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福祉について考えるUMEMOTOのブログ

ユニットケアの明日を考える会

2005-05-10 22:28:31 | 福祉雑記録
先週の土曜日(5月7日)に、『ユニットケアの明日を考える会』という催しを行った。“ユニットケア”とは、5年半ほど前から言われだした言葉で、主に高齢者の入居施設において生活単位を小規模に区切り、より家庭的な生活を送れるように環境やシステムを工夫し、ケアをおこなうことである。簡単に言えば、大規模な施設の中でグループホーム的なケアをしていこうというものである。まだ、これだけでは正確ではないが、ご了承していただきたい。

その“ユニットケア”は、施設ケアの革命として、取り組み始めた施設が増え始めている。そのきっかけは、厚生労働省が“小規模生活単位型指定介護老人福祉施設(以下、新型特養)”の普及に力を入れ始めたことによる。“新型特養”とは、全室個室でユニットケアを取り入れた施設のことで、一昨年度から施設長や現場のリーダーを育成する研修事業も始まっている。
既存の施設でも、これまでの閉塞感を打ち破るべく、また介護保険の導入により介護サービスを意識することにより、“ユニットケア”が取り組まれ始め、今では“ユニットケア”という言葉が独り歩きしている感すらある。
入居者一人ひとりに向き合い、その人らしい生活が施設の中だけにとどまらず、その人の望む形(例えば、地域)で生活できるようにサポートすることが目的であるが、実際にそれができている施設はあまり多くはない。この5年半の間に、言葉だけが独り歩きし普及してしまったことで、ただ施設内を細かく区切り、生活感のあるような環境づくりに取り組むだけ、という施設が多くなってしまっているのである。その先にある本来の目的を忘れ、“ユニットケア”自体を目的になってしまっているのだろう。

そこで、ユニットケアの実践者が集まり、もう一度「ユニットケアは目的ではなく手段のひとつである」ことを再認識し、今後のユニットケアの“流れ”をつくるような指針となるものを、具体的な形でまとめようというのが今回の趣旨であった。
会場は、“ユニットケア”の本来の目的のひとつでもある“地域”ということを意識し、街の中心部にある商店街の一角で行った。この商店街は、最近の都市郊外化のご多分に漏れずシャッターが下りている店が多いようなところで、そこの空き店舗を使ってNPO法人が高齢者が集まれる溜まり場を作ろうと、障害者の作業所で作られた品物のアンテナショップや、生きがいデイが行われている場所を会場とさせてもらった。
そこに、“ユニットケア”の先駆的推進者でもある武田和典氏(きのこ老人保健施設 副施設長)をお迎えし、“ユニットケア”の先に何を見据えるのかを話し合う予定であった。しかし、予定では参加者が30人程度であったのが、当日までには50人以上が集まり、まだこれからユニットケアを取り組むという施設も多かったことから、“ユニットケア”の本来の目的を確かめるにとどまった。

その中で、いくつかの大切なキーワードがあり、“ユニットケア”に限らず今後の施設ケアの指針となるべきものがあったので紹介したい。

○ お年寄りが主体性を持ち、中心にいるケアができていますか?
○ 職員一人ひとりが責任をもって働けるような構造になっていますか?
○ より困っている人に目を向けることができていますか?
○ 利用者の家族の顔(どんな人で、どんな意見をもっているのか)がみえていますか?
○ 職員同士、利用者の笑顔やその日あった出来事を共有してますか?
○ その人の生活や人生のためのケアプランになっていますか?
○ 入居者は地域の中で暮らしていますか?

どれも特別なことは言っていません。本当に当たり前のことですが、あなたの施設では出来ているでしょうか。
最期に―

○ 今の施設にあなたは入りたいですか?

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