F・スコット・フィッツジェラルドの小説「ザ・グレート・ギャツビー」が1925年の出版から今年で100周年を迎えたと読んで真っ先に思ったのは、「われわれ」は今や100年前の服装をお手本にしているのだな、と。
何度も書いてきたが、1974年の映画化作品「華麗なるギャツビー」は男性の衣裳をラルフ・ローレンが手掛けている(クレジットなし)。
物語の語り手ニック・キャラウェイと隣人で主人公のギャツビーが初めて出会う夜のニックは、二つボタンのネイビー・ブレザーに右下がりのレジメンタル・ストライプのタイ、白のフランネル・パンツという素敵ないでたちだ。
2013年版の同じ夜のシーン。アップデートされた21世紀のニックは、3つボタンのネイビー・ブレザーに右下がりのレジメンタル・ストライプのボウタイ、白のフランネル・パンツ。
男性の衣裳はすべてブルックス・ブラザーズが提供している。
書いているうちにだんだん高揚してきて、久しぶりに漆黒のメダリオン・シューズを引っ張り出して履いてみたのだが、、これが革のかたまりなので重い重い。
というか、靴が重いと感じたことなどこれまで一度もなかったのに、歳は取りたくないものだ。泣く泣く処分している。僕に110年はないかもしれない。
(トム・ブキャナン)「ギャツビーの話だ!彼の過去について、ささやかな調査を進めてきたとは言ったよな」
「で、彼がオックスフォードを出てるってのは分かったでしょう」とジョーダン(・ベイカー)が合いの手を入れた。
「オックスフォード卒!」彼は信じられないという顔をした。「そんなはずがあるか。ピンクのスーツを着てるんだぞ」
「でも、オックスフォード卒なのよ」
「ニュー・メキシコのオックスフォードか」とトムは侮蔑を込めて吐き捨てるように言った。「まあ、そんなようなところだ」
ー「ザ・グレート・ギャツビー」第7章より