
(素敵な久志岳、人新世:アントロポセンの時代を生きる私達?!)
Anthropocene」(アントロポセン)
- anthropocene
【名】
- 《地学》人新世◆人間が地球の生態系や気候に大きな影響を及ぼすようになった、18世紀後半の産業革命以降の時期を指す言葉。そのはるか前、農業の起こった時代以降を指す場合もある。◆
- ノーベル賞を受けた大気化学者Paul Crutzenの2000年の造語。anthropo(人間)+ cene(新しい)
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2011年05月20日 20:00
【5月20日 AFP】たとえば1000万年後、宇宙人の地質学者が地球にやってくるとしよう。そのとき彼らは、地層の中に人類の痕跡を見つけられるだろうか。ジュラ紀や白亜紀が「恐竜の時代」と呼ばれるように、……
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【5月19日 AFP】
たとえば1000万年後、宇宙人の地質学者が地球にやってくるとしよう。そのとき彼らは、地層の中に人類の痕跡を見つけられるだろうか。ジュラ紀や白亜紀が「恐竜の時代」と呼ばれるように、「ホモサピエンスの時代」と称される地質学的な時代区分は生まれるのだろうか?
この問いにイエスと答える科学者は増えている。英ロンドンの英国地質学会(BGS)ではこのほど、こうした科学者たちが集まってシンポジウムが開催された。
■人類の時代⇔「アントロポセン」
この「人類の時代」に対して、オゾンホール研究で1995年にノーベル化学賞を受賞したパウル・クルッツェン氏は、「アントロポセン(Anthropocene)」という新たな造語を提唱している。
人類の繁栄がどれほど長く続くのかは分からない。しかしクルッツェン氏は、1つだけはっきりしている事実として、単一の生物種が地上の形態や化学物質の分布、生物学的な環境を急激に変え、しかもその事実を自覚しているという事態は、約47億年の地球の歴史の中でも過去に例がないと指摘する。
「我々はそれ(地球)を破壊し、買い、所有している」と、米メリーランド大学のアール・エリス教授は表現した。「『アントロポセン』において何が起きているのか、知るすべはない。よい時代となるかもしれない。ただ、この星の所有権を主張するのであれば、我々はこれまでとは違う、グローバルな考え方をする必要がある」
1億5000万年以上にわたって繁栄した恐竜が絶滅した理由として有力な説に、巨大ないん石の衝突で地球の気温が低下し、生存できなくなったというものがある。気象学者が警告するようにこの先100年以内に気温が5~6度上昇するとしたら、人類も同じ運命をたどるかもしれない。
ただ、現生人類の歴史はたった20万年ほどにすぎない。その上、ただ滅びるのを待つしかなかった恐竜と異なり、「地球のシステムがおかしくなる」ような危機的状況を招いたのは、ほかならぬ人類自身なのだ。
■過去に比類なき時代を生きる人類
クルッツェン氏が「アントロポセン」を提唱して10年、幅広い分野の科学者たちがこの新語に飛びついた。そして、激しい議論が巻き起こった。
「人類の時代」を区分することが地質学的に有意義かどうか。そして、人類が地球に及ぼした分不相応な影響が望ましくない、恐らく制御不能な結果をもたらす可能性と、そうなった場合にどのように対処すべきかを、人々は深く考えざるを得なくなったのだ。
「アントロポセン」を過去36億年の地球の歴史を分ける国際層序委員会(ICS)の約150の時代区分の1つに加えるかどうかは、英レスター大学のヤン・ザラシェヴィチ教授をトップとする地質学者のグループの勧告にかかっている。決定にあたっては、「社会への影響を考慮しなければならない」と、ブライアン・ラベル英国地質学会長(英ケンブリッジ大教授)は言う。
人類の手によって短期間に起きた変化の痕跡は、地質学的にも非常に大きい。化石燃料を燃やすことで大気の化学組成が変わり、二酸化炭素(CO2)濃度は少なくとも過去80万年、もしかしたら過去300万年ぶりの高水準となった。その結果とみられる温暖化によって、氷雪の融解や海水の酸性化など、地球規模の変化が起きている。グローバル化に伴い、船や航空機などを介して生物種が他地域へ移動し、「大規模な均一化」もおきている。
地球の表面の形状も、大きく変わった。米コロラド大学のジェームズ・シビツキ教授は、過去200年間にわたる産業採掘、ダム建設、森林伐採、農業によって「人間は地球上に彫刻をしてきたようなもの」と語る。特に、19世紀半ばから建設されてきた多数のダムは「地球の水の移動を完全に変えてしまった」という。
これらの変化を、現代が含まれる「完新世」と比較して初めて、「アントロポセン」を時代区分とするか否かの評価が可能になる。
■区分することで環境意識も高まる?
アントロポセンがいつから始まったのかという問題もある。農業が始まった約8000年前という意見もあるが、蒸気機関が発明され、化石燃料の利用によって人口爆発、大量消費が生まれた19世紀からとする意見が大勢を占めている。
1950年代からは、人口、ダム建設、水や肥料・紙の消費、観光や自動車など、主要な「指標」が右肩上がりに伸びた。温室効果ガスの濃度も急上昇し、オゾン層の破壊、大規模な洪水、漁業資源の枯渇、森林破壊、生物種の絶滅なども一気に進んだ。これらの変化は主に、世界人口のわずか2割に相当する先進国によって引き起こされたものだ。
クルッツェン氏は、これらの変化に「アントロポセン」という名称を与えることによって、今後人類を待ち受ける困難に人々の注目を集める効果が期待できると主張している。ロンドンのシンポジウムで同氏は、次のように語った。「科学的思考のパラダイムシフトになり得る。とはいえ、正式に受け入れられるには、あと20年はかかるだろう」
たとえば1000万年後、宇宙人の地質学者が地球にやってくるとしよう。そのとき彼らは、地層の中に人類の痕跡を見つけられるだろうか。ジュラ紀や白亜紀が「恐竜の時代」と呼ばれるように、「ホモサピエンスの時代」と称される地質学的な時代区分は生まれるのだろうか?
