名塩御坊 教行寺

西宮市北部にある蓮如上人創建の寺 名塩御坊教行寺のブログ
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濃すぎる1日 「領解文勉強会」と「阿弥陀経を読む」

2023年09月03日 23時03分49秒 | 仏教・宗門関連
住職の娘です。

2023年8月28日(月)
築地本願寺さんで行われた勉強会に参加しました。

講師・井上見淳(けんじゅん)和上
浄土真宗本願寺派 司教(しきょう)
龍谷大学准教授

◯午前10時〜午後1時
領解文(りょうげもん)勉強会
(主催 東京聞薫会)

領解文勉強会の中で、江戸時代におきた真宗の教義に関する論争の一つ、三業惑乱(さんごうわくらん)の話がありました。

江戸時代中期、西本願寺内で、当時の宗門教学のトップが誤った親鸞聖人の教えを広めたことによって、全国の僧侶や門徒まで巻き込んだ大騒動を「三業惑乱(さんごうわくらん)」と呼びます。
この「三業(さんごう)」とは、身(しん)・口(く)・意(い)のことで、私たち人間のおこないをさします。

少し説明すると、浄土真宗は阿弥陀仏の信心によって浄土に生まれさせていただき救われるという、親鸞聖人の教えをうける宗派です。

しかし、当時の西本願寺教学トップが、身口意(しんくい)の三業、つまり、身では礼拝し、「たすけたまえ」と口にして、心から浄土往生を願って帰依することで救われるという、自らの行いを必要とする説を主張したことが問題の発端となりました。

この教学トップの主張とそれを正そうとする学僧たちの論争は激化し、全国の僧侶・門徒を巻き込み、最終的には幕府の寺社奉行に裁定を委ねざるを得ない事態となります。
そして、当時の教学トップとそれを正そうとする学僧たちに対論させた結果、当時の教学トップの説が誤りであるという裁定が下りました。

門主はその裁定を追認する形で全国に通達を出し、長く続いた三業惑乱は決着します。

この三業惑乱において、当時の教学トップを見事に論破し、事態収束に尽力したひとりが安芸(広島)の大瀛(だいえい)様という学僧です。

講義の話しぶりから、井上和上が大瀛様を大変尊敬しておられるのを感じました。

↑写真は三浦真証著『真宗教学の歴史を貫くもの 江戸時代の三大法論入門』の表紙です。

京都や江戸の寺社奉行所へ出向くため、病身に鞭打って広島の山奥から命をかけて旅をした大瀛様。

親鸞聖人が伝えてくださったお念仏の教えを守るという大役を果たされた後、老母をのこした国許・広島に帰還することなく、今の築地の地にて40代半ばで往生されました。

今、築地本願寺の境内には、その大瀛様のお墓と碑があります。

下記は井上和上が講義の最後に語ってくださった言葉です。
内容は、大瀛様が最後に書かれた国許の母への書簡でした。

『身の行はあしくとも、
 心ざまはあしくとも、
 称名は浮かばずとも、
 ありがたく思ふ心はおこらずとも、
 これでは往生いかがとうたがふべからず。
 この者を助けんとありて、厚くご苦労まします本願よと、
 安堵の思ひに住して御入候へ』


◯午後2時30分〜午後6時
【伝道部公開講座】
「お経の中身をイチから学ぶ ~『阿弥陀経』を読む~」最終回
(主催 東京教区青年僧侶協議会 伝道部)

全4回の公開講座でした。

講義内容としては、註釈版聖典を持ち、浄土三部経の簡単な基礎知識と『仏説阿弥陀経』に慣れ親しんだ方を対象にしたものだったと思います。

私自身、ネットでこの講座を知って申し込み、2回目からオンラインで参加していました。
1回目を逃したようですが、「最終回だけはリアルで受けたい」と願って講座が開講されている築地本願寺に行きました。
やはりナマはすごかったです。

デジタルの小さな画面越しにはない、ピンと糸が張ったような空気感と言葉が響いてきました。

ただ、少し気になったのは…
私たち参加者は座ったままで、講師である和上様が立ちっぱなしということ。
45〜50分講義、その後10分休憩という連続講義でした。

講義中、井上和上(たしか47歳とお聞きしました笑)の気迫に圧倒されつつ、
正直、恥ずかしいような申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

「如来大悲(にょらいだいひ)の恩徳(おんどく)は 
 身を粉(こ)にしても報ずべし
 師主知識(ししゅちしき)の恩徳も
 骨を砕きても謝(しゃ)すべし」

そんな恩徳讃の歌声が聞こえてくるような1日でした。

娑婆生活には、誰しもさまざまな制限や優先順位があります。
同時に、切迫した「今しかない」ということもあるでしょう。
そのような中で、こうして二ヶ月連続で築地本願寺に参拝できたことは、私にとって「今しかない」得がたいご法縁でした。

南無阿弥陀仏


✳︎↓領解文勉強会の最後に拝読しました(配布資料の一部)




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