月光院璋子の映画日記

気ままな映画備忘録日記です。

「The Package」(邦題「ザ・パッケージ 暴かれた陰謀」)

2008年11月28日 | ◆ハ行&バ・パ・ヴ行

観初めてしばらくはジーン・ハックマン主演のミリタリーものかと思ったら、核兵器廃絶条約の調印をめぐり、それに反対する米ソ双方のある集団による陰謀というサスペンス。
たまたま見逃していたアクション映画の1本だったので、午前中久々にお茶を入れながら楽しんだ次第です。

このDCDの表紙画像だとちょっと分かりにくいですが、右下の俳優は、トミー・リー・ジョーンズ(Tommy Lee Jones)。本作では一匹狼的な狙撃手の役。ジーン・ハックマン(Gene Hackman)はあまり変わらないけれど、こちらはかなり若いので、いつ頃の映画かしらと思っていたら、米ソ大統領役が、ゴルバチョフとブッシュ両大統領のそっくりさんを使っていたので、ペレストロイカの80年代の映画かソ連崩壊の90年代前半の世界情勢に合わせて、そうした政治的流れをテーマにエンターテイメント映画を制作しようとしたのでしょう。
そう思ってチェックしてみたら、1989年の制作。歴史はこの映画の通りにはいきませんでしたけれど、製作者の意図は分かりやすい政治エンターテイメント映画です。

監督は、アンドリュー・デイヴィス。(Andy Davis)この映画の数年後にハリソン・フォード主演の「逃亡者」(「THE FUGITIVE」)を製作し、その映画でトミー・リー・ジョーンズがブレイクしたことを思うと感慨深いものがあります。なぜって、彼のデビュー作があのフランシス・レイの主題曲でブレイクした青春映画「ある愛の詩」だというのがピンと来なくて、どういう役で出ていたか気づかなかった俳優だからです。


(40代後半のトミー・リー・ジョーンズ)

本作ではドライさと明るさと人情のある複雑な性格の暗殺者となり、主役のジーン・ハックマンに撃ち殺されてしまいますが、そんな彼に、ジーン・ハックマンに悪役が似合うようにこちらも逆の立場の役を振ったほうが面白いと思ったのかもしれないですね。本作では43歳のトミー・リー・ジョンズが役者としてエンターテイメント映画でブレイクしていくのはこの後の、まさに40代半ばから。人生体験を踏んできたこういう俳優って、こうなるとどんな役でもこなせるので貴重です。

あ、そうそう、
本作でジーン・ハックマンの別れた妻で軍で中佐になっている役なのに、陰謀組織に追われたときに「助けて!誰か助けて!」と何度も叫びながら逃げる中年の軍人女性を演じているのは、ジョアンナ・キャシディ(Joannna Cassidy)。

いろいろな映画に出ている女優なので、よく見かけますが、彼女のような女優に「助けて~」と言わせる脚本のセンスはイマイチです。
ヤンチャな夫像のジーン・ハックマンと離婚して軍で出世している女性役。追い詰められたハックマンが救いを求める最後の拠り所でもある女性ですから、ここで、実はか弱い女性なのだという説明はどうかと思いますが、彼女の部下役の女性もまた、陰謀組織の情報を入手して震えた挙句に殺されてしまう。当時はまだそういうセンスだったのかもしれませんね。ちなみに、この部下の女性役を演じていたのが、

パム・グリア(Pam Grier)という女優です。

 

B級映画ではお馴染みの魅力的な黒人女優ですが、せっかくこういう映画に起用するならもっと彼女の持ち味を演出してもらいあたかったです。監督のアンドリュー・ディヴィスは前作の『刑事二コ 法の死角』で彼女が気に入ったのでしょうが、本作では彼女の魅力を引き出すのに失敗しているなあと。

それと、元夫婦が協力して陰謀を暴いていくときの強力な味方となる警官役を演じているのがデニス・フランツ。(Dennis Franz)

あの『ダイ・ハード2』で空港の頑固な警察署長をやっていた俳優といえばお分かりいただけると思いますが、なかなか個性派です。
本作では、ジーン・ハックマンを救って背中を撃たれ病院に搬送されますが、その重態のはずの彼が数日もしないで現場に復帰してくるシーンは、かなり無理があり、この映画をちょっと残念なエンターテイメントにしている一因ですね。

それはそうと、もう一人ご紹介すると、
陰謀の指揮官として中堅どころにいた軍人役を、
ジョン・ハード(John Heard)が好演しています。

本作のときは40代半ば。
軍服姿も似合っていました。
いまでは、還暦を過ぎて貫禄も十分となり、こちらもどういう役でもいけそうな俳優なので、今後の活躍をますます期待したい一人です。

ところで、原題のpackage が暗殺の銃を入れた包みのことなのか、暗殺という陰謀のユニットにそれぞれ役割を与えられて入れ込まれた人間たちのことなのか、観終えた後もよくわからなかったでが、あの頃の陰謀ものンサスペンス映画ってこんな感じだったのかなあと思いつつ、役者たちのキャスティングで楽しめたように思います。

http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD3835/


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