ロック探偵のMY GENERATION

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なんのための“働き方改革”?

2018-06-04 16:19:20 | 時事
働き方改革”が話題になっています。

もとになるデータに“誤り”があって裁量労働制の部分は削除されましたが、いわゆる“高プロ”がなしくずし的に拡大されていくのではないかという懸念が出ています。
その懸念は、たしかに杞憂と一蹴できるものではありません。
労働法制について考えるとき、“雇用流動性”という言葉が都合のいいようにつまみ食いされてきた歴史を思う必要があるでしょう。

本来“雇用流動性”というのは、高いスキルを持った労働者が自分の技術をいかに高く売れるかという話だと思うんですが、それが日本では、置き換え可能な労働力を雇用者側がいかに安く買いたたくかという話になってしまいました。基本的な考え方が180度逆になっているので、結果も当然180度逆になります。「働けば働くほど豊かになる」システムではなく、「働いても働いても豊かになれない」システムです。その結果が、さえない個人消費だということじゃないでしょうか。
派遣が増えていけば、全体的な購買力が低下して消費が振るわなくなる。企業の側も売れる見通しがなかなか立たないから設備投資に慎重になる。こうして、経済全体が縮小していく……
経済の理屈として、とりたてて難しいことではないでしょう。経済の専門家に聞かせたら、「そんなこといわれなくたってわかってる」と苦笑まじりにいうでしょう。しかし、現実にそれが起こり、ずるずると続いてしまっている。ここに、病の深さがあると思います。

つまるところ、企業の論理というのは、自分の身の回りのことを、数年間というスパンでしか見ることができないわけです。
政策を考えるには、もっと広い視野、長期的な見通しに立つべきであって、そういう視点をもてば、企業の論理から出てくるのとは違う政策が出てくるはずです。

一企業からみれば合理的な策であっても、世の中の企業がこぞってそれをやれば経済全体に悪影響を与える……“労働力を安く買いたたく”というのは、そういうことだと思います。“合成の誤謬”の一亜種ですね。
なにも私は、企業を悪玉視しているわけではありません。ただ、短期的で狭い視野に基づいた企業の論理で政策を作ったら、長期的には経済全体を地盤沈下させることになるといってるんです。実際のところ、派遣労働の拡大で日本はすでにそうなってしまっていると思いますが……今回の“働き方改革”が、それをいっそう推し進めはしないかということが心配です。


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