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「飛べないクマバチ」、および赤白帽とライポンの意外な関係

2009-08-10 16:45:08 | どーでもいいことつらつらと。
「飛べないクマバチ」の話はwikipediaに載っているくらい有名らしいのですが、僕は最近になって初めて知りました。

クマバチはずんぐりむっくりとした体のせいか、蜂の中でも比較的親しまれやすい生き物です。大きい生き物は鈍いというイメージがありますが、まさにクマバチはその代表であるかのごとく、飛んでいる生き物の中では極めて反応が遅く、僕たち少年昆虫採集家の恰好の的でした。



そのクマバチですが、ほんの少し前まで学術的に飛ぶことは不可能といわれていました。あの巨体で、あの申し訳程度に生えている羽たちで飛ぶのは絶対に無理であると。
ある論文においては「彼らは飛べると信じているから飛べるのだ」と結論付けられていたそうで(wikipediaより引用)、最近になりレイノルズ数という無次元数が定義され飛行法が発見されるまでは、不可能を可能にする生き物のシンボルとしても取り上げられるほどだったといいます。


不可能を可能にする。ただそれだけを見れば根拠のない根性論。しかし裏を返せば、人間たちよりも一歩リードし、知られざる事実でもってして己を広い空へ飛躍させていたのです。世の中とはそういうものかもしれません。


そんな、努力を惜しまず気合でもって花に群がるクマバチたちを、子供の頃の僕たちはためらいもなく乱獲していました。ちなみにクマバチだけでなくマルハナバチも気合で飛んでいたようですが、見分けが付かないので僕たちは彼らを一括りに「ライポン」と命名していました。
正直、ライポンというのは正式名称と、成人するまで思い込んでいました。どうやら相当ローカルなネーミングのようで、調べてみると東京の品川・大田・目黒区でしか浸透していない方言だといいます。これは衝撃的な事実です。由来がすっごい気になるけれど、今のネットスケールでも掘り当てるのは難しいでしょう。逆をいえば、ライポンを知っている人はコテコテの東京下町人だといえましょう。



ライポンの捕獲方法はいたって簡単。体育の時間の後、校庭の花畑によっていって、まずはライポン探しに勤しみます。間違ってもスズメバチなどを捕まえようとしてはいけません。
死にます。

背格好が特徴的なので見間違うことはありません。適当なライポンに的を絞ったら、おもむろに赤白帽子を脱ぎ、「バッ」と刀の居合い抜きのようにして、ヒジを巧みに回し赤白帽を翻して、ライポンを見事帽子の中へ収めます。捕獲終了です。


教室へ持ち帰り、後は各人思い思いの遊びを施し、飽きれば野へ放します。もちろん、調子づいてライポンを死に至らしめる者もいましたが、子供というのは残酷というのがデフォ、そしてそれらを通して死について学んでいくという、ライポンは僕たちの情操教育に一役買ってくれていたわけでもあるのでした。


あんなに頑張って飛んでいたライポンことクマバチことマルハナバチを、僕たちは赤白帽であっさり捕らえて、頭と胸の関節部に糸を巻いて逃げられないようにして飛ばしたり(たまにぽろっと頭が取れたりした)、羽をもいで二度と空へ飛びたてなくしたりした日々。

大人になった僕たちは、不可能は不可能と決め込んで、妥協の最小公倍数みたいなところに留まって、満足したり悲観したり、他人をうらやんでみたりする。不可能を可能にして、念願の花に群がっていたライポンたちの運命をいとも容易く捻り曲げていた、僕たちが。





ところで、当時の僕たちの間では「ライポンは刺さない」というのが共通認識でした。しかし調べてみると、少なくともメスは針を持っていて、刺されれば運が悪いと死ぬことがあるそうです。凄まじいタイトロープの上を歩いていたんだな、僕たちって。




今日の結論。

「赤白帽子は、ウルトラマンの被り物になったり、虫取り網になったりと、色々使い勝手があって便利である」


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
クマバチ (di)
2009-08-10 23:48:15
結構グロイ事やってたのね・・w

ちなみに自分はクマバチ≒クマンバチ≒スズメバチ=危険
と思っていたわ。
wiki読んで色々参考になった~!

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待ってましたローカルネタ! ()
2009-08-11 13:28:25
自分とこもクマバチ=クマンバチだと思ってたわ~。
テレビの影響やらで色々と混合や誤解が生まれているようですな。

バナナムシ然り、ライポン然りと、地元でしか通じないネーミングって結構あるんだなあ。
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