京都までWithering to death.のライブを見に行ってきました。本当は枚方市もなんばhatchも岡山も行きたかったけど、予算と予定の都合で行けたのは初日の京都2daysとなりました。KBSホールではなくロームシアター京都だったのは、当時アルバムのホールツアーで京都会館でやっていたからかなと思ってもいました。この会場でやりたかったっていうのが一番でしょうが...。
DIR EN GREYのライブで初日というのはうれしくもあり物足りなくもあります。というのもこのバンドはライブする度に徐々に変化したり、聞こえ方も変わるからです。去年、DSSで京都に行った時もその時にしか観れなかった曲もあれば、音のまとまりという点では発展していく雰囲気を感じていました。だから、その過程を追いかけたくなる魅力があります。ライブバンドというのは初日と最後で見せ方や聞こえ方が違うというのは大なり小なり持っているんでしょうが、彼らの場合はその続きを見たくなる傾向が強いです。
初日の午後14時頃に新幹線で京都に到着し、そのまま土産屋さん直行した後MASSIVEを熟読してお世話になるホテルへ荷物を置きに行きました。時間があったので平安神宮を巡りました。有料で中に入りたかったですが開演に間に合いそうもなかったので景色を見て、会場へ。
今回のロームシアター京都は京都会館を改築した会場で、平安神宮や府立図書館などの古風でレトロチックな建物がある中に普通に溶け込んでいました。会場はただのホール会場ではなく、コンビニやスタバが入っていて、本屋さんなどもはいっていて、交流スペース、多目的施設といった印象でした。メインホールは改築したらしく4階建てでステージを上下左右椅子で包み込むように設計されたオペラハウスのような造りになっていました。ちなみに僕は4階4列の最後尾でしたけどね..おいノット!
アルバム発売当時はより硬派なイメージになっていて、解散危機だった頃ですね。「死滅への枯渇」なんてタイトル自体がバンドの状態を表していたように思えてならないです。VULGARのように分かり易く活き活きとしていた激しさではなく、激しいベクトルが違っていて、何処かイビツで歪んでいて、今にも壊れてしまいそうな、そんな危うさを内包していました。当時はホールツアーがその緊張感やピリピリした状態が強くて、逆にスタンディングツアーの時は何か吹っ切ったような解放感を覚えています。余談ですが、この新木場での最終公演のDVDが今でも一番好きなDVDですね。そこから「THE MARROW OF A BONE」に行くと、アグレッションが増して英詩多様になって、世界へ挑むって姿勢が如実に出てたように思います。
そんな海外進出の足がかりにもなった時期のアルバムを冠したツアー。SEで流れた映像は朔~鼓動~Revelation of mankindにも出演していた格闘家の方かな?彼が何処かの森の中で誰かをスコップでXXXしたり遺棄しているようなシーンが挿入されていて、明らかに上記3曲を意識したような映像でした。そうきたかと思っているとメンバーが入場。京は髪が宣言通りピンク、薫に至っては銀髪に様変わりしていてまるでメタリックで衝撃ものでした。正直、最近は京よりも薫の方がインパクトを受けてますね。それこそ朔で短髪にして以来ずっと黒髪ロングだったのに、この2か月でここまでビジュアル変わるとは。。他3人は変わらず。
SE
1.Merciless Cult
2.朔-saku-
3.Jesus Christ R'n R
4.Machiavellism
5.愛しさは腐敗につき
6.鼓動
7.禍夜想
8.孤独に死す、故に孤独。
9.dead tree
10.悲劇は目蓋を下ろした優しき鬱
11.Spilled Milk
12.Beautiful Dirt
13.Revelation of mankind
14.The inferno
ENCOLE
SE G.D.S
15.GARBAGE
16.C
17.THE FINAL
18.Un deux
19.詩踏み
