【東アジア共同体研究所(EACI) News Weeky Vol.054 「これが我が米国の沖縄への対し方か」】
EACI News Weekly 第54号(1月22日号)
東アジア共同体研究所(East Asian Community Institute )
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【目次】
【1】《今週のニュース 1/16-1/22》
政治(3)、経済(3)、国際(3)、社会(2)
【2】《UIチャンネル放送予告 No.137》
1月25日(月)20時 「沖縄現代史」解説:東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター
http://live.nicovideo.jp/watch/lv249628188
【3】《EACIレポート(再掲)》
1月26日新外交イニシアチブがシンポ【外交のしくみを紐解く
-安保・原発・沖縄基地と日米関係の実像-】を開催
【4】《研究員コラム》
緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
「これが我が米国の沖縄への対し方か」
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【1】《今週のニュース 1/16-1/22》
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【政治】
■知事、月末にも国提訴 辺野古執行停止 係争委決定に不服
(琉球新報 2016.1.20)
http://ryukyushimpo.jp/movie/entry-206918.html
■沖縄県 普天間基地移設巡り新たに国を提訴へ
(NHK 2016.1.19)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160119/k10010378131000.html
■中谷氏「手続きは適正」 辺野古新基地工事受注社に防衛省OB
(沖縄タイムス 2016.1.22)
https://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=150845
【経済】
■TPP署名式、2月4日NZで 政府は甘利氏出席で調整
(朝日新聞 2016.1.21)
http://www.asahi.com/articles/ASJ1P4W00J1PULFA01V.html
■世界人口の半分と同じ富が62人の富豪に集中
(Newsweek 2016.1.16)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2016/01/62.php
■ダボス会議は「世界市場急落」が議論の的に
(東洋経済 2016.1.21)
http://toyokeizai.net/articles/-/101555
【国際】
■米軍、アフガンでISIS支部の掃討戦強化 権限付与で
(CNN 2016.1.21)
http://www.cnn.co.jp/usa/35076591.html
■「縁故」なき女性リーダー 台湾の価値観を崩せるか
(日本経済新聞 2016.1.22)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK20H3Z_R20C16A1000000/
■米軍 横田基地にF22など26機派遣
(NHK 2016.1.21)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160121/k10010380431000.html
【社会】
■辺野古 機動隊が反対テント撤去
(沖縄タイムス 2016.1.22)
https://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=150882
■ハワイ沖米ヘリ衝突・墜落 事故規模「クラスA」
(琉球新報 2016.1.22)
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-208219.html
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【2】《UIチャンネル放送予告 No.137》
1月25日(月)20時 「沖縄現代史」解説:東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター
http://live.nicovideo.jp/watch/lv249628188
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1月25日(月)20時からの第137回UIチャンネル放送は、沖縄より「沖縄現代史」解説:東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センターを生放送でお送り致します。
さらに放送日の前日1月24日に予定されている宜野湾市長選挙の結果についてもお伝えする予定です。
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【3】《EACIレポート(再掲)》
1月26日新外交イニシアチブがシンポ【外交のしくみを紐解く
-安保・原発・沖縄基地と日米関係の実像-】を開催
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UIチャンネルにも出演してくださった猿田佐世(新外交イニシアチブ事務局長)さんの講演会が行われます。詳細は以下を参照下さい。
★ ★ ★
