月光院璋子の映画日記

気ままな映画備忘録日記です。

大晦日・・・ご挨拶

2008年12月31日 | ★ご挨拶&その他

        

今年も最後の夜となりました。
映画ブログを開設してまだ数ヶ月ですけれど、
お越し下さいました皆様に心より感謝申し上げます。

アップしたかった映画、
画像付きでご紹介したかった映画など、
まだまだございましたけれど、

その時間が取れなかったことだけが、
心残りでございます。

このお正月は、さて、
どれだけ映画が観られるか不明ですが、
松の内が明けるまでに新年のご挨拶を申し上げ、
映画ブログらしい記事をアップしたいと思っております。
来年もどうぞよろしくお願い致します。

では、
皆様もどうぞ良いお年をお迎え下さいませ。
良き映画との出会いが訪れますよう、
お祈りして今年の締めとさせていただきます。

有難う御座いました。

 

                        月光院璋子

 


★12月下旬の映画感想メモ

2008年12月30日 | ■2008年 12月の映画鑑賞
●「Jack (ジャック)」
●「I AM Legend (アイ アム レジェンド)」
●「ひきこさん」
●「Get Smart」
●「」・・・・ホラー映画のタイトルを失念 


●「007 カジノロワイヤル」
●「007 慰めの報酬」
またまた「慰めの報酬」を観る前に、「カジノロワイヤル」を見直して、結局2本続けてまた観てしまった!続き物なので、その方がより面白くなります。新作の「慰めの報酬」をご覧になられるときには、前作をおさらいしてからご覧になることをおススメします。ホント、ニュー007にはなかなか魅せられてしまっています。

●「迷宮の女」

ブログに別立てでご紹介したので、そちらをご覧下さい。

●「スリーピー ホロウ」

ときどき見たくなるから不思議です。
ジョニー・デップって、ユニークな役柄に挑戦してきている俳優ですが、こうした映画を観ていると意外とワンパターンかも・・・という気になるから不思議です。

●「穴(Holes)」

別立てでアップしたいと思いながら、放置状態。たまに観ると、やっぱり面白い。素直に楽しめてしまう映画です。
http://www.movies.co.jp/holes/

未見の方は、冬休みにご家族でお楽しみください。


●「トリコロール 赤の愛」http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD16649/story.html

深読みしようと思えばいくらでも深読みできるのが、ポーランド映画、キェシロフスキ映画という気がします。ポーランド映画を背負っていくはずの惜しい監督を亡くしましたね。トリコロールはこの赤の愛だけ未見だったのですが、何となく食指が働かなくて、今回が初見となりました。ポーランド映画は苦手という方も、この俳優の存在感には魅了されるのでは?というのが、ジャン・ルイ・トランティニャン。彼が、やはり良かった。


●「殺人の追憶」
http://www.wowkorea.jp/profile/300012.html

wowowで見たのですが、
韓国ドラマはスルーする私ですが、
映画は侮れないと思いました。


●「アナライズ ミー」

Harold Ramis (ハロルド・レイミス)監督作品。説明の必要のないお二人の共演傑作コメディ。というか、ハートフルなコメディです。ロバート・デ・ニーロと共演してこれだけいい味を出しているビリー・クリスタルはなかなかですね。このコンビの二作は安心して楽しめるし、たまに観るのですが、何度で観ても笑えて気持ちが温かくなるから不思議。


●「Man of the Year」(邦題「ロビン・ウィリアムズのもしも私が大統領だったら・・・」)
観たかった映画をやっと観ました。オバマもマッ青の選挙戦ギャグには爆笑させられたこの映画、製作が2006年なので、オバマ選対はこの映画のファンだったのかもしれませんね。同じ台詞、同じスピーチ、アメリカの有権者もさぞかし笑えたのでは。クリストファー・ウォーケンとロビン・ウィリアムズの共演というのが、何とも新鮮でした。


●「ザ シューター」

これを見るのは二度目。一昨年の映画ですが、今年見たアクション映画ベスト3に入れたいくらい面白い。アントワーン・ フークア(Antoine Fuqua)監督作品はなかなか見せてくれます。スワガーを演じた主演のマーク・ウォールバーグ(Mark Wahlberg)は、最近になってやっと存在感を示すようになってきたかなァと感じる個性派の俳優ですが、最新作の『ザ ハプニング』(The Happening)はすっごくつまらなかっただけに、本作が懐かしかったです。


●「パーフェクト ストレンジャー」(原題「Perfect Stranger」)

