志情(しなさき)の海へ

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廃藩置県を描いた沖縄演劇には「首里城明渡し」や「世替りや世替りや」があるが、ときわ座の「悪を弄ぶ」も時代の大転換をリアルに描いています!

2023-03-25 21:53:15 | 琉球・沖縄芸能:組踊・沖縄芝居、他
  (もっといい写真があるはずですが、『沖縄芝居と共に』の中から~)
真喜志康忠作・演出の「悪を弄ぶ」は1960年の作品、第二回沖縄タイムス芸術祭入選、奨励賞を受賞しています。社会性を前面に打ち出したテーマで話題になったと紙面は伝えています。

その後OTVが映像に撮っています。改めて真喜志康忠の演技に感銘を受けました。「ときわ座」としての映像です。玉城 伸、平良 進、平良とみ子、玉木信子、清村悦子さんが出演。みなさん迫力があります。

前にも映像を観たことがありますが、酷な物語展開に驚きました。金銭貸付業を営む元百姓の男(マチャー)と神山殿内の貧困に陥った侍母娘の物語です。物語の詰めは残酷で悪は滅びるでしようか?

改めてDVDを観て、康忠芸のすごさを感じました。表情の演技や所作もいいですね。悪党、やなむんを表情豊かに演じています。

大城立裕さんの「世替りや世替りや」は喜劇です。侍百姓階層のそれぞれの思いが、思わぬ喜劇になっています。「悪を弄ぶ」は首里王府の崩壊という社会のシステムが180度転換した時勢を一つの物語として、その悲哀をリアルを描いています。その作品が大賞にならなかったのは、あまりにリアルな悪党の姿を描いている故かもしれません。当時のおきなわに、金貸しで成功し主人公マチャーのような時代の空気の変化に好機を得た人々もいたに違いありません。

マチャーは時代の変化をうまくかすめ取った成功者だったかもしれないが、自らを疎んだ殿内の母娘に、いわば復讐のような形で報います。
差別された男の憎しみが非情な形でリベンジしていく、その結果として自らも廃藩の支配階層だった元侍に殺されます。

その他、真喜志康忠氏がカナーヒーを演じている動画も一部観ました。80代の沖縄芝居の名優たちの舞台です。親泊興照や宮城能造、真境名由康さんが主役です。その中で当時52歳の康忠芸です。それから、兼城道子さんや伊良波冴子さんと演じた伊江島ハンドー小の名場面を観たのですが、ほれぼれする船頭主です。
 やはり100年に一人の名優です。

久しぶりの映像にやはり、まだこの沖縄で康忠芸を超える立役がいないのだと、思いました。表情の豊かさ、演技のキレ、メリハリ、船頭主の歌唱のすごさも含め、やはり格別です。





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