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この瞬間、ああ、いかにも1950年代のSFかも・・・という先入観を抱いてしまいます。音楽も、昔の日本のSF映画をご覧になっていらっしゃる方なら御馴染みだったテルミン(音楽は、バーナード・ハーマン)が使われている(日本映画の方がそれを真似したのでしょうね。)ので、何となく既視感を抱いて観始めたところ、それがどうでしょう。
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世界を騒がした円盤がワシントンに降り立つときのシーンなど、まるで記録フィルムを見ているような錯覚を持ってしまうほど。
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円盤をぐるりと囲んだ軍隊の様子、それをさらに取り巻く群衆のこのシーンが何と全国にTV放映されるのですが、1950年代前半って、日本にはTVはまだ無かったのではないでしょうか。
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映画『マーズアタック』と違って、宇宙人はほどなく円盤から姿を現し、英語で地球に来た理由を話し始めます。ハリー・ベイツ原作のSFの映画化ということですが、原作とはだいぶ違うそうなので、私は原作を読んでいないのでコメントできないのですが、本作は原作とは切り離してご覧になられた方が面白いように思います。
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ところが、彼が兵士たちに近づき、アメリカ大統領に手渡そうとした親書だかプレゼントだかを武器と見誤った兵士が発砲してしまいます。すると、円盤から、
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鉄人28号のような宇宙人が現れて、
何と一瞬の内に目から放った光線で、
戦車をふにゃふにゃのシートに変えてしまいます。
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騒然としますが、負傷した宇宙人の命令で、ロボットは静止。
怪我を負った宇宙人は軍の病院に収監されて、
やがて大統領補佐官が彼を見舞い。そこで、
話し合いを持つのですが・・・
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(当時61歳のフランク・コンロイ、大統領補佐官として貫禄十分です。)
主役でも主役級でもないこうしたところに半端な俳優を使わないのがいいですね。フランク・コンロイという戦前から活躍した1930年代を代表する名優です。ご覧の風貌でもお分かりいただけるようにたいへん知的な教養人で後に作家となり大学教授を勤めたり、さらにジャズピアニストでもあります。こういう人物を大統領補佐官として配するところ、ニクイです。
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(本作が映画デビューとなったマイケル・レニー)
ところが、クラトゥと名乗る宇宙人は、一国の代表とだけ話し合う気はないと宣言。地球を代表する人物と話したいと言う。補佐官は、世界の情勢を説明し、必ずしも期待には答えられないかもしれないと答えてその場をさりますが・・・・1950年代はまさに≪冷戦下≫で、案の定というか、ソ連側はモスクワで会議が開催されるなら出席するといい、反ソ連の国々は、モスクワで開催されるなら元首は欠席することになるいう返事。
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クラトゥは、地球のことをどうするか決める前に、地球の一般人と接触して答えを見出すことにし、銃で撃たれた傷もたった一日で回復し、どこから出たのか厳重に監視された病院から姿を消します。
政府は、戒厳令を発し、彼の行方を探すことになるのですが、
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クラトゥは、市民の中に入り込みながら、いろいろな人物と接触し交流していく中で、何とか地球全体を代表し得る人間たちが集まることができないかを模索。
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街を歩いているときに下宿先を見つけそこに住み、下宿人たちと交流していくことになるクラトゥは、知的で温厚な紳士そのもの。
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(名子役、かならずしもいい俳優になるわけではない一例でしょうか)
やがて父親のいない少年と友達になるクラトゥも、なかなか良かったです。この子役が実に子供子供した少年で、当時のアメリカの子供ってこんな感じだったのだろうなと。ビリー・グレイと言う子役の少年。
その彼を通じて、近所に住む世界的に高名な博士の存在を知ったクラトゥは、彼に会いに行きます。
この配役もまた心憎い・・・・
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サム・ジャッフェという俳優です。フランク・コンロイとほぼ同じ頃の1891年生まれなので、本作ではちょうど60歳。実にいいお顔です。今年になって観たり観直したりした映画にも結構出演していました。味のある脇役で、いい映画にはこうした俳優が欠かせない。
そして、ヒロインというか主役の宇宙人に心引かれ彼を信じて助ける女性には、こちら。
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前述した少年の母親役なので、若くはないけれど、十分に魅力的な地球の女性を好演した彼女は、パトリシア・ニール。知的で愛情深く意志が強い自立した女性というのは、まさにはまり役だったことでしょう。後年アカデミー賞を受賞する女優ですが、本作のときは、ゲーリー・クーパーとの不倫関係で悩んでいた頃かもしれません。数年後には彼との不倫という愛情を清算し結婚しますが・・・・、たおやかな女性らしさの中にある迫力が印象的。
が、そんな子連れのか彼女に求愛中だった男の嫉妬から、
クラトゥの居場所が知られ追われる身となります。
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男性の嫉妬って、映画の中では結構甚大な影響を及ぼすけれど、
そういう役を振られる俳優ってキャラもそういうイメージじゃないと難しいですよね。ここでは、ヒュー・マーロウという俳優がピッタリでした。かくして、いつしかSF映画だということをすっかり忘れて見入ってしまう本作は、最初と最後を除くとSF映画とは思えない出来です。
すでに見つけた場合には射殺も止むを得ないという命令が下された中、彼を捉えるための包囲網のシーンもリアリティがあって、スリリングな展開にぞくぞくしましたね。ド派手なシーンがなくても十分面白い。
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彼女の助けを受けて逃亡するクラトゥは、
博士が政界以外の各界の権威を世界中から呼び寄せて待つ会場へと急ぎますが・・・・
あと少しで会場に着くというところで、
軍隊の放った銃弾に倒れてしまいます。
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クラトゥとの約束の会場は、宇宙船が止まっている場所・・・
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約束通り、世界中から各界の権威に呼びかけて宇宙人であるクラトゥのメッセージを受け取ろうとする博士でしたが・・・
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果たして、彼は、
どういうメッセージを持って地球にやってきたのか。
個人ではなく、また一国でもなく、地球全体を代表する人物か、それが無理なら世界中の人間を代表するような人間が集まったところでなければ話せないというメッセージ・・・・・
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(ロボットの名前はゴート、演じていたのはロック・マーティン)
宇宙船に彼の遺体を運び入れたロボット・・・
さて、この後ロボットはどういう行動にでるのか。
もうじきリメイク版が上映されるので、
結果は、年末にでも書き足そうと思います。
ごめんなさい。
監督ロバート・ワイズ
1951年版の『地球の静止する日』のご紹介でした。