月光院璋子の映画日記

気ままな映画備忘録日記です。

震災後でもこれだけ映画を見ていたわたくし

2011年08月06日 | ★ご挨拶&その他
映画ブログの転居先を探すはずが、
そのまま放置状態になってどのくらいになるのか。
久々に、(ある意味、やっと)ログインした(出来た)ところ、
その後も、多くの方がこの拙ブログにお越しくださっていることを知り、
感慨深い思いになりました。
感謝に堪えません。(転居先、探さないと・・・)

この3月11日に発生した
東北太平洋沿岸部に激甚な被害をもたらした震災後、
我が家を避難所として開放した2ヶ月の後も、
しばらくは映画を見るどころではありませんでしたけれど、
3ヶ月を過ぎボランティア活動にも一区切りつけさせていただいてから、
やっと、映画を見始めたように思います。

眠れないまま、なんとなく見始めたり、
笑いを得たくて見始めたものや、
怒りを静めたくて見たものやいろいろでしたけれど、
ほとんど、覚えていません。

以下は、手元に残っていたメモ書きにあったもので、
震災後に見た映画。

●「二重スパイ」
●「セックスと嘘とラスベガス」
●「プライスレス」
●「レポゼッション・メン」
●「ジュリー&ジュリア」
●「ウソから始まる恋と仕事の成功術」

けれど、これらなど、どういう内容だったか、
思い出せません。

●「ニュートン・ボーイズ」
●「フローズン・リヴァー」
●「危険な関係」
●「ザ・ストレンジャー」
●「空軍大戦略
●「グラディエーター」
●「インセプション」
●「オーメン1」
●「オーメン2」
●「セックス・アンド・ザ・シティ2」

その他10本以上ホラー映画や邦画の時代劇を
見たように思うのですけれど、
タイトルは失念。

以下は、映画館で見ました。

●「川辺のほとり」
●「田舎侍」
●「ブラック・スワン」

手元の残っているメモを見るとこうなっているけれど、
この2倍は見た気がします。
こうして映画のタイトルを見ていると、
ラスト3本を除いて、
いずれも以前見たことのあるものばかり・・・
のような気がします。

でも、
映画の時間があったからこそ、
いま、こうして、元気でいられるのかもしれません。

8月
●「グレート・ディベーター 挑戦者たち」
●「クレイジー・ハート」
●「狼たちの午後」
●「プレデターズ」

コメントを付記したいのですけれど、
疲れているのか、気力が萎えていますので、
いずれまたの機会に、と思います。




ご挨拶・・・ブログ転居のお知らせ

2009年04月04日 | ★ご挨拶&その他

早いものです。もう4月。
2009年の3分の1が過ぎてしまいました。
星の瞬きほどもないと言われる人の人生の時間において、あと、どのくらいの映画が見られるのだろうと最近そんなことをぼんやりと思うわたくしです。

さて、4月に入ってからは時間が取れず、観た映画は2本ながら、とても感じ入りました。

   
http://movie.goo.ne.jp/dvd/detail/D111553750.html


http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD30288/index.html

特に、『パピヨン』にいたっては、好きな映画ベスト3に入る程なので、もう数え切れないくらい繰り返し観てきましたが、今般初めて自分の娘と一緒に観て大変感慨深いものがありました。
そして、昨夜観た『バウンド』、ウォシャウスキー兄弟の初監督作品ですが、これも実に面白い映画で、わたくしの知っている女性でこの映画を見た女性で「面白かった」と言わない女性はいないくらい面白い。男性には何故かあまり好評ではないみたいですが、以上の2作品を転居先のブログ巻頭にてご紹介したいと思います。

映画鑑賞の備忘録として始めたここgooブログですが、4月の映画鑑賞作品をアップするにあたり、カテゴリーに「4月の映画鑑賞」を追加しようとしたところ、これ以上カテゴリーを増やせないことが初めて分かった次第です。なので、転居することにいたしました。転居左記は改めてご案内させていただきます。

去年のちょうど春から始めたこのブログですが、備忘録としてブログ未公開のまま整理しかねている映画作品がこのgooブログに数え切れないくらいございます。公開をお約束していながらいまだに果たしていない作品もございますので、時間があるときにそれらの映画はこちらのブログでアップしていくことになるかと思います。ブログ移転後も、ここの映画ブログでご一緒に映画を楽しんでいけたら幸いに存じます。

