今日は1月30日。
長谷川町子の誕生日だといいます。
国民栄誉賞も受けた漫画家……
今日はじめて知ったんですが、去年が生誕100年だったということで――まあ、今日を迎えたことで生誕101年となったわけですが――その生誕100年にあわせて、版権の問題で入手が難しくなっていた『サザエさん』の単行本が、再刊行されたりもしているようです。
『サザエさん』は、いうまでもなく、長谷川町子の代表作。
私が子供の頃、我が家には『よりぬき サザエさん』の単行本があり、よく読んでいました。
ユーモアセンスと、裸の王様を撃つ風刺精神……それは、新聞に連載される4コマ漫画として一つの理想形だったのだと思います。戦時中にスパイの疑いをかけられて一時身柄を拘束されたこともあり、その経験から軍国主義に対する嫌悪感を持ってもいたようです。さすがに『サザエさん』にあまりそういうことは書かれていないと思いますが、はっきりとそれを表明した作品が一本あったことは記憶しています。
敗戦後の占領期、まだMPというものが存在している時期にはじまった作品なんですが……しかし実は、このサザエさんという作品は、その時代から見た“古き良き時代”つまり、昭和初期ぐらいを念頭において描かれているといいます。
ということは、あの作品に描かれているのは、100年前の日本……道理で、磯野家の立地や家族構成などが奇妙なものになっているわけです。21世紀令和のいま、それはもはや時代劇といってもいいぐらいのレベルです。
しかし、それがいまでもアニメとして放映され続けている……これは、なかなかすごいことかもしれません。
原作は、新聞連載という性格上、しばしば時事問題も扱ってきました。また、意図せずして世相を反映している描写も多々あり……そんな『サザエさん』は、ある意味では近代日本の写し鏡でもあるのでしょう。