ミューズの声聞こゆ

なごみと素敵を探して
In search of lovable

このたびの東日本大震災で被災された多くの皆様へ、謹んでお見舞い申し上げます。

大震災直後から、たくさんの支援を全国から賜りましたこと、職員一同心より感謝申し上げます。 また、私たちと共にあって、懸命に復興に取り組んでいらっしゃる関係者の方々に対しても厚く感謝申し上げます。

クロード・エイキンス

2022年10月21日 | ハリウッド

 デーム・アンジェラ・ランズベリーが亡くなったとの報道に接し、稀有の名女優だった彼女の作品や登場シーンを思い巡らすうちに、一人の脇役俳優に行き当たった。

ランズベリーの当たり役に、長寿テレビシリーズとなった「ジェシカおばさんの事件簿」がある。その第1シーズンに準レギュラーとして顔を出していたクロード・エイキンスという男優だ。古い映画ファンが減り、その名前を聞いて、ああ、あいつか、と頷くひともだいぶ少なくなっているだろうが、ちょっと名の知れた脇役俳優だった。そのキャリアをこれから駆け足で書いて行く。

(大きな声では言えないが、NHKでの初放映時、「ジェシカおばさん」を欠かさず観るようにしていたのは、このエイキンスが出ているから、というのも理由の一つだった。)

 

 軍隊上がりの容貌魁偉な彼の俳優デビュー作は大作「地上より永遠に」(1953年)。

その他大勢の兵士役でクレジットはないものの、セリフはあった。

左から三人目のポマード頭がエイキンス。

 

"歩く暴力”アーネスト・ボーグナイン登場!

 

 その次は、やはり戦争大作の「ケイン号の叛乱」(1954年、エドワード・ドミトリク監督)。

転出する艦長へ水兵たちがお金を出し合って時計を贈るというちょっといいエピソードに登場する。劇中、同じくまだほんの脇役だったリー・マーヴィンとのコンビで笑わせてくれる。

前列左がリー・マーヴィン。一人置いてエイキンス。

 

 そして、エイキンスの悪名をとどろかせることになる金字塔的作品の「リオ・ブラボー」(1959年)だ。いやいや違った、西部劇の金字塔だった。監督ハワード・ホークス、主演ジョン・ウエイン。「底抜け」コンビを解消しピンの芸能人としての今後のキャリアをこの一本に賭けたディーン・マーティンの必死さも、良い方向に作用している。

エイキンスは街の顔役の弟役で、映画の半分以上留置場に入っており、時々無駄口を叩いては主人公たちにどやされている。

左からジョン・ウエイン(保安官)、エイキンス、その兄の顔役。

 

ダイジェスト版。決して最後まで観ないでください。

 

 さらに続けると、テレビ映画として撮影されたものの、暴力描写が苛烈で劇場公開されたドン・シーゲル監督の「殺人者たち」(1964年)。

この映画については何度か書いてきた。ヘミングウエイの短編が原作で、悪役のボスにのちのアメリカ合衆国大統領ロナルド・レーガン。

主演は、自分の映画を撮る費用を稼ぐため出演作品を選ばなかった名優ジョン・カサベテス。

エイキンスはレーサー役のカサベテスについていたメカニック役だ。

そしてカサベテスを消したものの、彼の背景にカネのにおいを嗅ぎつけて生前の痕跡をたどって行く殺し屋がリー・マーヴィン。

エイキンスの自動車工場に現れ、思い切り脅す。

マーヴィンは翌年「キャット・バル―」の一人二役でアカデミー主演男優賞をもぎ取り、一躍主演級スターにのし上がった。

エイキンス(左)を脅すマーヴィン。

 

殺し屋の相棒がLGBTという、当時としては特異なキャラクター設定だった。

 

 大ヒットした「荒野の七人」の続編「続・荒野の七人」(1966年)はだいぶ地味な顔ぶれで記憶にも残らない凡作だった。

地味な七人。右端エイキンス。

 

 結局エイキンスは、リー・マーヴィンやアーネスト・ボーグナイン、チャールズ・ブロンソンのように(脇役からの)大化けはしなかったものの、70年代からはテレビシリーズで主役を務めるまでになり、いい晩年を送っている(1994年没)。

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする