ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
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財務次官セクハラ辞任の背後には……

2018-04-19 21:06:59 | 時事
セクハラ問題で財務次官が辞任ということになりました。

まあ、この状況なら当然でしょう。

不祥事が暴かれ、それでもやめないとゴネてみたけど、結局は辞任に追い込まれる……これが自然なんだと思いますね。ここ数年、ゴネにゴネて曖昧なまま逃げ切るみたいなことがまかりとおってきたのが異常なわけで。マスコミも最近は騒ぐべきことにきちんと騒いでいるように思えて、そのあたりも正常化してきたのかなと私は思ってます。

しかし……マスコミのことでいうと、今回の件は報道機関の姿勢という点で議論を呼んでもいます。

件の被害者女性が、自社から報道できずにそれを週刊誌に持ち込んだのはどうなのか……という問題ですね。

これに関しては、身元が割れると、財務省側の報復で情報を流されずに“特オチ”(特ダネの反対で、他社が報道していることを自社だけが報道していないこと。報道機関がもっともおそれることらしい)を出してしまったりする可能性がある。そんなふうに、今後の取材に支障が出ることをおそれた……ということのようです。

記者クラブの閉鎖性や、ある種の馴れ合い体質はつとに批判されるところですが、私はやっぱりここで、あのゴキブリの法則を考えます。
つまり、こんなふうに握りつぶされて報道されなかったことが、これまでにいくつもあるんじゃないかということですね。
今回は、“セクハラ”という構図がありました。それで、“セクハラの被害者なのだからこういう手段をとるのもやむをえない”という、いわばエクスキューズを用意できたために、表に出てきたのだと思うんです。
そういうことがなく、そのまま握りつぶされて報道されずにいる問題がたくさんあるんじゃないか……そんなふうに思えてしまいます。

そういうことは、知られている例もあります。
大きな問題があきらかになったときに、大手メディアの記者が「そんなこと、うちは前から知ってたよ」という。え? じゃあ知ってたのに報道しなかったの……? というやつですね。
田中角栄に関する有名なある本なんかも、そうして大手紙が握りつぶしたネタをすくいとって書かれたといわれています。
こういうのは、どうにかならんものかと思いますね。
記者クラブというのは、本来は、相対的に弱い立場にある記者が団結して権力にあたるために作られたものだそうですが、記者クラブがそういう本来の機能を働かせれば、日本ももう少し風通しがよくなるんじゃないでしょうか。

バーブラ・ストライサンド「主の祈り」(Barbra Streisand, The Lord's Prayer)

2018-04-17 18:21:09 | 音楽批評
今回は、拙著『ホテル・カリフォルニアの殺人』ゆかりの歌シリーズとして、バーブラ・ストライサンドの「主の祈り」について書きます。

ともすれば忘れがちですが、このブログは本来プロモーション用なので、ときどきこの『ホテル・カリフォルニアの殺人』ゆかりの歌シリーズもやっておかないとまずいですからね。


バーブラ・ストライサンドという人は、元祖“歌姫”とも目される女性シンガーです。

日本での知名度はそれほどでもないでしょうが、本国アメリカで全盛期のときには相当売れてたみたいです。

「主の祈り」は、そんなバーブラが取り上げたトラディショナルソング。
「朝日のあたる家」と同様いろんな人が歌っているようですが、ここではバーブラ・ストライサンドの歌として紹介しましょう。

先述したように彼女は“歌姫”であり、拙著『ホテル・カリフォルニアの殺人』では、“歌姫”という存在が重要な役割を果たしています。そのあたりが、“ゆかり”というわけです。

もう一つつけ加えておくと、この歌は、『ホテル・カリフォルニアの殺人』のなかでタイトルがちらっと出てきます。

以前「朝日の当たる家」を取り上げたときにも書きましたが、作中のホテル・カリフォルニアでは毎晩パーティーが開かれていて、7つあるパーティー会場のどれが使われるかを鐘のメロディで知らせています。7つの曲があるわけですが、そのうちの一つが「主の祈り」でした。そういった点でも、“ゆかり”の歌なのです。


「主の祈り」の歌詞は、聖書の一節です。

もとになった句は、新約聖書『マタイによる福音書』の6章にあります。


  天におられます私の父よ、
  御名が崇められますように、
  御国が来ますように。
  御心が行われますように。
     天におけるように地の上にも。
  わたしたちに必要な糧を今日与えてください。
  わたしたちの負い目を赦してください、
    わたしたちも自分に負い目のある人を
    赦しましたように。
  わたしたちを誘惑に遭わせず、
    悪い者から救ってください。


この部分の祈りだけを聴けば、結構なことじゃないかと思います。

しかし……アメリカのキリスト教保守みたいな人たちのことを考えると、複雑な気持ちにさせられます。
“福音派”と呼ばれる人たちですね。
以前「共和国賛歌」についての記事で書いたことともつながってきますが、そのあたりのことが『ホテル・カリフォルニアの殺人』においても一つのテーマになっています。
“福音派”というのは(明確な定義はないようですが)とにかく聖書に書かれていることは一言一句そのままに受け取るべしという立場で、政治的には保守の側に立っています。
なかにはほとんど“極右”と呼ぶべきスタンスの人もいるようです。彼らは「たとえ胎児であっても人の命を奪うのは許されない」ということで妊娠中絶に反対していたりしますが、それでいて、戦争なんかの話になると戦争を支持するというのが不思議です。

「地には平和」と聖書に書いてあるんだから、戦争はだめ、でいいんじゃないかと思うんですが……

Charlotte Church, Pie Jesu

2018-04-16 16:50:49 | 音楽批評

どうも最近、このブログでは残念な話題ばかりを扱っているような気がします。

文書の改ざんだとかなんだとか……

まあ、世の中が残念なニュースに満ちているのでそれも仕方ないんですが……しかし、そんなことばかり書いているとだんだん心がすさんでくるので、ここでひとつ、心が洗われるような音楽を取り上げてみようかと思いました。

