月光院璋子の映画日記

気ままな映画備忘録日記です。

★2009年2月下旬の映画鑑賞メモ

2009年02月25日 | ■2009年 2月の映画鑑賞

 

★「Out Of Season」(邦題「ファイナル ショット」)

デニス・ホッパーといい、ジーナ・ガーションといい、超個性派の役者たちが出ているせいもあって最後までぐんぐん引き込まれて観終えました。いかようにも深読みしようと思えば深読みできる、そういう映画なので、ある意味唸らされました。
監督は、ジェボン・オニール。ブログで別立てでご紹介したいと思った作品です。

★「あかね空」http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD10250/ 

夫婦や親子の葛藤と情愛を通して家族の絆を描いた人情物。
内野聖陽の一人二役が見ものでした。

 

★「Taken」・・・http://www.imdb.com/title/tt0936501/

離婚されて久しく離婚の原因となった内容不詳の仕事も現役を引退した中年男が、ロックバンドの追っかけでパリに旅行することになった17歳の娘を売春組織から救い出すというアクションスリラーというか、リアルなファンタジーアクション映画というべきか。

娘をひたすら想う父親の切なさと実は彼の仕事というのが政府のスパイだったというリアム・ニーソン(Liam Neesonの行動のすばやさ・・・・スパイとして得てきた全てを駆使して娘の救出に爆走するところ、とてもスリリングで、これまでのスパイもののアクション映画とはかなりテイストが違いましたね。007並の活躍で「シンドラーのリスト」のイメージで入ると驚かされることでしょう。観終えた女の子は誰もが「こんなパパが欲しい!」と思い、観終えた大人の女性は、「こんな男性が夫だったなら最高に安心だわ」と思い、観終えた父親である男性は、「こんな男と比較されちゃたまらんなァ・・・」と思われること間違いなしですね。

★「デビルマン

以前観た「キャシャーン」という映画よりは良かったかなと。
本作のテーマ、想像はできたけれど、プロットが多すぎて冗長に流れている感は否めなかったですね。原作のラストを知らないのでイマイチ理解が及ばなかったにせよ、面白いところが少なからずあったのに残念。こうなったら前向きに楽しんだ方がいいかなと。出演者の顔ぶれには、結構愉しませてもらいましたが、主演の子、「陰陽師2」の須佐役を演じた子かなと思いましたが、違うんですね。

映画は、いまや実写といっても、VFXというかSFXといおうか、その技術がどれほどのレヴェルかで決まってしまうような映画が随分製作されるようになっていますね。ある意味映画の可能性が広がっているのだと思いますが、「デイ アフター トモゥロー」の津波のシーンのように相当の時間と費用もかかるのでしょう。けれど、SFXなどの美術的な映像制作技術がいかに進んでも、映画はやっぱり脚本の出来と監督のスタッフをまとめ上げる力と采配、そして俳優陣の魅力というものがモノをいうのだなあ・・・と考えさせられる映画でした。(汗)

 

★「Cougar Club」(邦題「American Host Club」)

こんなドタバタお色気青春喜劇に、フェイ・ダナウェイが出ていたこと自体が驚きでした。主演の若手の二人、ウォーレン・コールとジェイスン・ジャーマン、こういう映画に出演しなくても他のもっとましな映画がありそうに思うのですが・・・・20代の男の子たちと40、50、60代と思しき熟女たちのカップリングって・・・違和感がありましたけれど、ホストクラブの男の子たちと客である女性たちのカップリングもいまや珍しくはない時代。
母親のような熟女たちを「彼女はまさにキャデラック、あっちはフェラーリだ!」と車で例える若者たちの表現には笑わせられました。ブラックユーモア喜劇といっていいかも。

 

●「スパイダーSpider」(原題「Along Came a Spider」)

リーマン・タマホリ監督の2001年のサスペンス映画。モーガン・フリーマンが渋く決めている映画ですね。音楽も良かった。内容をすっかり失念して観始めたのですが、誘拐される子役時代のミカ・ブーレムが出てきた時点で、ああ、前にも観ているぞと思い出した次第。
モニカ・ポッターって、ジュリア・ロバーツにどことなく似ているなあと感じた表情や話し方が結構観られて面白かったです。

