いっしょになると決まったら、次は指輪だ。
ところが彼女の指サイズが極細ときた。
ジュエリー店に行くと「身長が165センチで、6号なんて」と首を傾げた。
6号というたら6号や。信用せんのならオレが作ったるー!
すぐさま大工小屋に立てこもり、一晩かけて最高傑作を完成させてしまった。そしてこの指輪は、シンデレラのガラスの靴のように、彼女の薬指にドンビシャリ納まったのだからすごい。これぞ団塊世代の実力か。
ところでこのエンゲージリングの素材になったのは、水道工事用のステンレス製のナットである。だが、オレが魂を込めて、削って、削って、磨き上げたものだから、シルバーやプラチナにも引けをとらない世界に唯一つのエンゲージリングなのだ。彼女は今でもそれを自慢にしてくれている。どんなもんじゃい!
そして「満点でなくていい。可愛い女房でさえいてくれたら」が、プロポーズの言葉となった。 ・・・【続く】
そんな昨夜、オレの好物の生センマイと生レバーとユッケを持ってヒロシ父子が残雪の山道をやってきた。
ヒロシとは16年前に、うちで結婚してからのつきあいになる。当時は、真冬でもワイシャツ一枚で汗をかきながら、毎晩のように一生酒を呑るほどの豪傑だった。若さと体力にまかせて、仕事も酒もやり過ぎて脳内出血を起こし闘病生活に入るも、奇跡の復活を果たし、言語障害の後遺症はあるものの、精一杯生きている。オレとの会話は首から提げた白板とペンが便りであり、最近の話題は長男、ヨシヒロの高校進学だ。学業成績は自慢できないレベルらしいが、ムシとか川魚に関する知識なら誰もが舌をまくほど。よって農業高校に入学させるのが、ヒロシ家の目下の目標となっている。そのヨシヒロを将来、本物のムシ博士、いや、大学教授にすべく、オレも微力ながら一肌脱いでいる。
最近は「おやじも病院で頭の検査をしろ」と、ヒロシから忠告されるようになった。彼のようなフアンがいてくれるうちは、もう歳だとか、疲れたとか、後継者がいない、などと、弱音を吐くわけにはゆかないだろう。
秘話その2の前にこの3があったのを忘れていた。しかしこんなのろ気話みたいなことをブログに書いて恥をさらしていいのだろうか・・・。
ええーい、ヤケクソやー!
ペンション業からはなれて、互いの老いた両親の世話をしたい、と言ってやまない女房に頭を悩ませていた頃。
「神戸のクラブの美人ママとアバンチュールでも」とイヤ味をいったら、「いっといで」と一言。この女房の冷たい反応に「なら、行ったる!」で、11月半ばの凍えそうな日に、それもオープンのランクルに乗り、神戸までのこのこ出かて行った。
田舎物の浦島太郎につき、夫婦で好感を持っていた南米帰りのキャリアウーマン純子ちゃんに、三宮の夜の街案内を頼んだ。ところがどっこい、なんと彼女が高級ホテルの、それもつツインの部屋をリザーブしてくれていたではないか。しかし、オレには学生時代から連れ沿った恋女房もいれば、自身、50代の半ばにいる身。そんな大人気ないことができるわけがないだろう。・・・けど・・・。
夜、二人連れだって目的のクラブに行った。
突然、憧れのママが、息が詰まるほどきつい抱擁と、火傷するくらい熱~いキッスで迎えてくれた。このママは、白ヒゲ本に「絶世の美女」として書いたら、団塊世代の男性軍の憧れの的になったほどのレベルにある。しかし今夜のママは特に麗しい。
「彼女は?」・・・単なるお得意さん。
純子ちゃんはムッとしていた。
店が上がってから三人で酒と食事でハシゴした。
そのあとタクシーでママの自宅まで送った。と、そのとき、
「ねえ、泊まっていくでしょう?」 ええ!? ホ、ホテルが・・・。
「そんなもんキャンセルしたら」 えっ・・・彼女が・・・。
「独りで帰ってもらったら」
タクシーから強引にオレを引きずり下ろそうとするママ。横を向いて「行くなら行っていいわよ」と突き放す言葉とは反対に、オレのベルトの後ろ側に指を入れてしっかりと掴んで放そうとしない純子ちゃん。このときのオレは、真紅の熟女と、ピンクのお姫様に挟まれ、夢の中にいた。生まれてこの方、こんなにモてた(?)ことは一度もない。まさか一日に据え膳が二度も・・・。宝くじと万馬券がダブルで当たったくらいの夢の中にいた。・・・だが、かなり酔っていたので後の記憶はなかった。
ベッドの中で目覚めたとき、横で眠っていたのはお姫様だった。・・・【続く】
「枚方のネズミ男」を自称するシンちゃんのオリジナルベストは、愛妻を称える「トモリンに捧げるバラード」。これは天下一品だ。
