団で子役で出演して、お母さまは花形役者上間初枝でした。

 遊廓と乙姫劇団はつながりがあり、うないはその片鱗はありませんが、女性芸能史の現在に、作品を通して、舞踊や古典、民謡をとおして継承している芸風ですね。身体と魂を通して受け継がれているものが、「花の代」にも結晶として残されているのですね。出自を根を、上間郁子初代団長が生み出してきた芸能、演劇作品の歴史を捉え返す意味で、この「花の代」は画期的です。

 まだ続けます。


 
 


 





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