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流野精四郎&東澤昭が綴る読書と散歩、演劇、映画、アートに関する日々の雑記帳

ウィントンの12条

2008-12-16 | 言葉
 浅田真央、石川遼といった10代のアスリートの活躍が話題を呼んでいる。彼らには生来の天分に加え、明確な目標を持って課題を克服するために練習を積み重ね、努力するという美徳が備わっている。本当に若い彼らには尊敬の念すら抱いてしまう。
 時分の花に終わらない確かな技は、基本的なジャンプの一つひとつ、パターの一打一打を地道に繰り返すことによってしか身につけることは叶わないのだ。
 同時代に生きることを幸せと感じることのできるアーティストやアスリートは稀有なものだが、彼らは間違いなくそんな存在であろう。
 すれからしの老俳優たる私も時には初心に戻りたいと思うことがある。これまであまりにも多くの役や人格を演じてきてどれが自分の本当の顔か分からなくなって素の自分を取り戻したいと思ったり、身体にも心にも生じた歪みを元どおりに矯正したいと願う、そんな時にいつも読み返す言葉、今日はそんな言葉を改めて記憶に刻みつけたい。

 これはすでに8年程も昔、ジャズ奏者のウィントン・マルサリスとチェリストのヨー・ヨー・マが共演した米国公共テレビ(PBS)で紹介されていたもの。タイトルは「怪物に挑む」だった。(もし著作権に抵触するようでしたらご容赦を)
 マルサリスは言う。「誰もが英雄になりたがるが、竜とは戦いたがらない」
 練習は楽しいものではないが、進歩し、偉大になるためには他に方法はない。ただし、誤った練習は害があるばかりで、利もない。

「ウィントンの12条」
1. 教え手は船のキャプテンと同じ。航路をしっかり知っている人を選べ。
2. 基本をしっかりと学びとる計画表を書け。
3. リアリスティックでしかも挑戦できる目標を立てろ。1ヶ月でこの基本を、2ヶ月でこの壁をという具合に。
4. 集中することを学べ。練習の時間を自己の矯正に使え。集中できなかったら、止めて、やり直しの時間をもて。
5. リラックスせよ。
6. 難しい個所に時間をかけろ。
7. すべての音をきちっと表現してプレーせよ。
8. 誤りから学べ。誤りを怖れるな。
9. 見せびらかすな。
10.自分で工夫しろ。
11.楽観的になれ。
12.共通点を見出せ。

※5についての注釈
 学ぶときにゆったりしろということ。早く上達したくても、上達するための練習 は急げない。今、練習している曲をゆったりしたテンポで学び、段々とスピード アップしていく。ゆっくりしたテンポで練習すれば筋肉に難しい動きをコントロ ールすることを教え込める。リラックスすれば集中もでき、楽しめもする。いざ という時に役立つものだ。
※9についての注釈
 見せびらかすな、は卓越したピアニストだったウィントンの父が「拍手を求めて プレーする人は、拍手だけを得る」と言ったことによる。一時的な名声を得るた めに、大切な、音楽そのものを犠牲にしてはいけない。

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