安保法制、原発、TPP、沖縄基地などの問題は、日本とアメリカとの関係に密接に関わっています。この「アメリカ」とは誰を指し、実際の日米外交はどのような形で行われているのか――
「アーミテージ報告書は、2000年から日本に集団的自衛権の行使を求めていた」
「沖縄の人口は2000人かと聞くアメリカの議員」
「世界で一番多くのロビーイストをアメリカで雇っているのは日本」
「日本政府がアメリカ議会のTPP議員連盟を作った」
「アメリカ政府は日本に使用済み核燃料再処理をやめさせたい」など、
日米外交をウォッチし続け情報発信をしている弁護士 猿田佐世(ND事務局長)が、日米外交のしくみをわかりやすく紐解きます。
●日時:2016年1月26日(火) 19:00~21:00(18:30開場)
●会場:文京シビックセンター 小ホール
住所:東京都文京区春日1‐16‐21
電話:03-3812-7111(文京区役所代表)
地図:http://www.city.bunkyo.lg.jp/shisetsu/civiccenter/civic.html
最寄り駅:丸ノ内線・南北線「後楽園駅」、三田線・大江戸線「春日駅」、総武
線「水道橋駅」
●講演:猿田佐世(ND事務局長・弁護士)
自らワシントンにてロビーイングを行う他、日本の国会議員等の訪米行動を企画・実施。二度の稲嶺進名護市長の訪米行動、そして2015年6月には翁長雄志沖縄県知事に随行する沖縄訪米団の企画同行を担当。米議員・米政府面談設定の他、米シンクタンクでのシンポジウム、米国連邦議会における院内集会等を開催。
●参加費:1000円(ND会員・学生は無料、当日入会可)
●お申込み:
下記ページの申し込みフォームをご利用ください。
http://www.nd-initiative.org/event/2127/
当日参加も受け付けますが、できる限り事前申込みをお願いいたします。
●定員:370名
●主催:新外交イニシアティブ(ND)
●お問い合わせ先:新外交イニシアティブ(ND)事務局
03-3948-7255
Web:www.nd-initiative.org
東京都新宿区新宿 1-15-9 さわだビル 5階
E-mail:info@nd-initiative.org
Facebook:www.facebook.com/NewDiplomacyInitiative
Twitter:@nd_initiative
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【4】《研究員コラム》
緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
「これが我が米国の沖縄への対し方か」
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一米人作家の視点
東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センターでは月に一度、研究会を開催している。2016年の幕開けは1月5日、元米国エール大学教授・沖縄県立看護大学教授、山口栄鉄氏を迎えた。1938年那覇市生まれ、琉球大学から米国インディアナ大学院、プリンストン大学、スタンフォード大学を経て、エール大学東アジア言語文学科。翻訳は「沖縄 島人(しまんちゅ)の歴史」-ジョージ・H・カー、近著は「英人バジル・ホールと大琉球」ほか多数。
今回の趣旨は「米人沖縄戦作家ジョージ・ファイファー、最近の沖縄観」(山口栄鉄訳)
アメリカの著名なロシア・日本研究者で、沖縄戦の著者「天王山」を刊行し、アメリカ帝国主義に警鐘を鳴らしている作家。山口氏の友人で、年末・年始に氏が沖縄へ里帰りすると聞いて、託されたそうだ。原文はコネチカット州の地方紙には掲載されたが、ワシントンポスト、ニューヨークタイムスなどの中央紙には掲載されていないとのことだった。11節に分かれているので2回に分けてご紹介する。
1.沖縄県、日本政府、基地移設問題で法廷へ
先週、東京の日本政府は沖縄県政府を法廷に持ち込むとの態度を表明した。在沖米軍基地を沖縄のいまだ汚染されない島の北方海岸地域へ移設しようとの計画、その計画続行を沖縄側に強いようとの企てである。そのような仕打ちに対する沖縄の人たちの嫌悪感は、今に始まったことではない。1945年の史上最大の陸海空総力戦の一つで島を壊滅させた沖縄戦にその遠因を求め得よう。
時は1879年、東京は生来争いを忌み嫌う人たちの住む琉球列島、日本本土とは明らかに異なる文化を有するその島々を掌握した。以後、日本本土の人たちは、島民を三等市民、いやそれ以下の者として扱ってきた。沖縄が県としての存在を確立して以来、僅かながらそのような状況には進歩が見られているとはいえ、米国民との付き合いに関する限り、何よりも軍事力を背景にした人たちという意味での嫌悪感を捨てきれずにいるのであって、そのような背景を持たない一般の米国人には、彼らはいつもながらの礼節あふれる接し方を忘れない。
(注・緒方)日本の植民地時代の台湾では日本人が一等、台湾人が二等であったが、沖縄人は日本人より下に見られていた。
1.日本政府の欺瞞
米軍による沖縄占領は、27年もの長期に及んだ。それは米国のドイツ占領を上回ること実に23年以上!。その後、島民は日本国復帰への賛意を表明した。1972年のことだった。住民投票によるその賛意の意思表明は、米軍基地の撤廃、少なくとも大幅な縮小をいう約束に基づいていた。1969年のニクソン大統領と日本の首相が署名し、両国間に交わされた合意事項には、復帰後、在沖米軍基地は日本本土にそれと「同等のレベル」にまで縮小される、と規定されていた。そのような合意事項に対する東京側の欺瞞(ぎまん)、島民への期待の欺(あざむ)きは、それまでの長期にわたる島民虐待のいきさつと軌を一にするものだった。それはまた、それまでの米国側の島民軽視の実質よりも更に悪質なものだった。また、ワシントンはその