ブログで別立てでアップしましたので、そちらをご覧ください。


●「赤穂義士」

たまたまTVで見た初めて見る忠臣蔵映画。役者のほとんどが誰なのか分からず、分かったのは数名。大石蔵之助は、何と進藤栄太郎。そのくらいは分かったのですけれど・・・・、見ていたら、いきなり浪曲がべべべん、といった感じで挿入されていて、もうびっくりしてしまいました。いったいいつの忠臣蔵なんだァ(>。<)と思いましたが、あまりに昔の映画でこの辺の邦画になるとほとんど分からない・・・・。ネットで検索したら1954年制作でした。
浅野内匠頭役だった俳優、誰だったか・・・



「迷宮の女」

2008年12月28日 | ◆マ行

2005年 フランス映画
監督:ルネ・マンゾール

http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=5932



(多重人格の殺人犯を演じてみせたシルヴィー・テスチュ)

パリで起こった無差別連続大量殺人事件。
殺人現場にはサイコロが転がっており、幾つかの死体は何故かその場から消え去っていた。犯人として逮捕されたのは、クロードと名乗る若い女だった。本作は、クロードが逮捕されて病院での現在進行形での取調べと彼女の逮捕に至るまでの1週間が交互に展開されるサイコサスペンス風ミステリー。
秀悦な作品に仕上がっているので驚きです。

クロードと名乗る犯人は少年といってもいい風貌の中性的なシルヴィー・テスチュが好演。彼女は自分をクロードという男だとおもっいる精神病患者なのか、あるいは若い男のフリをしている知能犯なのか。精神疾患なら罪は問えず治療の対象となるが、知能犯なら死刑が予測される重罪犯。
ところが、その見定めが出来ない・・・・・

容疑者クロードに翻弄される関係者。
以下のようにいろいろの人格が入れ替わるのだから、無理もありません。



「わたしは、アリアンヌよ」
「何も話すことなんかないわ」

「ぼくは、テゼだよ。」
「クロードのこと、何も話しちゃいけなんだ。怖いんだもん」
「でも・・・」

知能犯で仕切り屋のクロードにも出てこられるとマズイ存在や人格(人間)がいるらしい。それがミノトールという人格。



無邪気な少年テゼになったり、大人の女性マリアンヌになったり、知能犯的なクロードになったりするが、全部で7人という多重人格が疑われる容疑者に翻弄される中、
担当がブレナックという医師に新しく変わったところから、
本作は、ブレナックVSクロードという構図で
織り込まれた糸を辿りほぐしていくように展開されていきます。
が、ブレナックに部が悪いように見えるのは、情報のなさ。


(精神分析医ブレナックを好演したランベール・ウィルソン)

それぞれ入れ替わり立ち代り現れる人間を相手に、それぞれの人間関係(力関係)を探ろうとするブレナックですが、微妙なところになると人格が変わって別の人格が現れるのだから、分が悪い。
焦燥感を強めるブレナック。
そんな彼を逆に分析していくクロード。

「あいつらは、何も知らない。全部で7人いるけど、皆別の人格じゃない。皆別々の人間なんだ。あんた、誰?僕の担当医になるの?あ、そう。僕は構わないよ。あんたが耐えられるならね。」という風に、クロードは煙草を吸い足を組み、相手を挑発する。

こうした多重人格が疑われる容疑者に対して、ブレナックは、全ての人格は演技だと思うようになるのですが、多重人格を産んだ元の人格に迫ろうとすると、細腕の少年のような女が突如凶暴な人格となり彼を襲うのですから、たまらない。
自分の二倍以上もあるようなブレナックを持ち上げて首をしめようとするクロード、いやそれはミノトールか。
クロードは拘束されます。



演技か、多重人格か。
他の人格を生み出した元の人格に迫ろうとすると、クロードはパニックを起し別の凶悪な人格に入れ替わることに気づくブレナック。
子供のときのクロードに何が起こったのか。

この後、ブレナックは縛られた腕が痛いと泣いて懇願する人格にほだされて手錠を外し、まんまとクロードに逃げられてしまいますが、画面は逮捕前の時間軸に切り替わる。起承転結的予定調和のミステリーだと思っていると訳が分からなくなってしまいそうですが、丹念にキーパーソンの言動を抑えていくと、構図が見えてくる仕掛けになっている気がしました。

病院の窓を体当たりして割って逃走するクロードは、まさに凶暴さを秘めた知能犯そのものですが、そのクロードを執拗に追ってきた刑事マチアス・・・・すさまじいエネルギーです。
「あいつは、毎回7人殺す。今週の被害者は6人だ。だから、今週あと1人殺すはずだ!」という感じで、マチアスの精神状態はクロードとシンクロ状態。


