goo blog サービス終了のお知らせ 

志情(しなさき)の海へ

かなたとこなた、どこにいてもつながりあう21世紀!世界は劇場、この島も心も劇場!貴方も私も劇場の主人公!

ヒョロロロ ヒョロロロと赤ショウビンは啼く。キョロロロロロ、ヒョロロロロどっちだろう?詩集『赤ショウビンの啼く宵に』を見つけました!

2021-10-23 09:47:00 | 詩、詩集
まだ片付けていない故人の部屋の隅に落ちていた小さな手作りの詩集を見つけた。題名が「赤ショビンの啼く宵に」で作者はテリー テルヤさん。2017年12月発行になっている。横書きで、パソコンで編集して冊子にしていることが分かる。

あとがきを読むと、この方がひょっとしたら言霊に取り憑かれていることが予想できる。ご本人は自分はサーダカ生まれ(霊感体質)ではないと書かれているが、18篇の誌の中でシュールな詩(幽鬼じみた詩)が何篇かある。もったいないと思える散文詩(物語)なのだが、表現に「みたいに」など、気になるところが一部ある。しかしこの方が伝えたいテーマは伝わってくる。

彫刻のように言葉を削ったり、足したりしながら、推敲する過程で、詩の世界観がくっきり浮かびあがってくるのかもしれない。素描がもったいないと思った。

表現の世界は簡単なようで簡単ではなく、ことばや構成をあれこれこねくりまわし、言葉の修辞の技法も習得しながらハットさせる人生の、世界の断面を切り取って見せないといけない。発見、新しい視点や思念、世界の提示ができるのかどうか、個人の単なる幻想や思いを超えて詩篇がしっかり骨格も持って世界を暗喩出来る時、詩として形をなすのだろうか。詩の創作に命を削ってきたわけではないので、その深さをよく知っているわけではない。

アメリカに留学していた頃、著名なアメリカの劇作家エドワード・オルビー(Edward Franklin Albee III、[ˈɔːlbiː] AWL-bee、1928年3月12日 - 2016年9月16日)の講演を拝聴した。
話しの核はメタファーだった。文芸作品はメタファーを表出できるか、による~。

ところで、「赤ショウビンの啼く宵に」の中で鳴き声をヒョロロロロと書いていて、ああやはりキョロロロロロではなくヒョロロロとこの方にも聞こえるのだと、同調者がいることに笑みがこぼれた。この詩は赤ショウビンをこの世とあの世の渡りをする冥界の鳥としている。冥界の鳥である。物寂しい啼声だとも記している。啼声がしても姿が見えないゆえに、赤ショービンは三途の川に住むもの、赤いくちばしはあの世の色に染まったものとして描かれる。詩の最後に「今日は誰かの命日ではなかったのか」とある。物語になっている。

赤ショービンの他にも蝉について、「宵闇の中でも 啼き続けている蝉は 生き急ぐ宿命を背負って 通夜を迎えているようだった」と表出している。詩を書いている当人(テルヤさん)が誰かの命日のために実家に戻ってきたことが物語の背景にあるのらしい。そのせいか赤ショウビンの啼声は「物寂しい」となっている。

確かに赤ショービンが啼くのは明け方の朝5時半頃から長くて15分間ほどだ。一度赤ショビン同士が呼応し合う三重唱を聞いたことがあるが、澄んだ啼声に心が動かされたことがあった。宵闇の中のヒョロロロロ、キョロロロゆえに、空気が澄んでいると天使の歌声のような響きに聞こえるのかもしれない。天使の歌があるかどうか、澄んだ高いソプラノの響きをイメージするのだが、たしかにそれは何かの啓示のように聞こえてくるような気がするのも事実だ。それが、4月から秋口まで、聞こえてくるゆえに、ことさら特別な鳥、啼声に思えてくる。

この詩集のタイトルにもなった赤ショービン、宵闇の中のヒョロロロが冥界の使いと称されても、納得させられる。しかし今や動画でその生態が写し取られている姿を見ると、川べりで魚を取ったり、雌に魚をやる姿など、それが冥界とつながっているようには見えない~。赤い大きな嘴に小さな身体でヒョロロロロと澄んで啼くその声音に心はしかしいつも喚起させられている。今頃熱帯雨林の中だろうか。
********
エドワード・オールビーは、アメリカの劇作家。(Edward Franklin Albee III、[ˈɔːlbiː] AWL-bee、1928年3月12日 - 2016年9月16日)ワシントンD.C.生まれ。日本では映画化作品公開時に誤ってエドワード・アルビーと紹介されたこともある。1958年『動物園物語』で劇作家としてデビュー。代表作『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』(1962年)では受賞を逃したが、その後『デリケート・バランス』(1967年)、『海の風景』(1975年)、『三人の背の高い女』(1994年)で三度ピューリッツァー賞を受賞している。【ウキピィディア】


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。