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福祉について考えるUMEMOTOのブログ

介護職の専門性とは?

2005-01-18 22:08:53 | 福祉雑記録
私たちが取り組んでいる『若手の福祉会議』という団体で、研修活動がいよいよスタートします。
今回のテーマは、「介護の専門性とは?」「それを身につけるためには?」です。興味のある方は是非一度ホームページをご覧ください。

さて、今回は専門性に関連した話。
まだまだ、介護の仕事は誰でも出来るし、誰がやってもよいことになっている。しかし、徐々にではあるが介護福祉士に限定しようとする動きや、ホームヘルパーにおいてはヘルパー2級ではダメで、さらにある一定の研修期間を設け専門性を高めようとする動きがみられる。
専門性を高めるというのは必要なことで大切なことでもあるから賛成だが、何が専門性であるのかはあまり焦点が当てられていない。これから、利用者のニーズがさらに多様化してくることが予想されるなか、現状の介護福祉士のカリキュラムだけでは充分ではないだろう。その議論を同時にしていかなければ、近い将来すぐに計画が暗礁に乗り上げてしまうことも考えられる。

さらに、女性(特に主婦)が多く働いているホームヘルパーにおいて、ハードルを高くすることは新たな人材の確保に影響を及ぼすおそれがある。今現在働いている人たちには、仕事を続けながら研修を受けれるなどの配慮が必要なのは言うまでもないが、新たに介護の仕事につく人たちにとっては、高いハードルを越えるほどの賃金の魅力がないのが現状である。ヘルパーはパート扱いされることが多いうえに、神経を使うことが多い仕事である。国は、私たちに専門性を要求すると同時に、労働者の生活の保障も見直してもらいたい。

しかし、要求ばかりしていても何の解決にもならない。介護職の専門性が低いことは、実際に現場で働いている私たちがよく分かっている。その私たちができることは、専門性とは何かを考え、そして高めていくこと。そして、それを体系化し実際のケアに生かしていくことではないだろうか。
では、介護職の専門性とは何か。それを研修を通して考えていけたらと思う。

最期にスウェーデンでの例をひとつ。
スウェーデンでは、市(コミューン)によって福祉行政が異なった取り組みをしている。それぞれの市(コミューン)で決定し、財政を動かしてニーズに合わせている。それだけでも日本とは大きく異なるが、ある市(コミューン)では、高齢者にひとりずつ専門のヘルパーをつけている。ただの担当とは異なり、利用者とヘルパーがお互いに契約を交わし(契約書にサインして)、より良い生活のためにお互いの意見を交換してケアを決める制度がある。例えは、週に4時間の契約であれば、その4時間に何をしてもらいたいかを利用者が希望し、それに合わせてヘルパーがスケジュールを組み立て、お互いに納得したうえでケアをするのである。そこには日本のように、「草むしりはダメなの。そういう決まりだから」という言葉はない。利用者が望むことに対してヘルパーが援助することがケアなのである。当然だが、ヘルパーにはそれなりの権限と責任が与えられており、そのための研修も行われている。その市(コミューン)では、賃金も上げたそうだ。当然、皺寄せがいった分野もあるが。

このような状況は理想であり、目標でもある。しかし、私たちに権限があるということは、責任も発生することになる。その責任を負うためには、それ相応の知識や技術が求められることになる。
しかし、近い将来必ず日本でも近い形のケアが出来るようになると信じている。その時に、私たち介護職に求められるのは、幅広い視野と知識、そしてその中でもひとつ秀でる専門性なのではないだろうか。

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