(刑事マチアスを熱演するフレデリック・ディーファンタール)

この刑事マチアスを熱演しているのはフレデリック・ディーファンタールという俳優ですが、油絵の具をキャンバスに描き殴っているときの狂気は見ごたえ十分でした。

映画は、現在とクロード逮捕の1週間前から逮捕当日までの時間軸が入れ替わり、さらに現在の心理分析と診察のためのクロードの過去の追跡がめまぐるしく交差していきますが、映画半ばでこの刑事マチアスの時間軸だけがおかしい・・・・ということに気づかれた方は、ラストのどんでん返しに納得されると思います。

本作は、ギリシャ神話に馴染みのある方なら
謎解きを楽しめるかもしれません。が、
扱われている題材が決して明るいものではないので、
ちょっと沈鬱な気分になってしまうかも。

本作はミノタウロス(牛頭人身の獣人)の神話がキーですが、ご参考までに、以下に簡単にご紹介させていただきますね。
クレタ島のミノス王の妻がポセイドンから預かった雄牛と交わって産み落とした息子が、ミノタウロスです。そのミノタウロスを閉じ込めた迷宮を「ダイダロスの迷宮」といいますが、ミノタウロスは成長するにしたがい乱暴になり手に負えなくなったため、ミノス王はアテナイから追放されていた有名な職人ダイダロスに命じて迷宮(ラビュリントス)を建造させて、そこにミノタウロスをを閉じ込めるのです。
その迷宮と、

ミノタウロスの食料としてアテナイから9年ごとに少年と少女を7人ずつ生け贄とされた話と連続殺人事件を重ねているわけですが、
このミノタウロスを倒すのが、アテナイの英雄テセイウス。
彼はラビュリントスに侵入し脱出不可能と言われたラビュリントスから、ミノス王の娘アリアドネからもらった糸玉によって脱出します。
クロードの中で生まれた面々の中にその名の少年がいますが、そこは騙されました。彼が活躍するのか・・・と深読みしてしまったからですが、彼のように他の人物もこうしたギリシア神話からネーミングされているので、本作はこうしたギリシャ神話の悲劇をベースにし、現代のミノタウロスと化した人間の背景にある悲劇を重ね合わせた作品といえるでしょう。

時間軸を替えて重ね合わせることにより、
映像そのものを「迷宮」にしたルネ・マンゾール監督に脱帽ですね。
ラストのどんでん返しをお楽しみください。

 


「パーフェクト ストレンジャー」(原題「Perfect Stranger」)とジョヴァンニ・リビシ

2008年12月21日 | ◆ハ行&バ・パ・ヴ行

このスリラーは、以前にも取り上げた気がするのですが、今回は、主演のハリー・ベリー(Halle Beerry)ではなく、またチョイ役だったブルース・ウィリス(Bruce Willis)でもなく、ある俳優を取り上げたいなあと思ったのでアップしました。

その前に、ちょっとハリー・ベリーに言及。



(現在 42歳)

『X-メン』シリーズも終わってしまいましたが、ハルー・ベリーがこうした人気作品に出演するようになったのは最近ですよね。彼女のデビュー後初の評価されることになった作品が、テレビ映画『アカデミー 栄光と悲劇』とのことですが、私はいまだ見ていないので知らないのです。が、そのとき33歳だった彼女の活躍は、まさに30代半ばから。そういう印象が大きいですね。



ボンドガールに初めて黒人女優が起用されたということで評判になった007『ダイ・アナザー・デイ』のときも35歳。いまや随分昔の映画のように感じられますが・・・・・、そこで一気にブレイクしたハリー・ベリー、映画ファンの間ではその前作にあたる映画『チョコレート』(原題「Monster's Ball」)での体当たり演技が注目を浴びていました。

このように30代に入っていきなりブレイクし活躍し始める女優というのは珍しいかなと。以後、ぐんぐん輝きを増して『キャットウーマン』(「Catwoman」)で見事な脚線美を見せたときには38歳。もうじき40歳というときで、本作では41歳。

エステや整形をして若さを維持していると言われる女優も、白人の女優の場合、この頃になるとだいぶ苦しい。結婚や出産を体験している女優さんだと、若い頃のイメージではやっていけず役柄もかなり変わってきます。けれど、このハリー・ベリーは、この頃から俄然美しくなっているぞと。しかも、自信が放つ輝きのせいで若返っている気さえします。ファンには怒られるかもしれませんが、メグ・ライアンタイプの女優と実に対照的ですね。