★「モンゴル」  http://mongol-movie.jp/

浅野忠信がジンギス・ハンを演じたセルゲイ・ボドロフ監督の映画ということで期待したのですが・・・・、妻ボルテを演じた女優、良かったですよ。クーラン・チュランという女優さんなんですね。それとジャムカを演じていたスン・ホウレイという中国の俳優さんもアクが強い個性派でおもしろい俳優です。
時間がものすごく長く感じられたのは、子供時代から大ハーンとなるまでのテムジンの半生を描いているためか、はたまた登場人物が皆モンゴル語を話すというようなことよりも皆寡黙で台詞も極力少なめだったせいか。モンゴルの大自然と暮らし、かつて世界の半分以上を征服した偉大なるモンゴル民族を率いたジンギス・ハーンという人間をじっくり見せるための歴史大河ドラマみたいで、「モンゴルの大自然」というドキュメンタリーみたいな印象の冗長な、いえ壮大なドラマに仕上がっていました。(汗)

★「シリアの花嫁」 http://www.bitters.co.jp/hanayome/



ブログで別立てでアップしていますので、
よろしければ、そちらをご覧ください。

 

●「ゴースト ニューヨークの幻」

この映画、実は以前見たとき、パトリック・スウェイジってあまり好みのタイプじゃないし、ファンタジーは苦手だし、という意識もあったせいか途中でつまらなくて見るのをやめた映画だったので、今回初めてまともに観終えました。デミ・ムーアって、確か本作でブレイクしたんだったかなあと。こんなに首が太かったかと驚きますが、その後の彼女の進んだ方向を考えると、本作で感じたキャスティングの違和感は、ある意味もっともな違和感かなと。音楽がレトロ・・・

●「波止場」

エリア・カザンの名作です。久しぶりに見ました。マーロン・ブランドの若さが実に新鮮で、ジョニー役のこの御仁、

 

リー・ジェイ・コップも良かったですね。
音楽がバーンスタインだったことを失念していましたが、撮影のボリス・カウフマン、いいですね・・・やはりいい映画は、はまり役の演じ手たる俳優たちの存在も大きいけれど、力のあるスタッフあってのものかなあと再認識させられました。
 

●「ナショナル トレジャー2/リンカーン暗殺者の日記」

説明は不要なほど、娯楽映画としてなかなかよくできていると改めて思いつつ楽しませてもらいました。
敵役に配したエド・ハリスは好きな俳優ですし、二コラス・ケイジ演じる主人公ベンの両親にジョン・ボイトにヘレン・ミレンを加えたあたり、そして大統領役のキャストもイケてましたね。「13days」でケネディを演じたブルース・グリーンウッドです。まるでホントの大統領かと錯覚させられる瞬間がありましたもの。
前作の続編として相棒役の若手のジャスティン・バーサとの息も合っていて安心感があり、前作以上に面白かったのはスタッフとキャストの冴えですね。

 

●「オーストリア」http://movies.foxjapan.com/australia/

見るのは二度目です。この少年が気になってまた観てしまったという感じ。オーストラリアの大自然が堪能できましたが、地球温暖化のせいなのかどうなのか異常気象が過日の大山火事のようにこの大陸を侵食しているのでしょうか。
そのオーストラリア大陸の歴史の暗部、かつてのイギリスの植民地支配とオーストラリアとなってからも続いてきた同和政策や人種差別(女性差別も)といった問題を扱った映画です。が、ゼロ戦の空襲シーンにはどきりとさせられましたね。

それにしても二コール・キッドマンには、不満が残ります。どうしてなんだろうと本当に不思議ですが、こういう役だと彼女の良さが出ないのかもしれません。彼女の良さ=無論、凄まじい悪女役をやってもらいたいなァ・・・
ヒュー・ジャックマン他、俳優陣のキャストは前回も書いたように悪くない布陣だったと思います。

 

 


★2月上旬の映画鑑賞

2009年02月13日 | ■2009年 2月の映画鑑賞

映画を見ると映画ブログが書けず、
映画ブログを書いていると映画が見られない。
困りました。が、観た映画は出来るだけ順次追加していきます。

★「レボルーショナリーロード/燃え尽きるまで 」(「Revolutionary road」)