1年間のご訪問とご愛顧に心から感謝申し上げます。

                             月光院璋子


★3月下旬の映画鑑賞 メモ

2009年03月24日 | ★ご挨拶&その他

●「私の小さなピアニストhttp://www.cqn.co.jp/mylittlepianist/

●「大脱走」・・・近所のコンビニでDVDが1000円で出ているのを見つけ、懐かしくてまた見てしまいました。ナチと戦った捕虜となった連合軍兵士たちの実話ですが、娘は小さい頃に見た記憶があったらしく、スティーヴ・マクィーンがスイスの国境を二輪で越えるべく走るシーンだけ覚えていたとか。 

 

●「ワルキューレ」・・・娘がいっしょに見たいと言ったとき、「第一次世界大戦とヴェルサイユ体制、そしてナチスドイツが誕生するまでのドイツ史と第二次世界大戦を勉強してからね」ということにしたところ、『世界史』の教科書と参考書を勉強したというので、いっしょに見ることになり、二回観ることになりました。なんだか、ナチスドイツの映画が続いているね、と語った娘。 
★ブログで別立てで取り上げています。 

●「愛を読む人」・・・予備知識なしで、レイフ・ファインズとケイト・ウィンスレットのラブストーリーかと思って見たら、ここでも、またナチスドイツ・・・娘と顔を見合わせて閉口しつつも、ケイト・ウィンスレット演じるハンナの生き様に深く胸を揺すぶられました。http://www.aiyomu.com/
★ブログでご紹介しています。

●「ミュンヘン」・・・http://munich.jp/

スピルバーグ監督の「ミュンヘン」ですが、これを見るのは私は三度目で娘は初めて。「またドイツだ!」と語った娘でしたが、見始めてしばらくしてから、「ミュンヘンオリンピックで、本当にこんなことがあったの?どこまでが映画なの?」と言うので、映画の中に出てくるTVで放映された内容は当時のもので、現実にあった事件だと教えましたら、非常に驚いていました。
その後、「イスラエルとアラブって、どうして殺し合いを続けているのか」と言うので困りました。「聖書を読んだらわかるかも」と言うのがせいぜいですね。ところで、ダニエル・クレイグが出ているのを見て、娘は驚いていましたが、私は、本作でルイという人物を演じていた彼マチュー・アマルリックが、「007 慰めの報酬」でパワーアップしていることに感慨深い思いを抱きました。無論、本作は、エリック・バナの熱演には拍手。

 


更新報告

2009年03月18日 | ★ご挨拶&その他
PC不調のため、画像をブログにアップできないでおります。
映画『ワリキューレ』、『チェンジリング』、『ダイアナの選択』など、
検索してお越し下さった皆様には大変申し訳なく思っています。
今しばらくお待ちいただきましたなら、
画像大サーヴィスでそれらの作品他をご紹介したいと思います。
本当にごめんなさい。

                           月光院璋子

第81回アカデミー賞

2009年02月24日 | ★ご挨拶&その他
映画ブログを書いている一人として、
やはり、書いておこうかなと。
昨日のアメリカのアカデミー賞の結果。

主要部門受賞一覧
・作品賞:『スラムドッグ$ミリオネア』
・監督賞:ダニー・ボイル 『スラムドッグ$ミリオネア』
・主演男優賞:ショーン・ペン 『ミルク』
・主演女優賞:ケイト・ウィンスレット 『愛を読むひと』
・助演男優賞:ヒース・レジャー 『ダークナイト』
・助演女優賞:ペネロペ・クルス 『それでも恋するバルセロナ』


・脚本賞:ダスティン・ランス・ブラック 『ミルク』
・脚色賞:サイモン・ビューホイ 『スラムドッグ$ミリオネア』
・長編アニメ映画賞:『ウォーリー』
・短編アニメ映画賞:『つみきのいえ』
・外国語映画賞:『おくりびと』
・美術賞:『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
・視覚効果賞:『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
・メークアップ賞:『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
・衣装デザイン賞:『ある公爵夫人の生涯』
・音響編集賞:『ダークナイト』