ハリー・ベリーは白人の母とアフリカ系の黒人の父を持ち、人種的にアフリカ系黒人と呼ばれているようですが、ブラックパンサーのような肢体は無論本人の大変な努力もあるのでしょうが、年齢を感じさせず実に見事ですよね。
そして年齢と共に増してきた知的な輝きが、彼女の若さの秘訣かなと。高齢出産にも関わらず、ますます若くなり、いまや繊細な役柄を演じると実にチャーミングです。そんな彼女を起用した本作ゆえに、ただのスリラーでは終わらなかったとも思えます。

監督、ジェームズ・フォーリー(James Foley)!
さすがに精神分析医になりたかったという監督です。
ハリー・ベリーの表情も、実に繊細な表現でした。

が、今日、ご紹介したいのは、
そんな彼女の同僚役で出演しているジョヴァンニ・リビシ(Giovanni Ribisi)の方なんです。

本作のラストのどんでん返しのどんでん返し。そこまで観客をぐんぐん引っ張っていくのは、やはり脚本や監督の演出の冴えともいえるでしょうが、個人的にはこのジョヴァンニ・リビシの功績は大きいと思う私。ラスト、強権的な男性像をちらっと出してみたかっただけなんでしょうが、それが本作の悲劇性を高めたとも言えるので、彼のその繊細な演技に拍手。

主演級のタイプには見えない俳優ですが、なかなか計算された表情を作る俳優だなあと以前から注目している一人ですが、このスリラーを見るのは二度目か三度目ながら、心憎いほどの繊細な演技でハリー・ベリーを上回っていたように思えますね。まだ若いけど。

1974年生まれなので、いま34歳。
本作では、33歳ということになりますが、ハリー・ベリーが7歳も年上だとは思えないほど、このジョバンニの存在感はなかなかでした。脚本もいいけれどォ・・・(笑)

得がたい俳優だと思いますね。
まだ若いけれど、今後がとても楽しみな俳優です。


本作については、以下、ご参考までに。
  ↓
★http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD11164/
http://www.so-net.ne.jp/movie/sonypictures/homevideo/perfectstranger/


★12月中旬の映画鑑賞メモ

2008年12月16日 | ■2008年 12月の映画鑑賞

●「地球が静止する日」(キァヌ・リーブス主演のリメイク版)

(冒頭、期待感を抱かされた分、怒りたくなりました)  

つまらなかったァ・・・・
鉄人28号ロボットがバットマンロボットになっている!
51年度版の方が面白い。

 

●「バーン アフター リーディング」(「Burn After Reading 」)

ブラッド・ピッドの猫にゃんにゃん姿は必見かも。
そのにゃんにゃん姿とおバカな無垢さが可愛かった♪

 

●「007慰めの報酬」

予想以上の出来だったので、ブログに即アップ。

●「王将」

古い日本映画。戦前の坂田三吉像ってこんなだったのかと感慨深かったです。

 

●「パリ、テキサス」

なつかしかったです。が、
やはり退屈虫が出てしまったような・・・・
昔観たときは、ナスターシャ・キンスキーの表情に目がいったものですが、今回は、徹頭徹尾ハリー・ディーン・スタントンの方に目がいきましたね。

 

●「リヴァイアサン」

ううっ・・・・

●「ヴェロニカ・グリン」

泣けました。 ブログに別立てでアップしますね。

 

●「自虐の詩」

涙腺が思わずゆるんでしまった。
ラストのモノローグが不要かな。

●「ネヴァー・ダイ・アローン」

あっという間で、結構じっくり見てしまった。

●「アンブレイカブル」

なかなか面白いので、ブログにアップ。

 

●「消えた天使 The Flock」

うー、思わずブログにアップしています。

 

20日までに観た映画をさらに追加していきます。


「007 慰めの報酬」(原題「Quantum of Solace」)

2008年12月14日 | ◆ナ行

冒頭のいきなりのカーチェイス、それも絶体絶命的なカーチェイスには、思わず肩に力が入ってしまいました。まるで、いきなりジェットコースターに乗せられた感じで観客は007の世界に突入です。

ダニエル・クレイブ(Daniel  Craig)がジェームズ・ボンドに起用されてから、007シリーズは、他の大型エンターテイメントのアクション映画と同じテイストとなりました。
あの『MI』シリーズと同じ次元の映画になったなあと。

以前の007は事前に約束事(セットといいストーリーと言い、その馬鹿馬鹿しさを楽しむというお約束事)があり、それを踏まえないと、とても観られたものじゃない漫画映画で、そこが面白かったわけですけれど、ダニエル・クレイブの007は、そうした前提なしのアクション映画になった分、緊張感のあるアクション映画が好きな私としてはなかなかいいぞと。

