名塩御坊 教行寺

西宮市北部にある蓮如上人創建の寺 名塩御坊教行寺のブログ
〒669-1147 兵庫県西宮市名塩1丁目20番16号

神戸別院の慶讃法要

2024年05月20日 21時56分00秒 | 仏教・宗門関連
住職の娘です。

5月18日(土)は浄土真宗本願寺派兵庫教区・神戸別院(モダン寺)の慶讃(きょうさん)法要のご縁にあわせていただきました。

浄土真宗・立教開宗800年、宗祖親鸞聖人ご生誕850年記念法要。

厳かな空気のもと勤修されました。

残念ながら、昨年、わたしはご本山での慶讃法要に参拝できませんでした。
ライブ配信を拝見していましたが、やはり空気が感じられません。

その点、この度の神戸別院における慶讃法要では道俗とも一体感のあるご唱和…有難い気持ちでお参りすることができました。

儀式の様式美があります。
また、多少難しくとも、有難い言葉を音にのせるというのは本当に素晴らしいです。



正直、ゴールデンウィークに肋骨を痛めて以来、外出も億劫だったのですが、お参りに行くことがてきて有り難かったです。

ちなみに、まだ大きく息を吸うと痛みがあるので、お勤めは厳しい状況です。
永代経法要の準備も…💦


ともあれ、どんな状況であろうと、こうして尊いご縁にあわせていただきましたこと、感謝申し上げます。

南無阿弥陀仏



今年度の個人的なこと

2024年04月22日 08時26分41秒 | 仏教・宗門関連
住職の娘です。

名塩は山々の新緑が鮮やかな季節となりました。
新年度が始まり、すでに一ヶ月が過ぎようとしています。

個人的な話ですが、今年度は新たなチャレンジをすることにしました。
宗学院(しゅうがくいん)別科(べっか)の受講と、龍谷大学の科目等履修生になったことです。
行信教校(ぎょうしんきょうこう)は昨年度から継続です。ただし、オンライン視聴がメインです。

簡単な説明ですが、
宗学院とは、浄土真宗本願寺派本願寺内に設置された真宗教学の総合的な研究施設です。
宗学院には、本科と別科があり、現在「本科」とよばれる研究施設が元来の「宗学院」で、近年、そこから派生して「教学の基礎」を学ぶことができる「別科」が設けられました。
ちなみに、宗学院は今年度創立100周年を迎えます。

本科は、将来の真宗教学の指導者育成の場であり、修了年限は3年です。
対して、別科は、広く基礎から教義の研鑽を行う場であり、基本的に修了年限は1年(2年以上の継続受講が可能)となっています。

龍谷大学の科目等履修生に関しては、当初、龍谷大学の図書館利用が一番の理由でした。
ただ、シラバスで講義を調べていると、私が個人的にたいへん興味がある「御文章(ごぶんしょう)」を題材とした科目がありました。
喜び勇んで、前期は大学院の研究講義(すこし無謀…)、後期は大学の専門科目講義を履修申込みを行いました。

以前もご紹介した行信教校(学校法人)は、浄土真宗本願寺派の僧侶養成・研鑽の学校です。

正直、体力がない私にしては、だいぶ背伸びしすぎ・欲張りすぎの今年度です。
週に2~3日、京都や高槻(大阪)に行くことになります。

それでも、こうして学ばせていただくことで尊敬できる方々とのご縁に恵まれ、興味の対象が拡張され、心が豊かになりました。
悩みごとについては依然悩んでいますし、しんどいことは変わりません。
しかし、「~べき」「ねばならない」ということ以外で、「やりたい」と思うことが自分にもやっとできた気がします。

「今日が人生で一番若いんやから」
今年93歳になる祖母に励まされ、学ばせていただけるご縁に喜び、この4月を過ごしています。

南無阿弥陀仏











濃すぎる1日 「領解文勉強会」と「阿弥陀経を読む」

2023年09月03日 23時03分49秒 | 仏教・宗門関連
住職の娘です。

2023年8月28日(月)
築地本願寺さんで行われた勉強会に参加しました。

講師・井上見淳(けんじゅん)和上
浄土真宗本願寺派 司教(しきょう)
龍谷大学准教授

◯午前10時〜午後1時
領解文(りょうげもん)勉強会
(主催 東京聞薫会)

