Pains パリの味

パン屋、ベーカリー作りを応援します。

ベーカーテクノサービス

酸化と還元

2018-05-02 06:14:50 | Weblog

成田山新勝寺、三重の塔、


信越本線横川駅にて、

酸化と還元、正に化学ですが、パン作り、特に「砂糖を使わないパン」ではこのバランスがとても重要です。酸化は生地を占める、言い換えればグルテンを強化する事。このグルテンがパンの骨格を作り、発生した二酸化炭素を包み込み、大きく膨らむための準備をします。しかし、強化されたグルテンはしなやかさ・柔軟性に欠けます。グルテンに柔軟性を与えるのが還元で、そこに使用されるのがモルトです。モルトはデンプンから葡萄糖に至る化学変化を促すいくつかの酵素が含まれ、デンプン→デキストリン→
麦芽糖→葡萄糖と分解します。イーストは単糖類の葡萄糖と加藤を発酵しますが、2糖類の麦芽糖は発酵できず、パン作りではこの葡萄糖がアルコールと二酸化炭素生成を左右します。

そして発酵が持続している間はグルテンをしなやかに、柔軟にしますが、葡萄糖が不足して発酵が止まるとグルテンは固くなり柔軟性を失い、生地表面は乾きカサカサになります。この状態では焼成での窯伸びは期待できず、フンワリしたパンにはなりません。ふわふわのパンを焼き上げるためには、焼成中も発酵が続き二酸化炭素が生成され、膨張する事が必要です。更に焼成後半で生地中の水が沸騰し爆発的に膨張する事が必要で、この時のグルテンの伸展製・柔軟性が保たれているかどうかが窯伸びの大きさを決めます。

パン作りではグルテンの強さと柔軟さのバランスが窯伸びに影響し、デキストリンが水分量としっとり感、ねっとり感を保ち、麦芽糖や葡萄糖などの糖類が甘さ、旨味の元となり、アルコールや酸などが香りに大きく影響します。

発酵の持続をコントロールする事はパンの容積、風味を決める大切な要素で、モルトを使用しないパン作りは考えられません。