製作者関係者はどうやってダニエル・クレイグを口説き、
また映画に対してうるさいダニエルはどんな条件を出して、
漫画的映画007を映画的映画007にしたのだろうと、
前回では想像する楽しみもありましたが、
いよいよ映画的映画の007が似合ってきたダニエル・クレイグ。
本作はその期待を裏切らずさらにパワーアップ。
それほど、面白かったです。


監督は、前作のマーティン・キャンベルに代わって、マーク・フォスター。ドイツ人の監督ですが、アクション映画では名前を聞かないですよね。この監督は、ヒース・レジャーファンとしては銃で自殺するシーンが印象的だったあの映画、ハル・ベリーの体当たり演技で主演女優賞をとったあの『モンスターズ ボール(Monster's Ball)』(邦題「チョコレート」)の監督であり、また、ジョニー・デップ主演で撮った『ネヴァーランド』(原題「Finding Neverland」)の監督です。
人種差別を通して人間の心の頑迷さや弱さを、親子の絆や葛藤などを通して人間の孤独や弱さを、とても繊細に描けるヒューマン派&社会派の監督といったイメージの監督ですが・・・・、
どういう事情で007を撮ることになったのでしょう。

ネットでちょっと調べてみたら、ダニエル・クレイグが交際していたお相手がドイツ人の女優ハイケ・マカチュ(Heike Makatsch)なので、そのときにご縁ができたのかもしれないなあと。
ダニエル・クレイグとは同世代なので意気投合したのかもしれないなあとも。無論、委細は分かりません。(苦笑)

ちなみに、こちらがハイケ・マカチュ。
  ↓
 
(007とは関係ありませんが、ご参考までに)

製作者と脚本担当者、そして音楽監督には、
前作『カジノ・ロワイヤル』と同じ名前が上がっていましたので、
いい意味でチームワークが良かったのだろうなアと思える出来。
ホント、なかなか”見せてくれる”映画でしたよ。

さて、気になるボンドガール、
何となく前作のエヴァ・グリーン(Eva Green)とタイプが同系の、

オルガ・キュルリレンコ(Olga Kurylenko)。

映画
『ヒットマン(HITMAN)』でニューヒーローとしての魅力を放ったティモシー・オリファントとともに新鮮な魅力を放った女優ですが、名無しのエージェント47の同行者となった売春婦役でした。アイラインが溶けて目の周りが真っ黒だったのが印象的。
東欧の名前は耳慣れないせいか、本名のウクライナ語名も分かりづらい。オーリハ・コスチャントィーニウナ・クルィレーンコ。オリガ・クリレンコという紹介もあり、こんな風に名前が統一されないのって、国際的に活躍する上でマイナスにならないのでしょうか。

ホント、エヴァ・グリーンと感じが似てました。お色気のボンド・ガールとは一味も二味も違う存在で、本作に深みを持たせる役柄。
ちなみに、前作でジェームズ・ボンドが愛した女性役を演じたエヴァ・グリーンは、こちら。

 
(前作のボンドガールのエヴァ・グリーンです。ボンドが愛し失った女性役)

彼女、映画『ルパン』にも出演していたのを思い出しました。あのルパン役の男優はイマイチでしたけれど、やはりエヴァはヨーロッパの香りのする女優ですね。

本作は彼女の死を激しく引きずるボンドの内面とリンクするハードボイルドです。
そんなボンドの胸のうちを理解するM、
ボスである彼女との信頼関係の醸成もまた実にスリリングでした。それほそまでボンドのハートを射止めた女性役ですから、
ボンドガール的女優ではダメなわけで、
アメリカのハリウッド女優と雰囲気が違う女優の起用は正解でしたね。彼女がフランスの女優だったように、
本作ではドイツの女優の起用。
新シリーズのボンドガールは
ヨーロピアンイメージでいくのかも。

007といえば、
無論敵役の俳優もご紹介しないといけないですよね。
今回は、こちらのマチュー・アマルリック(Mathieu Amalric)。

この画像では007の敵役をイメージするのは難しいですが、この笑顔の彼が映画ではどんな悪役として存在感を見せているか、乞うご期待です。

ちなみに、
前作の007の敵役を覚えていらっしゃるでしょうか。

そう、このル・シッフルという男。存在感がありました!
まだ若いジェームズ・ボンド一人ではとても攻略できそうになかったですもんね。英米仏諜報部提携の情報工作員総出でヤット倒せるかもしれないという、怖さがありました。しかもボンドは手痛い犠牲をも払うことになってしまった・・・・

ダニエル・クレイグのニュー007では、敵役としてそれほど存在感のある、しかもル・シッフル役にマッツ・ミケルセンという新鮮な俳優が起用されたということが、勝因の一つのように思います。

このマッツ・ミケルセン(Mads Mikkelsen)は
デンマークの俳優です。

ダニエル・クレイグの007第二弾となった本作『慰めの報酬』も、そこは同様でとっても楽しめました!