シャルロット・チャーチの Pie Jesu という曲です。

シャルロット・チャーチは、12歳でデビューし“天使の歌声”といわれた人ですね。

第一作がまさに『天使の歌声』(原題Voice of an Angel)というアルバム。


 

 

その一曲目に入っているのが、Pie Jesu です。ウェバー作のこの曲はシャルロットの代表曲のようになっていて、日本でもテレビCMで使われていました。

VEVOの動画も貼り付けておきましょう。

 

 

この動画は、彼女が15歳ぐらいのときですかね。

私としては、一緒に歌っている少年のほうが驚きなんですが……

 

”天使の歌声”といわれたシャルロットですが、その後は、ポップ方面への進出がうまくいかず、歌手としてそれほど目立った活動はできていないようです。

いろんなスキャンダルもあり、ウィキ情報によると、スキャンダルの多いミュージシャンとして知られる元オアシスのリアム・ギャラガーから「後継者はシャルロットだ」といわれたりしているそうです。

まあ、そんなもんでしょう。誰もピュアなままでいることはできないんです。

浮世の垢とでもいいましょうか……世の中の汚い部分というのはどうしたってあるわけで、そこからは逃げられないわけですね。心が洗われるような音楽、といいましたが、汚い現実のほうにも目をむけていかないと……と、やっぱり結論としてはそういう話になってくるんです。


真実が欲しい

2018-04-14 14:21:13 | 時事
ここしばらく、公文書の問題や、それにかかわる問題の報道が相次いでいます。

以前このブログでは、「家で一匹のゴキブリを見かけたら、30匹はいると思った方がいい」という金言にもとづいて、文書改ざん問題の背後には似たようなケースがいくつも潜んでいるのではないか、と書きました。つまるところ、ハインリヒの法則は正しかったということなんでしょう。ゴキブリの巣窟にいよいよ光があてられはじめたのです。

防衛相の日報、森友問題をめぐる口裏あわせ、ごみの量の水増し疑惑、加計をめぐる愛媛県と農水省の文書……報道各社が、連日のように新たな事実を伝えています。一か所が崩れたことで、それまでせき止めていたものが一斉にあふれ出したようです。
メディアがスクープを競い、結果として不正が暴かれる……これこそ、あるべき姿でしょう。
これをしっかり、継続していってほしいと思いますね。

ここで名曲を一曲。
ジョン・レノンの Gimme Some Truth です。


  異常で片意地をはるばかりの
  いかれた政治家の言葉を読まされるのはうんざりだ
  ただ、真実がほしい
  真実だけを教えてくれ


これが、市井の人の偽らざる気持ちじゃないでしょうか。

前にも書きましたが、ここまでくるともう民主主義がどうとかいうレベルじゃありません。
ただ、まともな国にしなきゃいけないっていう、それだけの話です。

BOOWY,MARIONETTE ……疑う事をいつからやめたのさ

2018-04-12 18:41:49 | 音楽批評
今回は、音楽記事。

とりあげるのは、BOOWYのMARIONETTEです。

 

あまりにも有名な、BOOWY の代表曲ですね。

この曲の歌詞を読んでいると、まるでいまの時代に向けて歌っているように聞こえてきました。
とりあえず、昨今わきあがってるさまざまな問題を念頭において、歌詞を読んでいただきたい。


  もてあましてるFrustration
  You've got an easy day
  嘘を呑み込み静かに眠ってる MAD city
  そしていつでもそう...complain
  You've got an easy day
  諦め顔の良くできた歯車の様に

  灼けつく日差しが俺達狂わせる
  誰もかれも皆 OH! NO NO Same Yeah!
  疑う事をいつからやめたのさ
  そろえた爪(ネイル)じゃ  OH! NO NO! とても狙えないぜ

  鏡の中のマリオネット もつれた糸を断ち切って
  鏡の中のマリオネット 気分のままに踊りな
  鏡の中のマリオネット あやつる糸を断ち切って
  鏡の中のマリオネット 自分の為に踊りな

疑う事をいつからやめたのか。
若い世代にこう問いかけたいですね。
嘘がはびこる狂った街で、あきらめ顔で生きていていいのかと。

前半が、疑いもせずに生きている人に向けられた言葉であるとすれば、後半は、不正が行われていると知りながらそれに対して憤ることもしない傍観者にむけられたものでしょう。


  目をそらすなよ Complication
  You've got an easy day
  汚れちまって優しさもなくした Bamboozle
  流されるまま Occupation
  You've got an easy day
  しぼんだままで ごまかす様に生きるのかい

  Moonshine 馬鹿げてる奴等の言いなりさ
  誰もかれもみな OH! NO NO Same Yeah!
  イジけることに いつから馴れたのさ
  セオリーどおりじゃ OH! NO NO! とてもたまらないぜ

  鏡の中のマリオネット もつれた糸を断ち切って
  鏡の中のマリオネット 気分のままに踊りな
  鏡の中のマリオネット あやつる糸を断ち切って
  鏡の中のマリオネット 自分の為に踊りな

bamboozle というのは、人をだまして何かをさせる、混乱させる、けむに巻く、などといった意味です。そんなふうにして、真相から目をそらし、流されるままに生きている。だからマリオネット(あやつり人形)なわけです。
そうじゃないだろうと。
こんな無茶苦茶を通していいはずがない。流されるまま、しぼんだままでごまかすように生きてちゃだめだ……そんなことを訴えたくなる「マリオネット」でした。