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傘の持ち方について

2009-06-16 12:44:58 | どーでもいいことつらつらと。
梅雨の時期になると毎度気になることがあります。というか正直腹が立っている。ジメジメとした気分に拍車を掛けて怒りが増幅されている。

何に怒っているかというと、「傘の持ち方」です。室内での傘の持ち方について、今日は熱く厚く語りたいと思います。あ、あと、今回の記事は完全にネタなのでそこのところよろしくお願いします。


傘の持ち方は人それぞれです。個性を重視したい方なら、どうぞ自分の思うように持ち方を工夫してみてください。僕は中学くらいの頃鞄に引っ掛けて引きずる持ち方を考案しましたが、引きずる音が地面の具合によってうざかったりするので廃止しました。

持ち方に色々あっていいとは思いますが、他の人に迷惑をかけるのはやめていただきたい。今日はここで、一般的に傘の持ち方にはどのようなものがあるのか、山の手線に毎日乗り続けて早12年、人物観察が趣味の僕の観点から構え方別に分けてみます。




最もオーソドックスな持ち方は、傘の柄の部分を握り、重力の向くままほぼ垂直に垂らして持つ「中庸の構え」。安全性が高く場所を取らないのが利点です。さらにこの中庸の構えは大きく二つの持ち方があって、腕を曲げて傘の先が地面に当たらないようにする「中庸腕曲げの構え」と、腕をだらんと垂らして傘の先が地面に触れる「中庸腕伸ばしの構え」があります。

中庸腕曲げの構えは、ラッシュアワーでの電車通勤を長年経験したサラリーマンなどに多く、自分が腕を曲げて余分なエネルギーを消費するリスクを背負いながらも、周りとの干渉を最小限に抑えるメリットを獲得するという、日本の企業戦士らしい大和魂が垣間見られます。

対して中庸腕伸ばしの構えは、無気力感に満たされた、「まじだりぃ」や「うぜーし」が口癖の学生などに多く、傘の先がタイルの凹凸と擦れ合ってカタカタ音を立てても全く気にせず、体を斜に構え髪は逆立ち、あまりのだらしなさからズボンがずり落ち下着をさらけ出したりしています。そして往々にしてがに股歩きです。
この構えには応用技があり、傘の柄を握ることすら億劫なときは、両手をポケットに突っ込ませ、いわゆる脇の下のゾーンに縦長の輪を作るイメージで、手首に傘を引っ掛けるという持ち方があります。風貌だけでなく傘の持ち方すら持ち味にして脱力感を際立たせる、将来に絶望したバブル崩壊後の日本を象徴するような構えです。



次に、柄の曲がった部分を前腕付近に掛けて垂れさせる「ステッキの構え」。両手のふさがった人や常に両手は解放していたい人向けです。
全体的にエレガントなオーラが漂います。昼下がりのオープンカフェがとても似合いそうです。紳士や淑女にこの持ち方が多く、デパートなどで頻繁に見かけます。商品を手に取ったりするので両手は空けておきたいですからね。

ただこの持ち方はどうも腕が疲れます。さらに階段を上っているときなど、油断すると段差に傘の先が当たり、反動で柄が腕をすり抜け落ちてしまう危険性もはらんでいるのです。安定感に難があります。



最後に、僕が今回怒りをぶちまけたかった持ち方を紹介。
傘の折りたたまれた部分、柄よりも少し先を握り、腰の横に刀を引っさげるようにして持つ「帯刀の構え」。この持ち方を僕は決して許せない。あの持ち方で室内を歩いている人は、あれが凶器にもなりうることを承知の上でそうしているのでしょうか。

帯刀の構えにもいくつかあり、一番良く見るのは柄の部分よりも傘の先のほうが下に位置している「帯刀下段の構え」。中庸腕曲げの構えとほとんど変わりませんが、若干傘の先が後方へ向いています。危険度はそこまで高くないのですが、腕を大きく振って歩く人のそばには寄りたくないです。階段を上っているときなど、帯刀下段の構えの人の後ろにいたら、ちょうど目の辺りを傘の先がうろつく格好となり、こちらとしては冷や冷やしながら階段を上がっていくことになります。

また、柄の部分よりも傘の先を上に位置させる「帯刀上段の構え」というのもあります。本物の刀だったら、刃が鞘を飛び出してしまう持ち方です。
あの持ち方の意味がわかりません。ジョン川平風にいえば、意図が全くつかめません。
一体なんのメリットがあるのか。「気分は上々」という内面を体で表現しているのでしょうか。テンションの高い人に限ってあの持ち方をしているようにも思えます。周りを冷静に見られない酔っ払いに多い印象。階段の上り下り時だけでなく、平坦な道を行くときでさえあの持ち方には注意しなければなりません。なんかもう、罠ですよあれ。ストリートがダンジョンと化しています。しかもあれって、濡れた傘だと水滴が全部握り手に集まってくるじゃないですか。意味わからんよほんと。

上段下段とくれば、もちろん「帯刀中段の構え」もあります。傘を横一線、ほぼ水平に保って持つ構えです。見た目均衡な姿勢が保たれていて、全体的に鋭い殺気を感じますね。「拙者に近寄ると怪我をするでござる」現代を生きる武士の風体を彷彿とさせます。
見た目としては一番カッコいい気はしますが、周りとしては迷惑そのもの。意味もなく場所を取るので距離を置く必要があります。軽自動車と軽自動車の間にワゴンを挟んだイメージです。
近寄りがたい雰囲気、警戒心をあらわにしているのでしょうか。傘を雨避けの道具としてだけではなく武器としても利用する、そんな暗黙のメッセージを含ませた持ち方のように感じます。

帯刀の構えには上記三つと共に番外編があって、柄と傘の先が逆転している持ち方もたまーに見かけます。傘の先が進行方向を向いている持ち方です。あれも意味がよくわからないですね。
緩やかに曲がった柄の部分が後部なら、後ろの人に刺さることもないという配慮からでしょうか。そんな風に気が使えるのなら帯刀の構えを廃止にして今すぐ中庸腕曲げの構えにしてほしいです。
それとも、いつ何時敵が襲い掛かってきても傘の先で対応できるようにと改良した、日々是戦場といった気分の人があの持ち方になるのでしょうか。非常にミステリーです。





僕は長年このコンクリートジャングルに生き、子供目線の頃から大人目線の今まで大都市の厳しさ可笑しさ理不尽さを学んでまいりました。人と人とがまるで石のように密集しつつも、互いの存在を認めテリトリーを侵されることへの協定を結び、見えざる圧力に耐えながら満員電車や人工の波の中を黙然と行きます。その世界で、いかにして極力相手の意思を尊重し同時に自らの目的を遂行するか、その需要供給曲線の交差点のような妥協点は人それぞれに設定されていると思います。
そしてそれを大いに具現化してくれるものの一つとして、傘の持ち方も一興に準ずるといえるのです。その人の生き方考え方、相手を思う気持ちというのがうかがい知れるまたとないチャンス。梅雨の時期もそんなことを思いながら過ごせば、ジメジメとした鬱屈な気分も多少は緩和されるのではないかと期待しています。



んまあ結論として、折りたたみ傘が一番オススメなんだよね。

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