イギリス諜報部の顔Mは、本作でも彼女。イギリスが誇る名女優、ジュディ・デンチ(Judi Dench)。この役、はまり役ですね。
74歳、まだまだ頑張ってもらえそうです。
他の出演者もご紹介したいのですが、それは公開後に画像付きでご紹介したいと思います。

一般上映は来春。もうじきです。
楽しみにお待ちください。

★ご参考までに。http://www.sonypictures.jp/movies/quantumofsolace/

 

 


「消えた天使」(原題「The Flock」)

2008年12月12日 | ◆カ行&ガ行

2007年 
監督アンドリュー・ラウ

 

これを観るのは三度目です。先行上映で一度、二度目は英語版。今回が字幕付きで三度目。

見れば見るほどやりきれなさ以上に怖さを感じるのは、こうした映画が製作される背景に、映画以上におぞましい現実があるせいかもしれません。

原題の「The Flock」というのは、性犯罪者として登録されている人たちの事を指す言葉だと知ったとき、思わず唸らされたものです。
flockというと、通常は「群れ」といった訳語に出会います。羊の群れ、渡り鳥などの群れ、そこから群集なども意味しますが、牧師さんに対置させてキリスト教信者の団体を指したり。
それが、なぜ「性犯罪者のリスト」になるのかと。

言葉はいろいろなイメージを喚起するので、隠語や俗語もそのイメージから発展したものが多いけれど、さすがにこのflockには唸らされました。

本作の監督は、さすがに映像にはこだわりがある監督だと映像を眺めながら思いましたが、風景一つとっても、繰り返されるそれらの風景も実に重苦しくてやりきれなかったですね。

リチャード・ギア扮する性犯罪保護監察官の心象風景であり、こうした犯罪のやるせなさを象徴する風景でもあるからですが、たまらない映像でした。ラブロマンスの中で映し出されるなら、また違った意味合いを持たされ、場合によっては「美しい」とさえ感じるかもしれない風景かもしれない。けれど、本作の文脈の中で切り取られた風景というのは、登場人物の心を映し観客の心を映すものとなったとき、実に怖いものでもあるということを痛感させられます。

さて、本作では、
冒頭のリチャード・ギアの心象、その闇と光が病的なまでの切迫感でドラマに併走します。そんな彼を現実に引き戻し、映画の中でも「現実」という次元を担保しているのが、彼の部下でもあるこちらの女性捜査員。

彼女の存在は観客の目線を安定させる唯一の存在。
彼女なくしては、わたしたちはリチャード・ギアの心の闇、葛藤、その苦しさに飲み込まれていってしまう・・・・
クレア・キャサリン・デーンズ(Claire Catherine Danes)という女優ですが、ビレ・アウグスト監督の地味な映画『レ・ミゼラブル』(「Les Misérables」)が彼女を最初に見た映画で、印象に残っているのは、『めぐりあう時間たち』(「The Hours」)です。

本作に出演している俳優たちの多くは若いのですが、彼らの熱演と脇を固めている俳優たちが皆、目立たないけれど硬派なイメージの俳優や女優だったので、リチャード・ギアが浮かないで済んでいるかもしれません。それほど、リチャード・ギアは難しい役柄だったのではないかと。



マット・シュルツ(Matt Schulze)は、
やはり血が似合いますね・・・・・



ラッセル・サムズ(Russell Sams )は、
こういう映画にぴったりの俳優で・・・・

特筆したいのは、こちら。
ケイディ・ストリックランド(KaDee Strickland)。
凄みがありました・・・・・

映画としてはキャスティングが良かったと言えますが、
本作が、暗くて重いアメリカの現実を現した問題作であるという、その内容を問題にすべき映画だと第一義的には思います。

性犯罪の現実と、その背景と対策を、
対岸の火事と思っているフシがある日本・・・・・
アメリカの実態は驚くべきものですが、
加害者の人権が偏重され、子供や未成年者に対する暴力的性犯罪を犯した者に対してプライバシー保護が優先されているような日本でも、こうした性犯罪は増えているわけです。
犠牲者のことを思うと、
鉛を呑み込んだような思いになります。