感想としては、助演男優賞がヒース・レジャーに与えられたことと『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』が”視覚効果賞”と”メークアップ賞”を受賞したことには納得でした。そして、我が日本映画から『おくりびと』が日本アカデミー賞と受賞した直後にこちらの外国語映画賞を受賞したことは、正直な気持ちとして快挙だといわねばならないなあと思いました。
他は残念ながらまだ観ていない映画なので、コメントのしようがないですね。ただ、ショーン・ペンという俳優は玄人受けする俳優なので、何だかハリウッド映画としては、娯楽やエンターテイメントだけじゃないぞーとアピールしているような感じを受けますね。



書いたブログがアップできないトラブル

2009年02月21日 | ★ご挨拶&その他
「シリアの花嫁」の(3)をお待ちの方がいらっしゃいましたら、
ごめんなさい。何度か記事を書いたのですが、
投稿不能の状態が続いております。
書き終えたブログ記事が消えてアップされなかったり、
画像を貼り付けた瞬間、画面がそのままフリーズしたり、
「シリアの花嫁」の(3)はトラブルが続いております。
まるで、映画の内容と同じですね。

画像に問題があるのかもしれません。
時間を置いて、またトライしてみますので、
いましばらくお待ちいただければ、幸いです。

                     月光院璋子




大晦日・・・ご挨拶

2008年12月31日 | ★ご挨拶&その他

        

今年も最後の夜となりました。
映画ブログを開設してまだ数ヶ月ですけれど、
お越し下さいました皆様に心より感謝申し上げます。

アップしたかった映画、
画像付きでご紹介したかった映画など、
まだまだございましたけれど、

その時間が取れなかったことだけが、
心残りでございます。

このお正月は、さて、
どれだけ映画が観られるか不明ですが、
松の内が明けるまでに新年のご挨拶を申し上げ、
映画ブログらしい記事をアップしたいと思っております。
来年もどうぞよろしくお願い致します。

では、
皆様もどうぞ良いお年をお迎え下さいませ。
良き映画との出会いが訪れますよう、
お祈りして今年の締めとさせていただきます。

有難う御座いました。

 

                        月光院璋子

 


12月最初の映画はこれ。

2008年12月01日 | ★ご挨拶&その他

早いものですね。
いよいよ今年も残すところあと1ヶ月になりました。
もう1ヶ月で今年も終わる!わけですが、
まだ一ヶ月あるとも言えます。
世の中は「三日見ぬ間の桜かな」と歌われるほど、その変化がプラスであれマイナスであれめまぐるしいものですけれど、個人においても「三日会わずば刮目すべし」というのは、男子に限りません。いったん何かを決したならば、1ヶ月というのは人間を変えるには十分すぎる時間ですね。

今日までを振り返って、
今年はどんな1年だったかと考えるのは、
そういう意味では早計ですけれど、

平々凡々たる日常を普通に、つまりは人並みに送ることが目標の私にとっては、この一年で全てが上向きになってきたと感じますので、成果のある1年だったような気がしています。
拙ブログにお越し下さる皆様におかれましては、
どのような一年だったのでしょう。

さて、ここは映画ブログ。
あまり映画が観られなかった11月下旬ですけれど、月末にまたあらたに100本くらいDVDを頂戴したので、ホクホクとしている私です。12月最初に観た映画のことをご紹介する前に、先月ラストに観た2本の「ストレンジャー」をご紹介したいと思います。

最初の1本は、オーソン・ウェルズの昔の映画『The Stranger』(原題『Orson Welles in srtanger』、邦題『ストレンジャー 異邦人』)です。もう1本は、『ロード オブ ザ リング』で妖精の女神様になっていた『アルマゲドン』のリブ・タイラー主演の最新作『The Strangers』というホラー映画です。ホラー映画を見慣れている方にとってはB級ホラー映画としか言えない内容なのですが、実話の基づいた話という点では確かに怖い映画ですけれど、この映画を別の観点から見ると、実はまるで違う映画になってしまいます。それが監督の意図だったのではないかと思われるので、そのことをご紹介したいと思います。

 

ちなみに、
12月最初の映画はこちら。


ご訪問者の皆様へのお礼

2008年11月23日 | ★ご挨拶&その他

拙ブログはブログのランキングには参加しているませんが、訪問して下さる方が何人だったかという訪問者数が表示されます。ささやかな映画鑑賞の備忘録なのに、こちらが期している以上の方達が毎日お越し下さっていて、感謝に耐えません。
こうしてお越し下さる訪問者数が表示されるブログバーツを、何とかここのgooに貼り付けられないかしら・・・・と思っているのですが、なかなかうまくいきません。そこで