ことを十分承知してもいた。基地を「神聖な」本土内に置くことを潔(いさぎよ)しとしない日本は、その基地の大部分を日本国四島最南端の島九州のさらに600マイルの南に横たわる小さな島に押し付けてしまったのだった。その目に余るほどの不平等性について難詰された日本は、歴史上のいきさつに起因するとし、あたかもその責は、そのような取り決めをした張本人である日本側の役人には有らずとでも示唆しているかのようだった。
(注・緒方)現在に至るまで政府は、終始一貫、沖縄に基地を押し付け続けている。ジョージ・ファイアー氏が言うように、日本政府は「神聖な」本土を米軍基地で汚すな、という考えだろうか。「世界遺産」富士山の麓に陸上自衛隊の演習場があり、米軍との「合同演習」で「霊峰」に弾を撃ち込んでいる。「聖地」を冒涜する行為ではないか。
「眼に余る不平等」は「戦後生まれでなかなか(沖縄の戦後史は)分からない」と発言するような官房長官がいる限り是正されないだろう。
1.究極の責任はワシントンにあり
日本全国47の都道府県のうち沖縄は、もっとも貧しい県で、今なお民族差別の下にある。数の力を含め、すべての面で弱小者の立場にある沖縄は、東京側にワシントンと約した取り決めを順守させるには、余りにも政治的な力に欠けていた。
ごく控えめにみても、日本の外交政策に関する限り、ワシントンの影響力には侮(あなど)りがたいものがある。沖縄の復帰以来43年を経る今日、日本全土に存する米軍基地の実に70%が日本の保有する0.6%の地域に押し込められている。そして、その実情、その究極の責はワシントンにあるのであって、それがまた、大部分の沖縄人を失望の淵に追いやっているのである。
(注・緒方)安倍首相はワシントンでまず約束し、日本へ帰って実施というやり方だ。いったいどこの国のリーダーなのだ。沖縄人の中には、基地問題の解決策はヤマトよりはむしろワシントンに直訴した方が良い、と考えている人がいる。たしかに事実をまずしっかりと知らせることが大事だろう。しかしワシントンが譲歩することはない。
1.沖縄の人たちの学んだ教訓
第二次世界大戦より沖縄の人たちが学んだ最も忌むべき教訓、それは、軍事基地が沖縄を守ってくれるどころか、その基地の破壊を終局の目的とする敵国列強によって島が壊滅的な損傷を蒙る可能性を招来することになりかねない、ということである。だから爆音を轟かせながら島民の頭上を飛び交う無敵の我がジェット機、それこそが自由解放の響きなり、と思いがちな我が米軍軍人のメンタリティとは裏腹に、島の人たちには、自由圧制の息苦しい騒音としか受け止められていない。基地のド真ん中に意気揚々と居座る戦車、軍用機、榴弾砲を誇り高い威力の象徴とする思考が分からぬでもない。しかし、沖縄の人たちには、安心感をもたらすどころか、恐怖のもとにしかなっていない。
筆者の知る限り、歴史上のすべての帝国が、解決不可能な問題の処理に、武力を以って対してきている。我が米国の絶大な軍事構造というものが終局的には、わが国の破滅をもたらすのでは、といったしばしば不問に付されがちな問題には、今は触れないでおこう。米国独立の基(もとい)を築いた建国の父が戦力、火力の乱用を戒(いまし)めていたにもかかわらず、火力への心酔が我が米国の政治、文化にどのような影響を与えているのかといった問題をさしあたり、そっとしておくとしよう。
(注・緒方)沖縄に滞在している米国軍人は沖縄の人たちはなぜ我々を嫌っているのか、と自問している。自衛隊の幹部と話した時も、基地を置くのはここしかない、と信じて疑わない様子だった。両者とも、そこに住んでいる住民の気持ちは考慮していない。
作家は米国独立の建国の父の言葉にまで思いをはせ、火力の乱用による悪影響を憂慮している。
5.「アラバマ物語」と沖縄
「他人(ひと)を知る、それは自らを相手の視点に置いてみぬ限りできることではない」、と警告を発していたのは、かの「アラバマ物語」の著者ハーパー・リーだった。自らを沖縄人自身の心中においてみたまえ、ということである。米国内最良の土地の大部分が異国の基地というコンクリートで埋められたとしたらどうだろう。例えばロングアイランド、コネチカット、加州サクラメントやサンホアキン盆地、いやより正確な土地割譲の割合で考えてみよう。わが中西部の大部分がロシアや中国の基地で占められたとしたら?しかも我ら米国民の火力崇拝、至上主義の心情とは異なり、そのような軍事に関する諸々のものを忌み嫌う多くの沖縄人の抱く心情をさえ今は勘案せずに言っているのだが。
訳者(山口)の注としてアラバマ物語の解説がある。
「米国南部における人種偏見問題を扱う女性作家のピューリッツアー受賞作品。グレゴリー・ペック主演の映画で広く知られる。2015年に入ってからペック演じる弁護士の真実の姿、裏話が発表され、米国文学界で新たな議論を巻き起こしている。」
(注・緒方)作家は、沖縄の現状を、アメリカで自分たちの土地を取られた場合と引き比べてみたまえ、と提案している。作家の住むコネチカット州はアメリカ北東部、面積では50州の中でも48位、小さな州だが裕福で州都ハートフォードは保険の首都とも呼ばれている。ニューヨーク州と接している。そこが「ロシアや中国の基地で占められたとしたら?」という問いはアメリカ人には、あり得ない悪夢、悪い冗談、としか思えないだろう。
アラバマ物語は続編が2015年の7月に全世界出版された。そこでは20年後のアティカス弁護士(グレゴリー・ペックが演じた良心的弁護士)が、人種差別主義者に変わり白人至上主義団体KKKの会合に通うようになってしまっていた。主人公の少女(今は大人)は幼い頃英雄だった父に絶望する。
(この項続く)
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