オープニングはアルバムの曲順通り「Merciless Cult」。個人的には12年前のメルパルクホール福岡以来でした。英詩のテロップが次々に現れるという演出から「朔-saku-」へ畳みかける展開。大画面にPVが流れ早くもライブは盛り上がりを見せました。
ブレイクを挟んだ後「Jesus Christ R'n R」。当時はファンクな印象の強い曲でしたが、今でもその独特なグループは変わってておらず、一方でサビを歌わせたりと合唱曲となっていたので物凄く変態な曲でした。逆に「Machiavellism」は打って変わって軍隊や兵器をコラージュしたような映像がバックに流れる中、アッパーな1曲になっていました。Toshiyaの「オイオイオイオイ!」は短縮バージョンでの披露でしたが、ファンの盛り上がりと対照的に、それを見ながらお兄さん的な様子で楽しんでいるメンバーの姿。曲を作ったToshiyaの若かりし頃のロケンローな部分が炸裂していたんだなと。
打って変わって「愛しさは腐敗につき」「鼓動」、ブレイクを挟んで「禍夜想」「孤独に死す、故に孤独。」「dead tree」「悲劇は目蓋を下した優しき鬱」とミッドセクションに入ってより世界観を掘り下げていきます。楽曲の世界観はバラバラなのに、違和感なく曲の世界に浸れるあたりは,どことなくARCHEにも通じている気がしました。当時は孤独~dead~愛しさ~悲劇~と続いて眠くなっていったのを覚えています。「孤独に死す~」で思いましたが、当時京は口の中に手を突っ込んで傷をつけて血を垂れ流していました。それはもう何度も何度も....何でやってたのかは曲の世界が呼んでいたからって言ってましたが、Witherの曲は、歌詞が全体的に暗いんですよね。エログロな歌詞でも、悲恋な歌詞でもなく、その時の京自身の内面的な、精神的な部分や不条理を世の中に問うメランコリックな世界。そして救いがない。「鼓動」なんて曲調はまだ明るい方なのに歌詞は「もうどうしようもないのに、また朝が来るよ」みたいな夢も希望もない。苦悩を苦悩のままに歌い上げている。だからそこからもがこうとしてあんな風に体を傷つけて生きることの意味を己に問うていたのかななんて感じます。
「悲劇~」が終わると奇怪な映像が流れる「Spilled Milk」から今アルバム一のハードコアナンバー「Beautiful Dirt」へ。この相手を徹底的に否定する歌詞が痛快で堪りませんでしたが、激しすぎて半ば茫然と立っているファンが多いのも印象的でした。煙が沸き上がり歌詞がそこに表示されるという、その詞をフィーチャーした映像が今回は多いです。そして「Revelation of mankind」ではそこからさらに攻撃性を増して襲い掛かり、ライブはボルテージが絶頂に達しました。背後にPVが流れる圧巻の演出を経たまま、ダメ押しの如き「The inferno」を叩き付けて、本編は終了。
アンコールのG.D.Sは多分誰もやると思ってなかったはず。しっかりと映像も作られててアンコールでは定番化するんでしょう。そのブレイクで飛び出した京は黄色が嫌いと言っていたのに黄色いTシャツを着ていました。そんなこと思った矢先の「GARBAGE」そして「C」。やっぱりこの楽曲は「実際~」と「dead freedom」で大合唱が湧き上がって、メンバーも入れ替わり立ち代わり笑顔で煽っていきます。その熱量を伴ったまま「THE FINAL」では京が鮮やかに歌い上げ、「Un deux」ではお馴染みのマイクをファンに向けて詩の大部分を皆で歌っていました。最後は「別に言うことない!」からの「詩踏み」で終演を迎えました。