領解文勉強会の中で、江戸時代におきた真宗の教義に関する論争の一つ、三業惑乱(さんごうわくらん)の話がありました。

江戸時代中期、西本願寺内で、当時の宗門教学のトップが誤った親鸞聖人の教えを広めたことによって、全国の僧侶や門徒まで巻き込んだ大騒動を「三業惑乱(さんごうわくらん)」と呼びます。
この「三業(さんごう)」とは、身(しん)・口(く)・意(い)のことで、私たち人間のおこないをさします。

少し説明すると、浄土真宗は阿弥陀仏の信心によって浄土に生まれさせていただき救われるという、親鸞聖人の教えをうける宗派です。

しかし、当時の西本願寺教学トップが、身口意(しんくい)の三業、つまり、身では礼拝し、「たすけたまえ」と口にして、心から浄土往生を願って帰依することで救われるという、自らの行いを必要とする説を主張したことが問題の発端となりました。

この教学トップの主張とそれを正そうとする学僧たちの論争は激化し、全国の僧侶・門徒を巻き込み、最終的には幕府の寺社奉行に裁定を委ねざるを得ない事態となります。
そして、当時の教学トップとそれを正そうとする学僧たちに対論させた結果、当時の教学トップの説が誤りであるという裁定が下りました。

門主はその裁定を追認する形で全国に通達を出し、長く続いた三業惑乱は決着します。

この三業惑乱において、当時の教学トップを見事に論破し、事態収束に尽力したひとりが安芸(広島)の大瀛(だいえい)様という学僧です。

講義の話しぶりから、井上和上が大瀛様を大変尊敬しておられるのを感じました。

↑写真は三浦真証著『真宗教学の歴史を貫くもの 江戸時代の三大法論入門』の表紙です。

京都や江戸の寺社奉行所へ出向くため、病身に鞭打って広島の山奥から命をかけて旅をした大瀛様。

親鸞聖人が伝えてくださったお念仏の教えを守るという大役を果たされた後、老母をのこした国許・広島に帰還することなく、今の築地の地にて40代半ばで往生されました。

今、築地本願寺の境内には、その大瀛様のお墓と碑があります。

下記は井上和上が講義の最後に語ってくださった言葉です。
内容は、大瀛様が最後に書かれた国許の母への書簡でした。

『身の行はあしくとも、
 心ざまはあしくとも、
 称名は浮かばずとも、
 ありがたく思ふ心はおこらずとも、
 これでは往生いかがとうたがふべからず。
 この者を助けんとありて、厚くご苦労まします本願よと、
 安堵の思ひに住して御入候へ』


◯午後2時30分〜午後6時
【伝道部公開講座】
「お経の中身をイチから学ぶ ~『阿弥陀経』を読む~」最終回
(主催 東京教区青年僧侶協議会 伝道部)

全4回の公開講座でした。

講義内容としては、註釈版聖典を持ち、浄土三部経の簡単な基礎知識と『仏説阿弥陀経』に慣れ親しんだ方を対象にしたものだったと思います。

私自身、ネットでこの講座を知って申し込み、2回目からオンラインで参加していました。
1回目を逃したようですが、「最終回だけはリアルで受けたい」と願って講座が開講されている築地本願寺に行きました。
やはりナマはすごかったです。

デジタルの小さな画面越しにはない、ピンと糸が張ったような空気感と言葉が響いてきました。

ただ、少し気になったのは…
私たち参加者は座ったままで、講師である和上様が立ちっぱなしということ。
45〜50分講義、その後10分休憩という連続講義でした。

講義中、井上和上(たしか47歳とお聞きしました笑)の気迫に圧倒されつつ、
正直、恥ずかしいような申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

「如来大悲(にょらいだいひ)の恩徳(おんどく)は 
 身を粉(こ)にしても報ずべし
 師主知識(ししゅちしき)の恩徳も
 骨を砕きても謝(しゃ)すべし」

そんな恩徳讃の歌声が聞こえてくるような1日でした。

娑婆生活には、誰しもさまざまな制限や優先順位があります。
同時に、切迫した「今しかない」ということもあるでしょう。
そのような中で、こうして二ヶ月連続で築地本願寺に参拝できたことは、私にとって「今しかない」得がたいご法縁でした。

