脳辺雑記帖 (Nohhen-zahts)

脳病と心筋梗塞を患っての独り暮し、Rondo-Nth の生活・世相雑記。気まぐれ更新ですが、気長にお付合い下さい。

狐狼狸(コロリ)小史観。

2020年05月03日 12時51分36秒 | 社会時評
日本では昨年、改元があり「令和」となったが、世界史的には、今年は
コロナ2年だろうか。新型コロナウイルスの感染拡大防止から、政府に
より「緊急事態宣言」が発せられ、「自粛要請」という怪しげな行政語で、
外出も商売もままならぬというお達しが下り、国中が閉塞状態である。

今や非常時であり、人類とコロナとの「戦争」であるとも言われる。今の
事態は100年前のスペイン風邪の世界流行を想起させるが、江戸の幕
末にも似た状況があった。当時の人々は、コロコロと人が死んでゆくの
で、「コロリ」と呼んでいたという。古い幕末年表を少し捲ってみた。

安政元(1854)年、日米和親条約が結ばれ、日本は正式に開国へと踏み
出す。安政年間は日本中で大地震が多発し、江戸も安政2(1855)年11月、
M7クラスの地震に襲われる。江戸市中での死者は1万人程度らしい。
安政5(1858)年、日米修好通商条約が締結されるが、この年に江戸で
コレラが大流行する。発生源は長崎に停泊した米国船の乗組員である。

安政5年のコレラ禍での、江戸の感染死者数は、3万人とも26万人とも
諸説はいう。幕府はこのとき、「種痘館」を設置している。コレラは4年後
の文久2(1862)年に再流行し、安政のコレラ以上の被害、死者が出てい
るそうである。ウイルスが変異して強毒化したのかもしれない。

幕末、世は尊王攘夷、討幕か佐幕かの時勢である。学校の教科書では、ど
うしても紙幅等の制約から民衆史の視点が抜け易いが、大地震等の自然
災害の被災やコレラ等の感染病への見えない恐怖は、異国排撃の攘夷や
討幕運動とも、人心は漠然とであれ、呼応同調したのであろう。

「世直し」、不景気の「時節直し」を求める声やら、先行き不安の広がりは、
ウイルスの感染爆発の後に、民衆エネルギーの噴出として出来した。
慶応3(1867)年の8月~12月に突如発生した「ええじゃないか」踊りで
ある。同年同時期頃、幕府は大政奉還、王政復古を行い、翌年から明治
の新時代が始まる。

令和の時代の始まりを、幕末~明治になぞらえる適否はさて措いても、
今歴史は「コロナ時代」という新しい局面に世界史として差し掛かって
いる。でも脅威なのはウイルスばかりではない。統制不能となった民衆
エネルギーの爆発、その世界連鎖も一大脅威である。

私は現在を「コロナ時代」と呼称するには、総括が小さい気さえしている。
地球規模の温暖化が本格的にもたらす人類への破滅的な影響の方が、
恐ろしい。「コロナ禍」は、その序章に過ぎないのではないかと言えば、
恐れすぎ、悲観主義者と呼ばれるかもしれないが、私は、人類は文明の
黄昏(或いは既に闇夜)に、自ら選んで放り出されていると、思っている。




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