月光院璋子の映画日記

気ままな映画備忘録日記です。

映画「龍が如く《劇場版》」(実写版)

2009年03月04日 | ◆ラ行

ゲーム未体験のため、本作の原作となっているゲームの内容も知らないため、本作のファンの方たちと感想とはまるで違うかもしれませんが、三池崇史監督で北村一輝主演の映画と聞けば見たくなるというもの。出演者を見たら、かつてやくざ映画の主演イメージだった哀川翔や個性派の岸谷五郎や遠藤憲一、松重豊、そして真木蔵人と高岡早紀子といった面々もそろってどんなやくざ映画になるのかと。

冒頭、東京の夜景が俯瞰されて、新宿の不夜城 たる歌舞伎町と同じ不夜城の別名の歓楽街に主人公の北村一輝が姿を現す。
10年の刑期を終えて出所したばかりのやくざの桐生です。そんな桐生が、この街で働いてきた母親との連絡が途絶えてしまった少女と出会う。



ひょんな縁から桐生は少女の行方不明となっている母親を一緒に探すことになることで、本作の物語が展開していく。
その同じ日この街で銀行強盗事件が発生。残高ゼロとなっていることも知らずに銃を持って銀行に押し入るとんまな二人組。

お金がなくて出せない支店長切れて、相方の名前を呼んで「さっさと撃ってしまえ」と叫ぶ一方と撃てずに相方の名前を叫ぶ二人の掛け合いは、まさに漫才。どういう展開となるかわからない漫才コンビなので緊張感があるのだが、どうにもおかしく笑わせられます。そんな二人の銀行強盗相手に、

哀川翔が指揮する対策班もまた、すこぶるおかしい。
ヒートアイランドと化した猛暑の中、コートを着ている刑事、警視庁4課の刑事役の松重豊もおかしいし、愛川翔扮する警視庁捜査一課の刑事の無能さも笑えます。
捜査権限を争っていたかと思えば、他所で銃撃戦が発生という知らせを受けて、松重はやくざ絡みということで事件の現場に向かう。

二人はお互いに一目置いている。古巣に戻ったその日からやくざたちから命を狙われる桐生のシリアスさが浮いていないのは、さすが三池ワールド。
桐生の服役した理由はかつて自分が入っていた組織の組長殺し。おまけにかつての抗争相手の組織のお金がその日いっせいに各銀行から消えてしまった。消えたお金も半端じゃない100億円。そこに桐生の出所とあって瞬く間にやくざの世界に情報が飛び交っていたために狙われているのですが、

まるで1970年代と2000年代が入り混じったかのような不夜城で、どこへ行っても追われる桐生ながら、ばったばったと相手を倒していくアクションは必見。

やくざ集団を蹴散らして倒したコンビ二に入ってきたカップルながら、その様子はど素人ながらまさに飛んでるカップル。彼氏の塩谷瞬は、盗んだお金を返そうというモラルがあるけれども、女の子は応じない。彼女に促されるようにして強盗をしてしまう塩谷瞬ですが、サエコの方がなぜかお金が要るらしい。けれど、その理由は彼氏には言えない理由らしい。
こうしたぶっとびカップルと歩調を合わせるかのように、同じ町で子分たちを引き連れるやくざ岸谷五郎のぶっとびぶりがエスカレートしていく様が実におかしい。

本作前半の見せ場は、この岸谷五郎と北村一輝との絡みと対決。というか、岸谷五郎の登場とキャラのぶっ飛びぶりには目が離せなかったですね。松重のひょうひょうとした言動にも笑わせられましたが、かなり不気味な刑事です。


(同じ写真でごめんなさい)

暴力団相手に仕事をしている刑事は、どっちがやくざかわからないとよく言われるけれど、官僚機構の末端で命を張っているのだから、せめて映画や漫画の世界では、より人間的な相手と肩を並べさせてあげたくなるというもので、やくざ映画ではおなじみの人間関係です。その役を松重豊が好演。
そして、こちら、

いわくありげの謎の男。桐生の弟分のホストのクラブに身を寄せている。どこかで見た顔だと思ったら、一言もしゃべらなかった男がいきなり韓国、そう、彼は韓国の俳優 (コン・ユ)ですね。日本の永田町を影で支配しているという怪物退治にソウルから派遣されたという男。この顔で金大中事件のときよりは血は流れないと語る殺し屋なので、逆に怖いですよ~。

ばらばらに見えた登場人物たちがやがてひとつにつながってくるわけですが、そこはこの情報屋のところ。レンタルDVD屋の看板の陰でこの町のあらゆる情報がここで手に入り、その地下では密売の銃も手に入る。
けれど、この画像を見ていると、まるで、裸の大将がほんわかホームドラに出演しているかのようですが、笑えるのはこの情報屋が度Mなこと。岸谷五郎にいたぶられるシーンは必見。これ、遠藤憲一がやっても面白かったかなと。

銀行強盗のとんまな二人とすでにヘルシンキ症候群となっている人質たちが、警察から高いお弁当を差し入れさせて仲良く食事をしているシーン。

やくざ組織のニューリーダーとなるべく上り詰めてきた男、その刺青だけが映されることで、じらされちゃいます。真木蔵人なんですが。。。

警視庁の4課の刑事と組織からはみ出したやくざが肩を並べて、探している女の居場所を教えるが、そこにもう一人の宿命のライバルが永田町の極悪人と手を組んで待っている。情報を龍に与えつつ龍に死ぬなと言うシーンはまさに伝統的なやくざ映画といっしょ。新興やくざ組織と手を組み広域やくざ組織の100億円を奪取した永田町の怪物を相手にこれまでひそかに戦ってきたらしい男たち。

スーツを着ていた桐生がその上着とシャツを脱いで、やっと龍の登場ですが、途中で襲われて撃たれ、同行していたはるかも連れ去られてしまう。

このドリンク剤のシーンが馬鹿にていねいに映し出されるので、いやな予感はしたんですよね、笑える予感ですが・・・
宿命のライバル第二弾的存在の男との再会で、傷を負ったまま戦うことになる龍は、ぼこぼこにやられてダウンしたときに再登場するドリンクは、まさにポパイのほうれん草の缶詰。ここのシーンは三池監督の力技。

これで、ポパイになる北村一輝。爆笑。

龍と鯉の、宿命の肉弾戦が本作後半の見せ場。

探していた女は都内の銀行から消えた100億円といっしょだった。

画像だけ見ると、シリアスドラマのヒロイン。

遠藤憲一がやるから、ここで笑えるんです。

ぶっとびカップルの二人は、じつはどこにでいる恋人同士と変わらなかった。
塩谷瞬とサエコのカップル、よかったです。

塩谷瞬は、井筒和幸監督の『パッチギ』以降、松浦雅子、井坂聡監督の『像の背中』、坂本順治監督の『カメレオン』などの映画に出てきて、今後が楽しみな若手ですね。

北村一輝のマッチョぶり、新鮮でした。
そういえば、大河ドラマ「天地人」の上杉影勝、あれ、ミスキャストですね。

 


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