(喜劇「浮かれ地頭」(那覇劇場1959年、とみさんと真喜志康忠さん)
真喜志康忠氏の「ときわ座」で鍛えられた方です。康忠氏は「若いときから老け役が似合っていた」と話していました。
平良進さん、とみさんご夫婦は沖縄芝居役者の理想的なご夫婦だったのですね。現在歌劇保存会会長の進さんは、とみさんに負けず新しい作品にどんどん挑戦されています。映画でも二枚目のルックスで重宝されています。
歌劇保存会副会長の吉田妙子さんから昨夜電話があり、医者からあと2~3日だと告げられたとのことでした。歌劇保存会の公演が12月15日にあり、進さんは会長ゆえに、妙子さんにもしもの時のことを考えて連絡されていたようです。でも早かったのですね。とみさんは、沖縄芝居役者として80代まで目一杯頑張って舞台にテレビに映画に出演されていました。加藤直さんの演出作品やNHKの朝ドラマの「ちゅらさん」で全国のおばあになったのですが、少しも高飛車なところがなく、小さな身体は役者魂そのもので、存在感がありました。
素の姿がオバーの実存を200%に見せている役者でした。真喜忠氏の見立てはその通りだったのだと言えます。美男美女が必ずしも舞台の花になるわけではないのですね。進さんは沖縄芝居の二枚目役者だけれど、ご夫婦はおしどり夫婦だったのですね。生真面目さがプラスに発展していった芝居役者です。台詞劇がよかったです。とみさんは歌劇保持者のお一人だったけれども、歌がお上手に歌える方ではなかったですね。歌で魅了する方ではなく、やはり全国版のオバーでデビューしたことの意味は大きいのかもしれません。オバーがブームになりました。沖縄のオバーは最強なんです。オジーたちが最強ではない沖縄の人情はなぜなのでしょう?オジーたちはもっと頑張らないといけないのかもしれません。
でも翁長さんが、ガンジーのように無暴力の抵抗運動の軸になっていますね。70代の仲井真元知事の「オジーの顔」は、あまりいい顔ではないのですが、60代のオジーたちの顔はいいですね。米軍基地が、沖縄に決して豊かさをもたらさないことを、「正々堂々と主張している沖縄」の男たちの顔はいい!惚れ惚れします!「日本の総理大臣」の「顔」よりはるかに素敵に見えます。
最近、そういう意味で、沖縄の男達の顔が「世界でも輝ける表情」を持つようになったことは、嬉しいことです。とみさんは、「沖縄のオバー旋風」を全国にもたらしましたが、翁長さんは沖縄男児の魅力を世界にもたらしました!
日本の0・6%の島々からなる琉球諸島が74%の米軍基地を押し付けられているのですが、0.6%の沖縄県が放つ光が日米の民主主義の反射鏡になって世界に発信しているのです。沖縄系、日本系、アジア系コスモポリタン=地球人なのですが、この地球の未来を明るくしたいものです。きっと、とみさんは、自然体の素のオバーの姿でずっとエールを送ってくれることでしょう。謝!
お若い時のとみさん、1962年「ときわ座」の関西公演記念写真です。
(写真はいずれも真喜忠康忠著『沖縄芝居と共に』からもってきました。)