Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

本番前の最後の練習

2016年11月30日 | 家・わたくしごと

 今週の土日、光塾でワヤンの舞台がある。最後の練習では部屋を暗くして、本番の舞台と同様に練習を行った。前日に通し稽古を行っているため、最後の練習では暗さの中での練習と、一幕ごとに影のチェックが行われる。チェッカーはグンデル奏者たち。一人だけ演奏をして、残りの三人が影側に張り付くこともしばしば起こる。
 実はこの練習はワヤンにとって、というより、人形を操るダランにとってはとてつもなく重要な稽古である。操り手である私はもちろんバリで影を演出するためのさまざまなテクニックを師匠から学んだのだが、実際のところ、それが影にどのように映るかわからないことが多い。影側にビデオを置き、モニターで操る側から見れればいいのだが、そうもいかないのだ。
 如何せん、実際に影をチェックしてもらうといろいろ問題点が浮き彫りになる。「その演出だとよくわからない」「影がきれいに映っていない」「馬に乗っているようにみえない」「矢を撃ったあとの矢の動かし方がよくない」などなど。こんなものではないのだ。十分考えて操っているつもりなのだが、やっぱり指摘されることは「なるほど」と思わせることが多い。
 つまりは、ワヤンの上演は皆で作り上げるといっても過言ではないのだ。考えてみれば、バリだって練習しているとき、近所のおじさんたちがにわか師匠になって、なんだかんだと口を出す。バリだってそうして複数の目が上演の質を向上させている。大事なことは、傾ける耳を持つか、もたないかである。謙虚さをなくしたとき、芸の質は低下するか、もしくは停滞し続けるもの。