長唄三味線/杵屋徳桜の「お稽古のツボ」

三味線の音色にのせて、
主に東経140度北緯36度付近での
来たりし空、去り行く風…etc.を紡ぎます。

花がるた 七月 萩・桔梗

2022年07月06日 07時04分10秒 | きもの歳時記
 今年はどうしたことでしょう、新暦の六月下旬から摂氏三十度超えの日が続き、二年続いて継続中のコロナ禍下も小康状態とて、少しづつ仕事を復活させる機運が街なかに広まりつつありますが、大好きな薄物を身に纏う喜びも半減いたします。

 生地を見ているだけで、その透け感にうっとりしてしまう明石縮は、雨に遭うとチリチリチリ…としぼんでしまうので、こんな急変する天候の時はもってのほか、十年ちょっと前、知り合いの呉服屋さんがお店をたたんでしまった折、一級河川…東京に於いては多摩川と荒川なんですが…一級化繊でもあるポリエステルの絽小紋を何着か仕立てて頂いたことがありまして、これが夏場は非常に重宝致します。
 しかし、この暑さはもう、如何ともし難く…。

 久しぶりに小千谷縮を取り出してみました。
 同じ“ちぢみ”でも、明石は正絹、長唄・越後獅子の歌詞でもお馴染み、小千谷は麻です。
 袖を通しただけで、ひんやりとして、ぉぉうれし。



 紺とグレーの幅広の縞に、矢羽根柄が織り出してあるこの小千谷ちぢみは、もう三十年以前に、今はなき渋谷の東急プラザにあった越後屋さんの、例によって夏物の売出しで求めたものでした。
 帯も麻の、染め名古屋帯です。
 生成り地に、淡い灰色で障子に見立てた格子を取り、秋草がそこはかとなく、達者な筆致で描かれています。
 前帯は、桔梗と白萩の二種、落款は"紫香"とありました。
 本職の、手慣れた職人さんの、量産品ではありましょうが、素晴らしい芸術品です。
 
 昭和から平成の前半にかけて、我々一般的日本人は、このような品々に囲まれて日常を彩っていたのでした。
 令和の現在の、産業構造の推移が残念です。


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