南無阿弥陀仏


✳︎↓領解文勉強会の最後に拝読しました(配布資料の一部)



築地本願寺に参拝(推し活遠征)

2023年07月29日 11時48分00秒 | 仏教・宗門関連
住職の娘です。

暑い日が続きますが、家族全員、おかげさまで元気に過ごさせて頂いております。

少々ブログ更新をサボりすぎて、編集の使い方や文章の書き方を忘れてしまいました。

今日は、先日参拝した東京・築地本願寺と常例布教のことを少し。







先週、行信教校(ぎょうしんきょうこう)校長・天岸浄圓先生のご法座に行ってきました。

正直、わたしにとっては「推し活遠征」のようなものです。

やはり、YouTubeでライブ配信されると言っても、推しとなれば生ライブに行きたいのが人情。

天岸浄圓先生がご講師として立たれたのは、「仏さまの教え」と題した常例布教です。

この企画は、ご講師を変えて連続のご法座にあわせて頂くことができます。

昔の報恩講などは数日間連続で執り行われたので、このようにずっとご講師の先生のお話を聴き続けるご縁がありました。

しかし、残念ながら、近年は世相を反映して、なかなか連続して同じご講師のお話を聴かせて頂くことも少なくなりました。

そういう状況にあって、末寺にはできないこうした常例布教というものが継続されることは、大変有難いことです。

ご講師の先生には、本当にさまざまな方がいらっしゃいます。
築地本願寺の職員の方々が「この先生のお話をぜひとも皆さんに聴いて頂きたい!」という熱意のもと、大変なご苦労をされて運営しておられます。

個人的な考えですが、こういう場で好きな先生を見つけるのも楽しいと思いますし、合わないなら合わないで構いません。

ただ、できることなら…
真宗の教えは決して霊魂やオカルト的な話ではないと知って頂き、お盆お彼岸、月命日、先立たれた方のお誕生日など、折に触れて先生方のお話をご視聴頂ければ幸いです。



築地本願寺

YouTube

 


仏さまの教え(常例布教) | 築地本願寺

東京・築地にある築地本願寺(浄土真宗本願寺派)の公式ホームページです。京都・西本願寺を本山とし、浄土真宗の教義をひろめ、 心豊かな人生や社会づくりへの首都圏の拠点...

築地本願寺

 

南無阿弥陀仏


『親鸞と高田本山』と専修寺に行ってきました

2023年06月15日 18時13分00秒 | 仏教・宗門関連

住職の娘です。

先日、三重県で一人旅をしてきました。
一番の目的は『親鸞と高田本山』という三重県総合博物館の企画展です。

これは、浄土真宗の開祖である親鸞聖人の生誕850年・立教開宗800年の企画展であり、真宗の宗派に関連するものです。

現在、親鸞聖人を開祖とする「浄土真宗」には10の宗派あり、まとめて「真宗十派」と呼んだりします。
その十派のひとつに「真宗高田(たかだ)派」があり、現在、高田派本山「専修寺(せんじゅじ)」が三重県津市にあります。

三重県津市
一身田(いっしんでん・いしんでん)








専修寺は、JR紀勢線津駅から一駅、駅からお寺まで徒歩5~10分ほどです。
「伊勢別街道」とよばれる「いせみち」沿いにあります。





↑伊勢木綿のお店です。

路地と古い建物が残っています。


※伊勢別街道についてネットで検索していると、地図付きで簡潔な記事がありましたのでリンクを張っておきます。
興味がある方はどうぞ↓

この専修寺の建築物と寺宝は素晴らしいです。
現在、如来堂(にょらいどう)と御影堂(みえいどう)は国宝となっています。
おそらく、西本願寺よりも彫刻は豪華です。



ご覧頂いたとおり、平日とはいえ、静かな場所です。

この静謐さが大変有り難く感じました。


この通天橋は、何かの撮影現場として使用されたそうですね。





※専修寺でいう「如来堂」は、本願寺などの「阿弥陀堂」に相当し、安置されているご本尊は阿弥陀如来立像です。

宗派に関することですが、真宗高田派は、開祖の親鸞聖人から直接教えを受けた関東の弟子たち、特に真仏(しんぶつ)上人、顕智(けんち)上人という2人の有力な直弟子によって教団を形成していきました。

そのため、今回の『親鸞聖人と高田本山』は、主に親鸞聖人とその直弟子である真仏上人、顕智上人という3人の関係の深さが感じられる書物が多く展示されていました。

また、親鸞聖人から現在に至るまで、どのように法灯が継承されてきたかという点に焦点をあてていたので、展示品もきらびやかな「宝物」というよりも、歴史的史料の「寺宝」というべきものが多かったです。

貴重な八百年前の直筆の書物を、一般人が拝見できる滅多にない貴重な機会でした。

個人的なことですが、古い巻物の『親鸞伝絵(しんらんでんね)』については、僧侶になるための勉強で習います。
ここは先生が説明してくれた場面だ!とか思いながら、楽しく拝見できました。
まさに学生気分です。



『親鸞と高田本山』6月18日(日)が最終日で、私は開催期間ぎりぎりの16日に行きました。

お察しの通りマニアックな企画展だったので、拝観者は僧侶らしき人が多かったです。
さぁ帰ろう!というところで、大阪本町にある浄土真宗本願寺派津村別院(北御堂)でお見かけする方が、私と入れ違いで入館されていくのを目撃…
この業界の狭さを実感しました。

専門性が高い史料はさておき、専修寺さんは宗派関係なく文化財としてぜひとも拝観したい寺院です。

ご縁がありましたら、真宗高田派本山・専修寺にお参りください。

合掌




仏さまのお部屋でスイーツやお茶などをいただけます。
私はコンニャクの味噌田楽、焼きおにぎりのお茶漬けを注文しました。
とても美味しかったです!
額に書かれた
「響流十方(こうるじっぽう)」













↓新しい宝物館で「燈炬殿(とうこでん)」といいます。


3D映像で御影堂の中を拝見することができました。
この部屋だけは撮影が許可され、職員さんからネットへの投稿が推奨されます!笑






Googleマップのように上から敷地全体を把握したり、高い位置にある装飾を間近で見ることができるのはとても有意義です。
新時代ですね。



余談
浄土真宗のなかでの宗派に関して

名塩の教行寺は「浄土真宗本願寺派」に属する寺院です。
浄土真宗本願寺派の本山は「本願寺」で、よく「西本願寺」とも言いますが通称です。

同様に、「真宗大谷派」があります。
こちらの本山の正式名称は「真宗本廟(しんしゅうほんびょう)」です。
一般的に、真宗大谷派の本山・真宗本廟の通称が(本願寺の西に位置するので)「東本願寺」になります。

ちなみに、真宗大谷派にも「教行寺」があります。
それは、東西に分裂する以前、祖を同じくする名塩の兄寺にあたる大きな寺院でした。


真宗十派の寺院数は以下の通りです。
1、浄土真宗本願寺派 約10,100
2、真宗大谷派 約7,000
3、真宗高田派 約620
となっています。
(↑ネット上の情報による概算であり、正確な数字ではありませんのでご了承下さい)

高田派の親鸞聖人に関する企画展に行き、浄土真宗本願寺派の僧侶と遭遇してしまう理由をご理解いただけると思います。
絶対数が多いので、仕方ないのです。

ちなみに、るるぶの表紙にも書いてありますが、真宗十派は以下の通りです。
  • 浄土真宗本願寺(ほんがんじ)派 
  • 真宗大谷(おおたに)派 
  • 真宗高田(たかだ)派 
  • 真宗佛光寺(ぶっこうじ)
  • 真宗興正(こうしょう)派 
  • 真宗木辺(きべ)派 
  • 真宗出雲路(いずもじ)派 
  • 真宗誠照寺(じょうしょうじ)
  • 真宗三門徒(さんもんと)
  • 真宗山元(やまもと)派 
それぞれに本山があります。
時の流れの中で訳あって分派していますが、別に喧嘩をしているわけでもなく、互いに優劣を競うものでもありません。
ともに開祖である親鸞聖人を仰ぎ、お念仏申させて頂くお同行です。

南無阿弥陀仏
 



個人的なオススメ書籍
るるぶ『親鸞ゆかりの地』