近所で昔馴染みの、おバアさんが亡くなっていた。最近流行りの家族葬
をして葬儀は終えていたそうだ。町ではヒトが亡くなると、町内会のネ
ットワークが動き、訃報の紙片を辻掲示板に貼るのだが、近頃は、身内
だけで葬儀を行うため、町内会や近隣には知らせない風潮があるようだ。
年寄りが死んで近所に知らせると、弔問客がやって来たり、また家族葬
やら密葬なのに、葬儀日程を掲示板に貼られると、内々で済ませたいの
. . . 本文を読む
八月も下旬になると、風もほんの少し秋めいてくる。
さっきから窓の外の、家と家の隙間で、ネコが鳴いている。
見ると、多分ノラだろうが、幼そうな黒ネコだった。
古い鰺のテンプラが冷蔵庫に残ってたので、投げてやった。
暗くて見えない。喰ったかな? 明日の朝、確認しよう。
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数日前、私の母親は、大学病院の救急センターからO精神病院に転院
した。移送の車 . . . 本文を読む
過日自傷(自殺未遂)をした母が、大学病院の救命センターに収容され
て、2週間程が経過した。傷口は悪化することもなく、体は順調に回
復し、食事もトイレも自分で出来るまでになった。
今日、病院側から隣区にあるO精神病院に明後日転院する旨、連絡が
あった。O病院は、入院施設のある精神科病院としては、我が家から
最も近く交通の便も悪くないので、後はどのような治療をしてくれる
のか、入院費用は高くないのか . . . 本文を読む
今朝夢の中で、普段地味な父が、ピンク色のTシャツを着て何事かを
喋っていた。傍で結婚した妹が、この家は自分の夫が貰うからね、と
言っていた。私は庭で洗濯物を干していた。夏の陽射しが強かった。
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先週、暑い夏のお昼だった。多分外では、セミもジージー鳴いていた。
三人暮らしの我が家で、父も私も外出していた。精神病の母は、手に
包丁を持つ . . . 本文を読む
私は、バイオレンス系のマンガ・小説は好きな方である。勿論、
暴力そのものは嫌いだし、血や残忍性、苦痛や恐怖等も関わり
たくない。ここでバイオレンスとは、ただの物理暴力ではなく、
支配と服従、見栄や驕り、性愛や金銭、犯罪や欲望、格差と序
列等々、近縁の人間性を含んで織り込まれた事象のことである。
「バイオレンス」とは、人間性の根底が剥き出しになる瞬間であ
る。生き様から死に様までのヒトの生身の姿が . . . 本文を読む