ミューズの声聞こゆ

なごみと素敵を探して
In search of lovable

このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。

大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。 また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。

テープカット

2023年04月24日 | 日記

 北海道の医療法人様から事業所を譲受することになり、あちらの理事長さんがわざわざ挨拶とお礼にいらして下さった際に、私の母方の祖父は明治のひとですがクラーク博士にのぼせて北大の農学部に進んだんです、と伝えると、自分も北大の医学部卒で、それはご縁がありましたね、とたいそう喜ばれた。

そのご祖父様は卒業後どうされました、と尋ねられたので、僕はここに何回か書いたことを話した。

県北の呉服屋の跡取り息子で、卒業後は戻って家業を継ぎ、家族も持ったものの落ち着かず、店を畳むと妻子を仙台に残して単身満州に渡り、農園を経営したそうです。ただしほどなく体調を崩して内地に戻り、終戦の年(昭和20年)の12月に疎開先で亡くなって、妻子を戦後の混乱と貧困の真っただ中に置き去りにしたとのことでした。

たった一枚だけ残っている写真がその満州の農園で撮ったもので、荒れた畑の土の上に立ち、まぶしいのか恥ずかしいのか、ニヤニヤ笑っているように顔をゆがめていて、それが驚くほど自分にそっくりで、初めて見た時はぞっとしました-。

 改称しリニューアルした事業所の開所式の翌日、地元紙に掲載された記事の写真を見て僕はぎょっとした。市長さんの隣で切ったテープを高く掲げ、まぶしいのか恥ずかしいのか、ニヤニヤ笑っているように顔をゆがめた自分の表情が、あの祖父の写真とそっくりだったから。

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