管理画面の「アクセス・ランキング」というところに表示されていたものをここに貼り付けさせていただくことにしました。

2008.11.16 ~ 2008.11.22  1385 PV 561 IP
2008.11.09 ~ 2008.11.15  1337 PV 537 IP
2008.11.02 ~ 2008.11.08  1141 PV 523 IP

コメント欄での交流がほとんどないに等しい拙ブログですが、
こんなに沢山の方々がお越し下さっているなんて!
感激しています。有難うございました。
こうしたご支援をエネルギーに変えて、今後も映画鑑賞の日記を更新していきたいと思います。


(サスペンス映画として公開された本年制作の『アメリカを売った男』、この映画の宗教性は実に見事でした。そういうテーマで1本書きたくなったほど)

個人的な映画鑑賞備忘録ですが、ジャンルによってはいまやオタク系のファンしか知らないんじゃないかと思われるような昔の映画、後でご紹介したいと思っている1952年のSF映画『地球の静止する日』のような映画、


(『The Day The Earth Stood Still』(1951年)では主役の宇宙人を演じたマイケル・レニーは、実はこの映画がデビュー作。そうは思えないほどの味のある俳優です。)

あるいはまたネット上で検索してもほとんど取り上げられていないような映画、はたまたありきたりの内容紹介では勿体無い・・・・と思った作品、たとえばホラー映画であっても映像的に美しい!と感じてしまった作品、たとえば、以前も取り上げたことのある『変態村』、


(これは、絶対邦題が悪い!どうせなら原作『Calvaire』あるいは、英語のタイトル『The Ordeal』のままで良かったのに!と返す返すも残念でしたが、映画『Saw』がヒットしたことを思えば、こちらの方がはるかにおススメ。私など以来、ファブリス・ドゥ・ヴェルツという監督が気になってしかたがないほど。偶然観て好きになった映画でしたが、後で知ったことは、これ、何と『Saw』が何とか賞を受賞したときの同時受賞映画でしたものね)

あるいは、シリーズものの映画でも、これはおススメだと思うような一番最初のゴジラとか

(昨日11/22から、日本映画専門チャンネルで24時間まるごとゴジラ映画の放映中ですが、何と1954年制作の『ゴジラ』を再見して感動してしまいました!こんなに丁寧に作られていたんだなァと)

最新作に関しては、個人的には最新作を追う趣味は無いので、たまたま観ることになったものしか取り上げる機会はないですけれど、その場合でもちょっと切り口を変えて感想をアップしたいなァと思います。そう思うとこのブログを書くことがさらに愉しみになるから不思議。

いずれにせよ、たまたま自分が観た映画は、既成のジャンルを超えて取りり上げていきたいなァと思っています。ブログで取り上げることによって私自身も愉しいですし、それがお越し下さる方達の映画鑑賞のご参考に資すれば何より幸いに思います。

ご訪問有難うございました。
今後ともよろしくお願い致します。

 


 


「レッスン」(原題「Take The Lead」)・・・後編

2008年11月07日 | ★ご挨拶&その他
この繊細で緊張感あふれ、かつハートフルな映画の
感想の後編です。


(指導するということは、ある一瞬に自分の人生の全てをそこに賭けるという局面も生まれるのです・・・・)
 
バンデラスは『スパイキッズ』でパパ役を体験してから、落ち着いた雰囲気をコントロールできて一回り大きく見えます。
本作では、最初から最後まで礼節を失わない紳士でしたので、これまでのバンデラス映画とはかなり印象を抱かれるのではないでしょうか。
けれど、この静かなバンデラス=ピエール紳士も、


(先生の敵は先生だったりするから始末が悪い教育界・・・)

戦うべきものとはきっちり戦う。


そして果たすべき責任が問われる場では、その責任をしっかり果たす。先生ですから、保護者に説明を求められれば、信念だけではなく誠意をもって説明し、かつ説得もする。やがて生徒たちが毎日ダンスの基本のレッスンを受けるようになった頃、生徒たちの様子が少しずつ変化してきます。