2日目はチェックアウト後金閣に行きました。ここで金箔ソフトクリームというのを食べたんですが、実際はソフトクリームに小豆と餅が入っててそれを金箔で包むという洒落た食べ物でした。値段が高いんじゃないかと。金閣は世界遺産ということもあって、やっぱり壮観でしたね。金箔もこれでもかと使われていて、写真で見たあのままの金閣でした。そのままバスに揺られて銀閣に行きましたが、僕は個人的にこっちの方が風情が感じられて好きでした。銀閣に行くまでの坂にいろんな店が並んでいるですけど、その風景が凄く好きでした。銀閣は金閣よりも敷地は小さかったですが、金閣のような荘厳さではなく、むしろ質素な雰囲気こそが似合う建物でした。そこから「哲学の道」という歩道を渡って永観堂~南禅寺と行きました。水路や、体を天空に隠されたという伝説のある駒大僧正、立ち入り禁止の山稜など色々なところを巡りました。お寺の中に水路があるというのも珍しいですよね。帰りは三門という大きな門を上がって景色を見ていたのですが、靴下が破れていることに気付き一生けん命それがばれないように歩いていたので、挙動不審者と思われたでしょうね。そのまま南禅寺を出て道なりに行くと会場に着きました。京都観光はこれで終わりです。でも開場してとにかく疲れていたので10分位椅子で寝ていました。
しかし2日目は4階3列目だったんですが、1列違うだけでだいぶ見え方も窮屈さも変わるものだなと。KBSホールは横に大きな会場というイメージでしたが、椅子ありの方がゆったりと見れるし、こんなオペラハウスみたいなところでもう見れる機会もないんじゃないかと思うと貴重だなと感じつつ開演です。
SE
1.悲劇は目蓋を下ろした優しき鬱
2.Merciless Cult
3.GARBAGE
4.Machiavellism
5.愛しさは腐敗につき
6.懐春
7.禍夜想
8.孤独に死す、故に孤独。
9.dead tree
10.鱗
11.Jesus Christ R'n R
12.Beautiful Dirt
13.Spilled Milk
14.THE FINAL
ENCOLE
SE G.D.S
15.朔-saku-
16.C
17.鼓動
18.Sustain the untruth
19.詩踏み
京が髪にツインテールみたいなウィッグを巻いて上下ジャージという田舎のヤンキーのような恰好で,バラードの「悲劇は~」から始まりました。
「Merciless Cult」「GARBAGE」と立て続けに演奏されていく中,「Machiavellism」で盛り上がりの序盤のピークに達するなど,セットリストは前日の流れを踏襲しつつも曲順や異なったARCHEの曲が挿入されていました。「愛しさは腐敗につき」からの「懐春」への流れは濃密かつ新たな息吹が与えられたようなセクションでしたし,「禍夜想」「孤独に死す,故に孤独。」「dead tree」のセクションは当時のツアー同様,今回のツアーでも中核的な存在になっていました。「鱗」から「Spilled Milk」まで叩きつけるように激しい曲が演奏され,最後は「THE FINAL」で本編終了。
アンコールも前日同様「G.D.S」から「朔-saku-」「C」と間髪入れずに盛り上がりを見せ,メンバーもフロントをあわただしく動きまくります。「鼓動」「Sustain the untruth」と大合唱曲で会場に何度も何度も声を求める京。最後は「いけるかー!!」と長めに煽り「詩踏み」で終焉。
こうして僕の「Withering to death.」は終わりました。と同時にFROM DEPRESSION TO_も終わりを迎えました。結果的に京都で始まり,京都で終わりましたね。MACABREの時は1曲1曲のボリュームや世界観が大きくて,それがぶつかりあって混沌としていた気がしますが,このWithring to death.は世界観というより楽曲がコンパクトになっていて,全体的にさらっと聞けた感じがありました。それでいて中に入ってみると深い世界という。その感覚の違いが新鮮でしたね。このWitherは自分が当時聞きまくったアルバムで,やっぱ染み付いてるんですよね。MACABREの時よりもそれを強く感じたかな。で,内容も当時は楽曲に引っ張られてた感があったけど,全てを昇華して均一化して,バンドがしっかりと体に染み付いているのが分かりました。その上でどう流れを作っていくか,という。
なんだかんだで,このアルバムツアーの中で,すべての年代のアルバムが同じ次元で体にしみこませることができたんじゃないかと。だから,それを超えるアルバムというのも見えてきてると思います。もう余計な言葉はいらない。後は,未来像がわかるはずだから。