いとうな日々

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目黒のさんま

2009-11-04 | ニュース
秋晴れである。数日前から天候が冬型で風は強く肌寒さを感じていた。実りの秋、食欲の秋、まさに天高く馬肥ゆる秋本番を感じている。自然は着実に時を刻んでくれているのである。

先月29日、笑点の司会で人気を博した三遊亭円楽さんが肺がんの為死去した。3年ほど前から落語をipodで聞いている。円楽さんものは、「薮入り」「崇徳院」「目黒の秋刀魚」の三題である。三遊亭円生の筆頭弟子であり同じように人情話を得意とした。

脳梗塞で倒れた後、復帰後の演題に選んだのは「芝浜」だった。2007年国立演芸場で演じることとなった。その後「お金をいただける落語はもうできない」と引退声明を出した。円楽さんらしい潔い決断であった。

さて、「目黒のさんま」だが、三遊亭金馬のものも所有している。金馬のものは立て板に水と言った口調で歯切れが良い。一方、円楽のものはじっくり話し込むスタイルである。円楽のものの枕の「たかはし、これきよ」と「朕はじゅうしんをうしなった」は大いに笑える。やはり、秋刀魚は秋なのである。
あらすじ
ある江戸の殿様が目黒まで遠乗り(あるいは鷹狩)に出た際に、供が弁当を忘れてしまった。殿様(大抵の場合、赤井御門守)一同腹をすかせているところに嗅いだことのない旨そうな匂いが漂ってきた。殿様が何の匂いかを聞くと、供は「この匂いは下衆庶民の食べる下衆魚、さんまというものを焼く匂いです。決して殿のお口に合う物ではございません」と言う。殿様は、「たわけ! こんなときにそんなことを言っていられるか! さんまを持ってこい!」と言い、供にさんまを持ってこさせた。食べてみると非常に美味しく、殿様はさんまが大好きになった。

それからというもの、殿様はさんまを食べたいと思うようになる。ある日、殿様の親族の集会で好きなものが食べられるというので、殿様は「余はさんまを所望する」と言う。殿様がさんまなど庶民が食べるような魚を食べるわけがないから、さんまなど置いていない。急いでさんまを買ってくる。

しかし、さんまを焼くと脂が多く出るので体に悪いということで脂をすっかり抜き、骨がのどに刺さるといけないと骨を一本一本抜くと、さんまはグズグズになってしまう。こんな形では出せないので、椀の中に入れて出す。殿様はそのさんまがまずいので、「いずれで求めたさんまだ?」と聞く。「はい、日本橋魚河岸で求めてまいりました」「ううむ。それはいかん。さんまは目黒に限る」

噺の中で殿さまにふるまわれる「目黒の秋刀魚」は、網や串、金属、陶板などを使わず、さんまを直接炭火に突っ込んで焼かれた「隠亡焼き」と呼ばれるもので、殿様の口に入れるようなものであるはずがない。日本橋魚河岸から取り寄せた新鮮なさんまが、家臣のいらぬ世話により醍醐味を台無しにした状態で出されたため、世俗に無知な殿様は目黒のような海から遠い場所で求めたさんまの方が美味いと言った、というくだりが落ちである。

後半については、最初に目黒で食べてきた殿様ではなくその美味しさを吹聴された他の殿様達のうちの一人が、されば余も、と所望したところやはり台無しな椀物を供されたため、最初の殿様に苦情を申し立てて落ちの問答に繋がるというパターンもある。

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