(誰にも関心を持たず心を閉ざしていた生徒が他のクラスメートの事に目配りをするようになっていく・・・)


(クラスメートの悩みに耳を傾けるようになった生徒も・・・)

「内の子の様子がいつもと違う」「勉強もしないで異性と抱き合っているらしい」「どんな指導をしているのか」といった親たちから不安と抗議が学校に殺到するようになったときの場面ですが、校長も彼がどう説明をするのか緊張しながら見つめています。
そのとき、ダンスというものを考えてもらいために、
ピエールは、校長の手を取り、保護者たちの前でダンスについて語り始めるのですが、あくまで誠実な紳士です。

ここでのピエールの信念に裏打ちされた思いは、傾聴に値します。
素晴らしかったですね・・・


(親たちに求められた説明には誠実にきっちり答えていくピエールの姿勢は、子供を預かる教師の責任として当然のものとはいえ、それ以上に大人として生徒たちに伝えたいことを持った人間同士として、とても大事な場面だと思いました)

保護者たちの理解を得るときの場面は、さすがドラマで唸らせるアメリカ映画のよさが全開しています。
こうして保護者たちからの信頼も得ることになった新米の高校教師のピエールでしたが、さらに生徒たちに「次なる展開」を用意します。踊るなら、競技大会への出場を目指そうと。

その提案に息を呑みながらもその提案を受け入れたとき、
生徒たちの胸にともったのは、
≪目標を持つこと≫ことで見えてくる光・・・・

その目標実現のために、
先生についていこうとしている彼らの姿は、
見かけがどうであろうと、まさに≪生徒≫であり、
彼らはそこで初めて≪生徒≫になったのです。

生徒・・・・師と認めた相手を信頼しその指導を受けるときの充実感、そこで生まれてくる自主性や自発性、お互いを認め合い良い意味での競争で自らを励まし、また相手からも励まされる関係・・・
恋や友情といったテーマではなく、そういったものを越えて、あるいは、そういった関係性を築く土台として、人が人として相手を信頼し信頼される関係というのは、改めて素晴らしいことなんだと感じさせられますが、そうはいっても、そう簡単に期待通りにコトは進まない生徒もいる。

そんな生徒が気になるピエール。



(言葉が見つからず、ただただ気遣い見守る先生・・・)

自分を見ている人間がいる。
自分を気遣っている人間がいる・・・・

アル中ですぐ暴力を振るい働こうとしない父親とそんな夫に精魂尽き果てたのか家事一切を放棄してお酒を飲みながらテレビばかり眺めて無表情のままの母親、毎日アルバイトで日銭を自分で稼がなければ誰も養ってくれない少年・・・
将来など見えない鬱屈した心を抱えている彼の心に、
ピエールの存在は何かを生んでいきます。


(言葉を交わすことなくても、心が波立っても何かが生まれ始めた少年・・・次第に悪い仲間たちとの付き合いにも応じなくなっていきます)

たった一人でも、そこに自分を気にかけてくれて自分の事を見守っていてくれる人間がいるとき、私たちはそういう関係性を信じることが出来たなら、本当の意味で大人になれる。
少年も少女も自立の道を進んでいける。
前を向いて自分を信じてやっていける。

相手を思いやるということを少しづつ学んでいく生徒たちは、
こうして自分でやりたいこと、やるべきことを見つけていくんですね。大きな大きな成長です。



それぞれが踊るパートナーを決めてレッスンに励んでいく様子は、見ていて心躍るものがあり、観ているうちにきっと同じ気持ちになっていくのではないしょうか。ここまでかなり抑制した演出をしてきた監督リズ・フリードランダーも、ここで小躍りしたのではないかと思ったほど。

そんな中でなぜか息の合わない二人の生徒。
エンジンがかからない。なぜ、ダメなのか・・・・



ここでの彼女とピエールとの会話が、ある意味、
この映画のエッセンス。
学校と家事と弟妹たちの世話を一手に引き受け、またそうせざるを得ない家庭環境の中で頑張ってきた少女にとって、ダンスとはいえ、相手にリードされるという思想がどうしても馴染まない。でも、上手になりたい、素晴らしく思うように踊りたい・・・