「岸和田のだんじり男」を自称するタケちゃんは、ジャンルを問わないギターの名手。ピアノも弾けば風邪もひくし、身体も声も態度もデカい。なにをやっても堂々としている。
HPのYOU TUBEで流れている ♪ Oh!beautiful mountaindomu ♪ は、この二人の合作であり、ギターも歌も漫談もできるスーパー凸凹トンビ、いやコンビである。それに比べて、やりたくてもやれない今のオレが情けない。プロのミュージシャンだったのは、彼らが幼い40年も前の大昔のことやもんなぁ。
そんな昨晩、「マウンテンドームフアンのために本気でライブやろうよ」と、シンちゃんに電話でゲキを飛ばされた。確かにオレが加われば、みんな喜んで集まってくれるだろうけど・・・。
そうや! マジで20周年記念に、おっちゃんバンドのライブショウをやってやろうやないか! ピアノの得意な広島のジンちゃんにも声をかけてみよう。
さてあれは一昨日、21日の22時頃だった。タケシから興奮した声の電話があった。10年に余って愛娘のようにして付き合ってきた、若き男性群の憧れ、あの優ちゃんが、とうとう落ちたのだ。白ヒゲが伝授した押しの一手を実行し続けたタケシの努力の賜物である。マウンテンドーム通算、記念すべき101組目のカップル誕生だ。これでキューピット役も60、70組くらいやったから悔いはない。この愛娘の結婚を最後に、もう、ちょうちん持ちはやめるつもりだ。今年はアンちゃんの一人娘夕子の結婚も決まったし、良すぎるほど幸先がいい。タケシ&優ちゃん、ほんとにおめでとう。
しかし台風・大雨・大雪はラジオで情報が得られるが、停電情報は流れないから困る。電力に電話しても「しばらくお待ちください」のリピートだけで要を得ない。電気料金を滞納したら、すぐにでも送電停止にするくせに。
今、外はこの冬、二度目の一面、雪景色。
あれは4年前、仕事納めの日に大阪から駆けつけ、年明けまで手伝ってくれた 彼女が最終列車で帰る高松駅でのこと。
疲れたやろ? ・・・気つけてな。
「うん」
ほんとに帰るんか?
「・・・また来週」
改札口から電車に向かう両手両肩に重たいバッグ、よろけながら歩む彼女の後姿・・・そしてとうとう大爆発。
あとで入場券買いますから! と駅員に告げるやいなや、ホームに飛び込み彼女のあとを追う。
車窓から淋しそうに暗闇を見つめている彼女の背後からぐっと手を差し出し、
300円貸して、入場券買うんや。いや・・・オレは来週まで待てん!
充血した瞳で見つめ合う二人。
二人はこのとき決心したのである。 ・・・【続く】
リョウジ君はブラジルのサッカー選手風の彫りの深い濃い男で、明治時代から続いている淡路島で屈指の福岡造園の若旦那である。相方のアスカは常に笑顔を絶やさない看板嫁で、リョウマとジュンマという二児との4人家族だ。知り合ったのは半月前の正月。この夫婦とは最初っから気が合った。オレの得意なタイプである。酔った勢いからいつもの持病が出て20年間愛用のカウボーイベルトをプレゼントしてしまった。
手間をかけるのを遠慮して、何年ぶりかのラブホテルに泊った。コンビニとATMが備わったような現代のラブホに驚いた。
いつものことだが年寄りと犬が待っているので、悲しいかな午前中にはまた山に舞い戻っていた。ほんの短い淡路島旅行だったが、似顔絵まで画いて歓迎してくれた福岡ファミリー、ありがとう。
今夜から大雪になる予報だ。
きょうは4回目の結婚記念日につき、誰もが訊きたがるオレたち夫婦の結婚秘話を初公開しよう。
どうしてこんな男と?
「学生の頃から尊敬と憧れがあった」
♪それは大きな間違いや・・・けど・・・泣かせる話やないか。
父娘ほども歳がはなれている×1男に?
「私がいた外国では、10や20の歳の差とか、再婚なんて珍しくないもん」
♪捨てる神もあれば拾ってくれる神もある。男冥利につきる話やないか。
さて、きょうは愛妻になにをプレゼントしようか。
石油が高値のこの冬、囲炉裏を中心にして暖をとろうと思ったら、昨冬まで10キロ、1,000円で売ってくれていた炭焼きのおっちゃんが老いを理由に突然、焼くのをやめてしまった。しかたなく別の1,800円のおっちゃんとこで買い始めたところ、炭のできがよく、火力と持ちが数段によくなり、値段だけのことはあると結果的に満足している。しかし信じられないくらいの暖冬につき、その炭も灯油も消費が少なくて助かっている。まことに結構なことではないか。
しかしこの10キロ、1,800円の炭を大量に仕入れて、2~3キロごとに小分けして2~3,000円で販売している商魂たくましい街の業者がいる。こういうのを商売上手というのだろう。