性犯罪者は「集団強姦」「単独強姦」「わいせつ」「小児強姦」「小児わいせつ」の5つの類型に分類され、同一罪状と他の罪状についての再犯率の調査の結果、同一罪状の再犯では、強姦・わいせつ共に、成人対象の性犯罪より小児対象の性犯罪の再犯率が高いことが分かっているそうです。
「集団強姦」は再犯率が低く、他の罪状の再犯率については、「わいせつ」の再犯率がもっとも高くその他類型の再犯率はほぼ同程度とのこと。(保護観察者等等に対する平成15年までの追跡調査)

子供を持つ一人の親として、
こうした犯罪がなくなることを祈念してやみません。

監督のアンドリュー・ラウが切り取ったアメリカ・・・・
本作は、そうした映画でありながら、同時に、人間がいかに壊れやすいものであるかということをわたしたちに投げかけているように思われました。他人事ではないということです。映画で描かれたような暴力的性犯罪を憎むのなら、家庭をしっかり守ることですね。

夫婦相和し、子供たちが安心して暮らせる家庭にする。数分に一組が離婚する時代ですが、そんな脆弱な家庭から暴力をなくすには、もう少し隣人に対しての配慮が求められるのでは・・・・
暴力といかに向き合うかという自衛の精神を育んでいくことも、
いまや親の努めだろうと思います。

 

 


「アンブレイカブル」(「Unbreakbale」)

2008年12月11日 | ◆ア行

●「アンブレイカブル」(「Unbreakbale」)

2000年
監督 M・ナイト・シャマラン(M. Night Shyamalan)

『シックス センス』(「The Sixth Sense」)『サイン』(「Signs」)『ハプニング』(「The Happenning」)と、正直どれも肩透かしを食らった感じのつまらなさを感じたこの監督の映画の中で、本作はサミュエル・L・ジャクソン(Samuel・ L ・Jackson)が良かったという記憶があった作品。


(列車の乗客の一人というチョイ役。期待させる出方でしたが、他の登場人物同様にほとんど意味を持たされていません。レズリー・ステファンソン。Leslie Stefanson)


(冒頭のこの列車内でのシーン、座席の隙間から人物を映すというアングルが続く、心憎いのですけれど・・・・・撮影を担当したエドゥアルド・セラのセンスでしょうか)

この監督作品の中でブルース・ウィリス(Bruce Willis) 主演でストーリー展開が良かったのは『シックス・センス』かなと。本作もラストのどんでん返しというストーリー展開は『シックス・センス』同じで、既視感さえ抱いたほどで、カメラワークはどきりとするほど面白いシーンがあったのに、内容的には正直イマイチなのが残念です。


(ブルース・ウィリスが演じるのは、ダンと言う男ですが、以下、ブルース名でご紹介します)

大惨事となった列車の脱線事故で唯一の生存者で、しかも無傷の主人公。これってホントにホラー映画なのかと思うのは、こうした役にタフガイのイメージのブルース・ウィリスを起用していることで、ちょっと笑えるシーンが本作ではてんこ盛りです。

唯一の生存者であるということ、しかも無傷であるということは、何らかの精神的な外傷を生むものなのか。家庭内別居の妻との暮らしで問題を抱えている中年男性ながら、奇跡ともいえる事が自分の身に起こったことに彼は釈然としないものを感じて悩み始めます。なぜなら、彼には病気になった記憶がないからです。

そんなとき、彼の心を読んでいるかのような手紙がきて、
ブルース・ウィリスは男に会いに行くのですが・・・・

その男がサミュエル・L・ジャクソン扮するイライジャ・プライスという男ですが、以下本部ログでは俳優名でご紹介していきます。



コミックを子供向けと思っている客を許さず、登場人物の原画を芸術だと語るサミュエル・ジャクソンの凄みは、現在よりもこの頃がなかなかです。


(彼のこの子供時代の映像にはぞくっとします。撮影のエドゥアルド・セラのセンスには感心。子供時代の母親役はシャーリー・ウッダード


(この漫画、後でまた出てきます)

骨の形成不全という難病の子供を持った母親が、家の中に引きこもってしまわないように外に出す工夫として与えた漫画。子供はやがてこの漫画の世界と現実の世界が実は繋がっているのだという哲学を持つ大人に成長していくわけですが、



漫画オタクを超えたコミック信仰者となったサミュエル・ジャクソンのこのヘアースタイルのアンバランスさ、考えさせられちゃいます。



コミックに描かれていることは誰かが体験した真実であり、コミックには人間の歴史が書かれていると語る。ブルース・ウィリスが朝、目覚めたときに感じる空しさや悲しさの感情は、本当に自分がすべきことをしていないからだと。自分が何者かを知らないのだと語る様子は、まるでカウンセラーのようですが、


