
これほど科学的(緻密)に、体系的に琉球音楽の発声、声楽を研究した方は他にいない!なぜ県立芸大は仲村氏を講師として招聘しないのだろうか?
昨今、沖縄にも「沖縄声楽発声研究会」(西洋クラシック音楽発声、琉球古典音楽発声、発話音声に関し、演奏・音声生理学・教育の研究協議を行い、音楽文化の学術振興に資することを目的とする団体)が誕生し、闊達に研究発表がなされているようだが、仲村善信氏ほど丹念に琉球古典音楽や民謡の発声に関して研究を深め、その成果をまとめた方は他にいないに違いない。
仲村氏は、科研プロジェクト「沖縄の文化表象にみるジュリ(遊女)の諸相」(2013-2016)に取り組んだ際、共同研究者として音楽表象の面でプロジェクトに参加していただいた。氏の年季の入ったこの間の研究の深さに感銘をうけた。この度、すでに以前報告書に収録された「女性歌者と琉球音楽」も収録した、この間の仲村氏の琉球音楽の発声研究の集大成が上梓されたのである。
仲村氏のご研究は単に琉球古典音楽だけではなく、琉球民謡、さらに西欧オペラの音声(発声)の比較も科学的に取り組んでいる。琉球古典音楽や琉球民謡に日々親しみ、精進しておられる皆さんにとって、実際に発声を鍛え、よりよくするために座右の書となるであろう研究書である。実際、仲村氏はタイムスカルチャースクールの琉球古典音楽ボイストレーニング講座講師をされている。実演家として、またプロのコーチとして実績を深めておられる。この度の出版は琉球音楽のさらなる発展のために貴重な文化的貢献に他ならない。仲村先生、ご出版おめでとうございます!
発行所 : 南琉アカデミー(那覇市金城5-14-3) 090-9491-1993