サブタイトルの「燃え尽きるまで」は不要。そのセンス、全然分からない。1950年代のアメリカという設定とはいえ、いまの時代にどうしてこういうテーマの作品を映画化したのかも頭をひねってしまう。
個としてそれぞれが抱く夢や野心と二つの個が出会うそこに生まれた恋、やがて二人の間で育まれる愛の在り方が、こうあるべきだという箍(たが)を受け入れていくとき、受け入れられない個が先に進めなくなってしまう・・・。皮相な見方をすれば、女性の自己実現と自立や男女の新しい愛のあり方を探す勇気が問われる作品だということになるが、そうしたテーマならテーマ自体に古さを感じてしまうだろう。味のある役者たちが出ているので、ブログで取り上げたいと思います。

●「薔薇の名前」(「Rose of the Name」)



言わずもがなのウンベルト・エーコの作品の映画化。何度見ても面白いと思うのは、キャスティングの妙にあるのかもしれない。この映画で復活したショーン・コネリーと当時の新人だったクリスチャン・スレーターとの組み合わせもその一つ。ショーン・コネリーファンには忘れられない一作ながら、ウンベルト・エーコファンならずとも、中世のキリスト教界のまがまがしさも含めてキリスト教の歴史に興味がある人たちには面白く見られるだろうと思います。


●「ラスト アクション ヒーロー」

オースティン・オブライエン、いかにもアメリカの少年といった感じでシュワちゃんとの掛け合いが面白かった。本作で使われる映画館の古さが、シュワちゃんが引退したいまとなっては古さの二乗という感もあるけれど、今見ても面白いのは、やはり映画の世界に入っていけるという魔法のチケットの存在、ですね。



★「SAYURI」(「Memoirs of a Geisha 」)

チャン・ツィイーとミシェル・ヨーが演じるのは日本の戦前の正当派芸者さんながら、彼女たちの着物の着方が気になって仕方がなかった。ロブ・マーシャル(Rob Marshall)監督にとって、日本の芸者さんはゲイシャとして彼の美意識を刺激してやまない世界を内に秘めているということなのでしょうか。日本を代表する渡辺謙、役所広司という二大男優に求愛されるチャン・ツィイーが羨ましくてならなかったです。(爆)

★「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」(「THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON」)



同じ相手との共演2作目ということでも、ディカプリオ&ケイト・ウィンスレット共演の「レボルーショナリーロード」よりもずっと良かった気がする。ケイト・ウィンスレットは演技賞を上げたいくらいの演技で、人物の心理描写も唸らせるほどに繊細で的確なのは、監督(サム・メンデス監督)の冴えとして評価されるだろうと思うが、後味の悪い映画であることには変わりはない。
それに反してこちらの二人の共演作たる本作は、今月2回も観てしまった。ブログで別立てでご紹介しています。


●「呪吟車」

冒頭の異常な殺人シーンは、スプラッター系で、全体として安手の自主制作映画みたいだといえばいいのか、アダルトヴィデオみたいなホラー映画といえばいいのか、呆れ果てました。どこか面白いところはないかと思い、最後まで観ちゃいましたが・・・・こういう映画を作って何が面白いんでしょうね。


★「オーストラリア」



二コール・キッドマンは文芸調の歴史大河ドラマに憧れがあるのかなあと思うほど、この手の映画に出たがりますが、どれも皆同じ印象なのは残念。どうしてなんでしょうね。「あれは、大根役者よ」というローレン・バコールの辛らつな言葉を思い出してしまいます。
今回はヒュー・ジャックマンとデヴィッド・ウェンハムという魅力的な俳優たちがお相手。この二人、イギリスの俳優かと思っていましたが・・・オーストラリア出身だったんですね。


