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長唄三味線/杵屋徳桜の「お稽古のツボ」

三味線の音色にのせて、
主に東経140度北緯36度付近での
来たりし空、去り行く風…etc.を紡ぎます。

水無月朔日、雨中の蔦重。

2025年06月25日 21時50分00秒 | 美しきもの
本日は旧暦ですと平成七年六月一日となりまして、明け方4時ごろ東の空に月が昇り、宵の7時、お陽様と共に西の地平に沈みます。

さて、昨日初日を迎えました東洋のヴィーナスを描いた鳥居清長の特集展のトピックスを少々。
ご覧いただけますのは、我が学生時代の恩師・横山實(みのる)先生が、半世紀余りの歳月をかけて蒐集されたコレクションの一部です。





歌舞伎好きの方には歌舞伎座の看板絵でもお馴染み、鳥居派の絵師、鳥居清長(とりい/きよなが)。
画業の初めは菱川師宣に似た古雅なタッチでしたが、何が清長を発奮させたのか…創意工夫、奮闘努力して独特の画風を確立するに至りました。

鈴木春信にそっくりの初期の錦絵から、磯田湖龍斎(NHK大河ドラマ“べらぼう”では鉄拳さんが演じました)の雛形若菜にヒントを得た中板、そして、清長の代名詞となる八頭身美人の大板浮世絵まで、清長の画風の変遷が一目で分かる展示となっております。

清長の浮世絵は海外の方に人気があり、日本国内では中々見られない名品の数々、是非お立ち寄り下さいませ。



『浮世絵類考』はその昔、浮世絵のことを知りたい者には必携の書でした。
大田南畝(蜀山人:同じく桐谷健太さんが演じています)が撰し、後年笹屋新七が加筆し、山東京伝(同じく古川雄大さんが演じています)が更に追記し、補足が後の方々の手によって加えられ、今日に受け継がれてきたとのこと、現代で言えばウィキペディアの如き形態で纏められた本なのです。
横山先生の私家本の随筆集、『浮世絵尽くし』。
ご自身の浮世絵コレクションの発端から、蒐集のエピソード、講演会記録、長唄とのコラボライブ企画・UKINEなど、貴重なお話が纏められています。

そして本展では、大河ドラマ『べらぼう』放送の今年に寄せまして、蔦重(蔦屋重三郎:横浜流星さん主演)印の入った三枚続きの大判錦絵や、遠景に至るまで細部が美しく当時の江戸の日常風景を写し込んだ“洗張り”など、4点を特に展示しております。

また、“風流十二気候 きさらぎ”図中に、水野美紀さんそっくりの眉を落とした内儀さんの顔も…



北品川遊興図には、ひょうろくさん? いや、寧ろえなりかずきさん?…によく似た方も…(表題写真の浮世絵をご覧くださいませ)

更に…! 馬面太夫を熱演した寛一郎さんファン必見、永寿堂・西村屋さん(同じく西村まさ彦さんが演じています)板元の、天明三(1783)年刊行、吉原俄の図も目近くご覧いただけます。
浄瑠璃“富本豊前太夫…富本豊志太夫”の連名も胸熱。
長唄(名賀唄)ファンには名見崎徳治、名見崎市太の名前が見えるのも嬉しい。



きもの好きな皆さまには、浮世絵の中の衣装の意匠も目に愉しい一時となりますこと請け合いです。我々はかつて、このような美しく細やかなデザインに彩られた日常とともに暮らして居たのですね…

日曜日29日(日)は夕方5時に閉場しますが、金曜・土曜と、夜7時まで開廊しています。
入場無料です。
炎天の街で一服の涼を…お待ちしております。



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