相手の男性にリードしてもらうという考えに馴染めず抵抗感を覚え葛藤する彼女にピエールは目隠しをします。




ピエールは何を伝えようとしているのか。
繰り返し繰り返し、忍耐強く、
二人のおぼつかないステップのリズムを
傍らから離れることなく取っていくピエール・・・



やがて二人は発見していきます。

ピエールの言うとおり、男性がリードするからといってダンスは男性優位のものではなく、リードされる女性にとっても自分自身が思っていたような自分になっていく一つの道であるということを。
一方が主で一方が従という関係ではないのだということを。
相手を思いやるハートと知性がなければ、
たった一つのステップさえもうまく踏めずダンスは踊れないのだということを二人は悟っていくのです。

いつしか時間を作って自主的にレッスンを重ねる二人・・・・
ゆっくり、ゆっくり、ピエールに指導してもらった教えを確認しながら、二人は感動を覚えていく自分たちに気づいていく。
このシーン、息遣いが聞こえてくる実に繊細でした。

こうして競技大会に向けて、ピエールと生徒たちの心を一つにしていくとき、ピエール自身の心が思いがけない形で解き放たれていきます。妻を亡くして以来心を閉ざしてきたピエール。
それがいま、女性に感謝の眼差しを向けていました・・・



高校の生徒たちへの指導に悩み夢中になっていくピエールを、じっと見つめ続け陰の力となって彼を支えてきた女性の存在に、目が向くようになった自分の心の変化にピエールは気づいていく・・・
生徒と先生という関係の中で、人と人として向き合い心を通わせることができるようになったのは、生徒たちばかりではなくピエールも同じだったのです。

気づきがあってこそ、人って成長するんですね。
だから、幾つになっても人は成長できる。


いよいよダンス競技会の日がやってきます。
校長も盛装して会場に・・・。
このときの彼女のこの表情が、実に素晴らしい。


(このときの校長先生の表情が、本当に素晴らしかったですね。奇跡を見せられたという思い、あの生徒たちが・・・という感動。複雑な思いがさぞや入り混じったのことでしょう。彼女の顔を輝かせたのは、生徒たちの成長する力への畏怖の念だったかもしれません。) 

初めての大舞台に緊張を隠せない生徒たちを引き締まった表情のピエールが堂々とエスコートして会場に入ります。彼は、自分の生徒たちの力を信じて疑わない。



いよいよ、映画もここから大詰めに向かって走り出します。



ここからは、ピエールからレッスンを受けてきた、
生徒たち・・・彼らの独壇場です。



緊張するといつも失敗する場面で、初めて自分の課題を克服する少女と彼女を支えるパートナーの男子生徒。
母親の過干渉と管理、そしてその大きな期待に答えようと頑張ってきた少女が、ここで手にしたものを思うとき、彼女の表情が安堵と自信に輝くシーンは必見ですね。
ここにも巣立ちがありました。

そうしてそれぞれが自分の課題を克服していくとき、
一人、パートナーが現れず取り乱す少女がいました。
それを案じるピエールですが・・・・
彼は何もしてやれないのです。

生徒たちが自分で受け止め、逃げずにそれと向き合い、そして乗り越えていかないといけない局面ですね・・・・




現れないパートナーの男子生徒に最初は不安で涙を見せていた彼女も、いつしか彼の身を案じ、信じて待つようになっていくのですが、ここが痛々しい・・・・

会場に来るはずの彼はどこにいるのか。なぜ会場に現れないのか・・・・
その頃、彼は彼自身の問題を解決するために、
会場から離れた場末の倉庫に。

新たな一歩を踏み出すために避けては通れないことに直面していたのでした。この眼をみてください・・・・
ここにも、けじめと巣立ちがあるのですね。
その結果がどういうものになろうと、
避けては通れないということが青春時代にはあります。いえ、
人生には、そういったことが繰り返し起こるのです。
だから、逃げたら先がない・・・・


この映画、高校生の方達にも、先生方にも、そして中高校生の子供を持つ親たちにも見ていただきたいです。

この繊細な映画をご覧になって、一つでもいい、何かの≪気づき≫を得られたなら、きっと何かが変わっていく・・・・
そう思いました。


 

★本作の感想は、映画の内容に重点を置きたいと思いましたので、あえてキャストの名前はバンデラス以外不問とし、役名も不問にさせていただきました。