★「セレニティ」(「Serenity」)http://www.imdb.com/title/tt0379786/

これは、なかなか面白かった!数百年後の宇宙が舞台というSFアクションですが、人間が住み暮らす未来の宇宙全体を統治する連盟組織の中で天才としてチェックされている少女が、反抗的な台詞を口にしたことから連盟のCIAみたいなところの所管研究所で何かの実験にされる冒頭まで、一気です。そこから脱出した兄妹が助けを求めて出会うのが連盟の枠の外で生きるアウトローたち。か細い少女がいきなり殺人マシーンに変わるところ、その格闘シーンは実に面白く、意外と長時間にもかかわらず飽きずに見ることができたので、SFアクション映画としてもおススメです。

★「エンバー 失われた光の物語」(「Ember of the City」)

これもSFながら、こちらはSF冒険ファンタジー。
主演の少女、どこかで見ているぞと。キーラ・ナイトレイ主演の映画「つぐない」(「Atonement 」)に出ていて印象的だった女の子。主人公の子供時代を演じていた子役のシアーシャ・ロナーン(Saoirse Ronan )という子ですが、こうした冒険モノもちゃんとこなしているというか、将来が楽しみな子役。



地上での暮らしが絶望的になった未来において、その後の地球の運命を託す人間を何と地底都市に200年間住まわせて人類の未来を託そうとするシーンが冒頭に出てきますが、時は流れて200年後の地底都市。そこでの都市生活がまるで中世のヨーロッパのどこぞの都市を思わせ、太陽光の代わりが沢山の電球・・・・そのオレンジ色の明りゆえか、まるでブリューゲルの描く街。
そこで成長した少女と少年が破滅が近いその世界からの脱出口と人類を救う手立てを読み解いていくというサスペンスフルな冒険モノです。少年の寡黙な発明家である父親にティム・ロビンス、限られた食料を独占している市長=悪者役にビル・マーレーを配し、なかなか良くできているSFファンタジー。
ファンタジー&冒険モノがお好きな方にはおススメします。


 

★「ソフィア ダイヤモンド」(「21eyes」)

23カラットもある著名な"ソフィア・ダイアモンド"の強盗事件を巡るサスペンスながら、何というか・・・通常の映画とはちょっと違う。その意表を衝いたところが本作の本作たるゆえんで見せ所ということになるのだろう。強盗数人組がいきなりやってきてダイヤを奪おうとするが、どうも素人くさい。なのに居合わせた事務員や警備員たちを迷わず撃ち殺す。犯人たちは、持ち主に「金庫を開けろ、さもないと女の指を切る」と言いカウントダウン。そして10を数えないうちに女性事務員の小指を切り落としてしまう。悲鳴と流血!犯人たちが本気だと知るや「待て、待ってくれ!いま開ける」と金庫を開けるや犯人の一人が袋に入ったダイヤを取り出す。が、このダイヤの強盗事件、犯人も銃を乱射した女性事務員によって全員死亡。
事件を担当するベテラン刑事たちは、さっそく事務所に備え付けられていた監視カメラと隠しカメラに収められた画像を見始める。設置されていたカメラの数も凄まじいが、同じ瞬間があらゆる角度から撮られているテープの録画画像の数も凄まじい。
それを刑事たちはジョークや軽口を交わしながら分析していく。
が、主演の刑事たちの姿は現れず、声のみ!
もしかしたらこのまま現れなかったりして・・・まさかと思ったら、そう、最後まで彼らの姿が映画には現われず会話の音声のみ。
ビデオに録画された画像を繰り返し巻き戻して分析し事件の謎解きをするという映画でした。

 

●「フロム  ヘル」(「From Hell」)

久しぶりに観ました。個人的にヴィクトリア朝のロンドンって、好きなので、その当時のロンドンを再現したような映像って、それだけでも、わくわくしちゃいますが、切り裂きジャック、そう、ジャック ザ リッパー事件にイギリス王室を関与させる発想には、やはりびっくりさせられますよね。日本で連続殺人事件に皇室を絡ませたら、いくら映画でも大変なことになりそう・・・・上映禁止どころか、制作段階、企画段階で禁止!?それだけ、彼此の文化には落差があるということでしょう。



すでにジョニー・デップファンの多くの方がご覧になられている映画だろうとは思いますが、未見の方は、アレン&<WBR>アルバート・ヒューズ兄弟監督の異才を堪能してください。