ジム(ピーター・オトゥール)は任務に忠実な航海士だった。貨客船パトナ号の上級船員として、聖地巡礼に向かうマレー人を乗せた航海の途中、嵐に遭い、船長の呼ぶ声にひかれて乗客を見捨て、ボートに逃れた。しかし船は沈まず、海難審判で彼は資格を剥奪される。汚名にまみれて文明社会から放逐されたジムは東南アジアの港を、事件を知る者から逃れながら労務者として転々と渡り歩く。流れ着いた交易所の仕事でジムはパトサンの村へ銃と火薬を運ぶため川を上った。その奥地にある錫鉱山は“将軍”と呼ばれる男に牛耳られ、村人は奴隷のように酷使されていた。武器は村人が将軍と戦うためのものだった。武器を将軍に奪われそうになり、ジム自身も拷問にかけられたことから、彼は村人を助けることにした。彼が考案した作戦は成功、将軍を倒した。これによりジムは再びひとびとの信用を得、ロード・ジム[ジム閣下]と敬意をこめて呼ばれるようになった。しかし戦いのあと港町へ逃げた残党たちは海賊ブラウンと組んで村に隠された財宝を奪おうとした。祭の夜、彼らは邪魔なジムを殺そうとして誤って村長の息子(伊丹十三!)を殺した。ジムは彼らを皆殺しにしたが、友の亡骸を抱く彼を見る村人の目は冷たかった。一度犯した罪を償うことの難しさを、彼は心底思い知らされた。葬式の朝、ジムは自分の銃を村長に渡し、銃声が鳴り響く―。
(「ムービーウォーカー」HPより、1965年作品「ロード・ジム」あらすじを一部転記)
ジョゼフ・コンラッドの小説を映画化した作品は沢山あるが、個人的にはこの「ロード・ジム」と、キャロル・リード監督にしては失敗作、という不名誉な評価を受けている「文化果つるところ」が好きだ。
プライドを失ってしまった男が一度はそれを取り戻し、また失う。
苦い苦い結末である。
ジムと将軍(イーライ・ウォラック)
「おしゃれ泥棒」(1966年)
オトゥールとイーライ・ウォラック(美術品収集家役)
「オリーブオイル!」
コニー・コルレオーネの名付け親(ゴッドファーザー)であるにもかかわらず、その兄のドン・コルレオーネ(アル・パシーノ)暗殺を画策する裏切り者ドン・アルトベロ役。
「ゴッドファーザーPARTⅢ」(1990年)