この問いにイエスと答える科学者は増えている。英ロンドンの英国地質学会(BGS)ではこのほど、こうした科学者たちが集まってシンポジウムが開催された。
■人類の時代⇔「アントロポセン」
この「人類の時代」に対して、オゾンホール研究で1995年にノーベル化学賞を受賞したパウル・クルッツェン氏は、「アントロポセン(Anthropocene)」という新たな造語を提唱している。
人類の繁栄がどれほど長く続くのかは分からない。しかしクルッツェン氏は、1つだけはっきりしている事実として、単一の生物種が地上の形態や化学物質の分布、生物学的な環境を急激に変え、しかもその事実を自覚しているという事態は、約47億年の地球の歴史の中でも過去に例がないと指摘する。
「我々はそれ(地球)を破壊し、買い、所有している」と、米メリーランド大学のアール・エリス教授は表現した。「『アントロポセン』において何が起きているのか、知るすべはない。よい時代となるかもしれない。ただ、この星の所有権を主張するのであれば、我々はこれまでとは違う、グローバルな考え方をする必要がある」
1億5000万年以上にわたって繁栄した恐竜が絶滅した理由として有力な説に、巨大ないん石の衝突で地球の気温が低下し、生存できなくなったというものがある。気象学者が警告するようにこの先100年以内に気温が5~6度上昇するとしたら、人類も同じ運命をたどるかもしれない。
ただ、現生人類の歴史はたった20万年ほどにすぎない。その上、ただ滅びるのを待つしかなかった恐竜と異なり、「地球のシステムがおかしくなる」ような危機的状況を招いたのは、ほかならぬ人類自身なのだ。
■過去に比類なき時代を生きる人類
クルッツェン氏が「アントロポセン」を提唱して10年、幅広い分野の科学者たちがこの新語に飛びついた。そして、激しい議論が巻き起こった。
「人類の時代」を区分することが地質学的に有意義かどうか。そして、人類が地球に及ぼした分不相応な影響が望ましくない、恐らく制御不能な結果をもたらす可能性と、そうなった場合にどのように対処すべきかを、人々は深く考えざるを得なくなったのだ。
「アントロポセン」を過去36億年の地球の歴史を分ける国際層序委員会(ICS)の約150の時代区分の1つに加えるかどうかは、英レスター大学のヤン・ザラシェヴィチ教授をトップとする地質学者のグループの勧告にかかっている。決定にあたっては、「社会への影響を考慮しなければならない」と、ブライアン・ラベル英国地質学会長(英ケンブリッジ大教授)は言う。
人類の手によって短期間に起きた変化の痕跡は、地質学的にも非常に大きい。化石燃料を燃やすことで大気の化学組成が変わり、二酸化炭素(CO2)濃度は少なくとも過去80万年、もしかしたら過去300万年ぶりの高水準となった。その結果とみられる温暖化によって、氷雪の融解や海水の酸性化など、地球規模の変化が起きている。グローバル化に伴い、船や航空機などを介して生物種が他地域へ移動し、「大規模な均一化」もおきている。
地球の表面の形状も、大きく変わった。米コロラド大学のジェームズ・シビツキ教授は、過去200年間にわたる産業採掘、ダム建設、森林伐採、農業によって「人間は地球上に彫刻をしてきたようなもの」と語る。特に、19世紀半ばから建設されてきた多数のダムは「地球の水の移動を完全に変えてしまった」という。
これらの変化を、現代が含まれる「完新世」と比較して初めて、「アントロポセン」を時代区分とするか否かの評価が可能になる。
■区分することで環境意識も高まる?
アントロポセンがいつから始まったのかという問題もある。農業が始まった約8000年前という意見もあるが、蒸気機関が発明され、化石燃料の利用によって人口爆発、大量消費が生まれた19世紀からとする意見が大勢を占めている。
1950年代からは、人口、ダム建設、水や肥料・紙の消費、観光や自動車など、主要な「指標」が右肩上がりに伸びた。温室効果ガスの濃度も急上昇し、オゾン層の破壊、大規模な洪水、漁業資源の枯渇、森林破壊、生物種の絶滅なども一気に進んだ。これらの変化は主に、世界人口のわずか2割に相当する先進国によって引き起こされたものだ。
クルッツェン氏は、これらの変化に「アントロポセン」という名称を与えることによって、今後人類を待ち受ける困難に人々の注目を集める効果が期待できると主張している。ロンドンのシンポジウムで同氏は、次のように語った。「科学的思考のパラダイムシフトになり得る。とはいえ、正式に受け入れられるには、あと20年はかかるだろう」
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新しい定義である。なじむのに時間がかかりそうだが、地球的に視野が深まっているのは確かだね。化学思考のパラダイムシフト!!
地球の破壊も再生もできる人類の科学技術が到達した現在、終わりはない。
地球の破壊も再生もできる人類の科学技術が到達した現在、終わりはない。