名塩御坊 教行寺

西宮市北部にある蓮如上人創建の寺 名塩御坊教行寺のブログ
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2016年3月の寺だよりに掲載しました 死後の世界

2016年10月27日 12時22分17秒 | 愚僧独言・「寺だより」掲載
 人は死んだらどこへ行くのか。
 日本神話には、死者の世界として「黄泉(よみ)の国」が記されている。古代中国人は死後の世界が地下にあると考えていたので、地下にあるといわれる黄泉(こうせん)をあの世の意味に使った。その「黄(こう)泉(せん)」を大和言葉の「ヨミ」に当てて「黄泉(よみ)の国」と表記した。「黄泉の国」は地下にはなく、例えば出雲地方のような特定地域だと考えられている。実は、「黄泉の国」ほど有名ではないが、日本神話には、死後の世界として「根の国」というのもある。ただ、黄泉の国と根の国の関係は不詳。
 神話ではないが、日本には、亡くなった人が「草(くさ)葉(ば)の陰(かげ)から見守る」という言葉がある。文字通りに理解すれば、死者はバッタや葉ダニのように、草葉の陰にいるということになる。これではさすがにおかしいということで、多くの辞書は、「草葉の陰」を「墓石の下」だと説明する。しかし、この説明の方が怪しい。「葬」という字は、上から順に、草、屍、草(くさ しかばね くさ)という構成になっている。つまり、草の間に死者を置くのが「葬」の字源である。日本でも、庶民の遺体は、長く山野に遺棄するのが習慣だった。草葉の陰は、本当に草葉の陰なのだ。
 改めて問う。あなたは死んだらどこへ行くのだろうか。

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