長唄三味線/杵屋徳桜の「お稽古のツボ」

三味線の音色にのせて、
主に東経140度北緯36度付近での
来たりし空、去り行く風…etc.を紡ぎます。

夏の庭

2018年07月07日 02時14分22秒 | 折々の情景
 昭和の或る夏の日の庭先で。
 空色のバスケットは、必ず携えるお出掛けのお供。
 母が握ってくれたオムスビ(たしか銀色のアルミホイル…のようなものに包まれてた)が中に。
 動物園や遊園地、父と行く映画館でもぐもぐと…梅が定番だったか。

 映画館ではたいてい、東映まんがまつり、東宝や大映の特撮もの…ゴジラやモスラや妖怪大戦争。ディズニーのアニメは勿論、実写ものも多かった。ほかにも数多の子ども向け外国映画、東欧のアニメやエミールと探偵たちもあった。
 まじめな教育映画は、学校で皆で観に行った。

 想い出多き我が町の映画館は、昭和50年代中頃には映画上映よりもイベント会場の趣きが強くなり、レコード大賞を獲ったちあきなおみが「喝采」を歌い、やがて閉館してしまったが、ご子息が自家焙煎の珈琲店を始めた。
 ご亭主のご努力の賜物でありましょう、今や都内にも支店を持つ繁盛店となっている。

 そうして以前は、暗闇に写る光と影の揺らめきを見つめていた同じ場所で、中庭の植栽をわたる風にほおを緩ませ一杯のコーヒーに心をたゆたわせる、時間の襞を思いながら。

 ふるい、ニューシネマパラダイスなお話し。
コメント
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