月光院璋子の映画日記

気ままな映画備忘録日記です。

「ラスベガスをぶっつぶせ」

2008年05月30日 | ◆ラ行

2008年:アメリカ映画
監督:ロバート・ルケティック(「キューティ・ブロンド」の監督ですね)

原作は、ベン・メズリック著「ラスベガスをぶっつぶせ」というベストセラーとなった本。すべて実話(MITの天才学生ジェフ・マーのブラック・ジャック攻略)ということで評判を呼んだ綺羅星のごときエンターテイメント。先行上映で一足早く観て参りました。 

マサチューセッツ工科大学(MIT)の苦学生ベンは、子供の頃からの夢だったハーバード大学医学部の試験に合格したものの、奨学金を受けられるのは針の穴を駱駝が通るくらいに難しいことだと知って苦悩する。
進学して医学部での学業と研究生活を送るには、30万ドルが要るからです。学業の合間の自給8ドルのバイトではどうにもならない。

そんなとき、講義での発言がきっかけとなり天才的な数学力をローザ教授に見出され、ブラックジャックの必勝法を習得するチームに誘われる。 一度は断るものの、その必勝法に確信を持ったベンは、



30万ドルという高額な学費を稼ぐため、教授が率いる仲間と共に日夜トレーニングを続け卓越した数学的頭脳とクールさでめきめき能力を開花。

理屈は高度な確率でも、やってみれば算数の問題だとわかるカウンティング。けれど、これを実際にやるとなると算盤の暗算のように右脳の働きがよほど活発な人じゃないと難しい。しかも、プロ相手にチームで仕掛けるので、チームワークも大事。つまり相手を信頼して仕掛けるわけですから、わだかまりがあると途端にトラブったりして計算も狂ってしまう・・・だから、感情のコントロールと欲望のコントロールに加えて、いかなる状態になっても平常心を保つことが必須になります。

やがて訓練を終えて、準備整いラスベガスに乗り込む学生たち・・・・・

実在したMITの学生たちがカードカウンティングという手法を使い、カジノで数百万ドルを稼ぎ出した実話とはいえ、絵空事ではない分、現実の怖さというものが待っている。

ベストセラーになるほどの人々の関心の対象は、ブラック・ジャックをどうやって攻略したのか!?ということで、いわゆるカード カウンティングです。
その方面に関心を持つ子供なら喜んでやりたがりますが、麻雀でも似たような技術が可能で、日本にも同類の映画がありましたね。柏原崇がまだ少年だった頃、その天才少年役をやった映画、「雀鬼アカギ」「雀牌アカギ」を思い出してしまいました。もっとも賭博が禁止されている日本では、賭け麻雀は日陰の身。ラスベガスのような華やかさとは無縁の映画でしたが・・・・



この原作に惚れ込んだケヴィン・スペイシー、自ら映画化権を取得するために奔走し、製作も兼ねたというのだから、思い入れの深さも相当ですね。数学他の成績が優秀で、これぞと見込んだ学生たちを率いてこのゲームを仕掛けるMITの教授にほれ込んだからとか。
ケヴィン・トレーシーが教授のどこにほれ込んだのか、何となく分かるような気がしますね・・・(苦笑)



主演のベンを演じているジム・スタージェスは、ビートルズの名曲の数々をちりばめたミュージカル映画『Across the Universe』で ミュージカル初挑戦で、主人公ジュードを見事に演じ一躍全米そして国際的に注目される事となった新鋭の若手です。
今後も大物俳優との共演作品が次々と控え、この映画でブレイクすると注目度ナンバーワンの若手になるかも。

そのベンを支えるガールフレンドの変装の数々も見ものですが・・・・女性はいかに数学的な才能があろうとも、賭博には向かないということを痛感させられました。もっとも、カード・カウンティングそのものは違法ではありません。「バットマン リターンズ」に出ていたケイト・ボスワース、彼女の堅実さが救いでしたね・・・・

世の中の怖さ・・・というものを、学生たちに教える存在となるのが大人たち。その筆頭が彼ローレンス・フィッシュバーンとなると、見ている側も怖くなりますよ・・・・

いろいろな見方が可能なエンターテイメントに仕上がっていますが、サスペンスとして観るも可能、人生ドラマとして観るも可能。青春映画として観るも可能。

人生というのは、人間が主体。人間は環境や感情や自身の思惑や欲望に影響される存在・・・そうしたものからの影響を最小限にできると、「クールなやつ」と呼ばれるのですが・・・・、いかに計算しても思いがけないことが発生するのが人生。
なぜなら、リアルな人生には生きた人間が関わってくるから。自分一人でPC画面を眺めながらのゲームとは違って生身の相手がそこに存在するから。

ゲームの手法はちゃんとした理屈通りにやれればノープロブレムでも、ゲームを行うのが人間である限り、不測の事態は付き物。ましてやクールな人間に夢や希望など、ましてや恋など出来ようか。

公開サイト
 ↓
http://www.sonypictures.jp/movies/21/

ということで、

明日から公開される映画ゆえ、このくらいにしておきます。個人的にブラック・ジャックはよくやりましたので馴染んでいる分、面白く見ることができましたが、そうじゃない方は、もしかすると、訳が分からないうちに映画は終わってしまうかもしれません。それほどスピード感のある展開なので、ボストンとラスベガスの二重生活に飛行機の中で眩暈を覚えた主人公と同じ状態になるかも。

 

 

 


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