(ここ、笑ってしまいました。やっぱりホラーサスペンスじゃないですよね、この映画)

正義のヒーローとなるべき人間は、乗客全員が死亡するような飛行機の墜落事故でも死なず、全員が死亡するようなホテルが全焼した火災でも生き残り、乗客全員が死亡した列車の脱線事故のような大惨事になった自己でも一人生き残るのだ。本人が無自覚なこともある。それがお前だと審判者のように語られても困りますよね。

けれど、彼の言葉はご宣託のようにブルース・ウィリス父子の心に入り込んでいきます。
強い父親に憧れる息子と自分の道が見えないでいる中年男の心にこうしたご宣託が入り込むのは分からないではないですが、そこが怖いといえば怖いけれど、それでホラーサスペンスになるなら世話はない。

体を鍛えなおそうかと思って始めた重量挙げが、
何とオリンピック選手も青ざめるような記録!

それでもまだ半信半疑・・・・心の空虚さを埋めるのは簡単ではないところ、まだ理性があるわけですが、戸惑い続けるブルース。

そんな優柔不断に思える父親の姿に業を煮やした息子は、


(「パパは不死身なんだ。だから銃で撃っても死なない」と叫ぶシーン)

ここで思わずオーム真理教の信者たちのことを思い出してしまいました。尊師は解脱したゆえに浮遊できると信じ、命じられるままに相手の今生の人生を終わらせてやることが功徳だと信じ多くの人たちを殺害した信者たち・・・・彼らとそっくり。

かつてフットボールのスター選手だったブルース・ウィリスは、若いときの交通事故を契機にフットボールを断念し恋人と結婚したという過去を持っていたのですが、彼には触れた人間が抱いているイメージを映像として読み取ってしまう能力があった。恋人が彼にフットボールを止めて欲しいと願っていることを読み取ってしまったせいで、その道を断念したのでしょう。
何だかホームドラマのノリですが・・・・再起不能という嘘でその後の人生を送ってきたブルースに、サミュエル・ジャクソンは、その能力を正義のヒーローとして使えと諭します。こうなると、ホームドラマとオカルトサスペンスの競合です。



ミスター・ガラスと称されるほど体が脆い男と大事故に遭っても無傷でいられる男・・・・

サミュエル・ジャクソンは、ブルース・ウィリスの能力を確かめるべく行動し全身ほぼ骨折状態となって病院に運ばれますが、体の痛みよりも確信できた喜びの方が大きい。あいつは、ヒーローとなるべき男だと。
そして、そこのリハビリで彼の妻ロビン・ライト・ペン(Robin Wright Penn )と遭遇。こうなると、たとえ偶然でも運命を感じるものなのでしょう。俺とあいつは繋がっているのだと確信するわけです。


(「あんたが、彼からフットボールを奪った女か」という台詞、いかにブルースにめり込み過ぎかを物語っています)


(意味不明の言葉に、???となりながら、なぜフットボールが嫌いかを語り始めまる妻)

ミスターガラスとタフガイは一本の線の両極なのだと言うサミュエル・ジャクソンの哲学に示唆されて、
とうとうブルース・ウィリスは、



タフガイに変貌します。弱点は水だという言葉、いかに子供の頃にプールでおぼれかけたからと言って、二人の共通の弱点だということにどんな意味があるのかイマイチ不明ですが、
その雨の日に悪を懲らしめ弱きを助けるヒーローになるべく出かけるブルース。

一般人でありながら、そんなことしちゃっていいのかなァ・・・・
という突っ込みはなしにして、
翌日の新聞では雨合羽姿のヒーローが。

ヒーローとなった父親に驚愕する息子。
スペンサー・トリート・クラーク(Spenser Treat Clark)という子役ですが、どこかで見た顔だと思ったら、スリラー向けの子役なのか、『隣人は静かに笑う』というスリラーにも出ていた子役です。

かくして、朝に悲しい気分を味わうこともなくなって、いまや「友人」として彼のパーティに出向くブルース。

ここでの母親の台詞が意味深です。
そして、
ラストのどんでん返し(と製作者側が意図している)・・・・


(このときのサミュエル・L・ジャクソンの表情は、必見ですね)

ということで、
これをサスペンスホラー映画とは、とても言えないわけです。
本作では力が抜けるほど全然良くないブルース・ウィリスに代わって、今回見てもサミュエル・L・ジャクソンが一人存在感を示していたように思えました。


52歳にもなった男(本作でサミュエル・L・ジャクソンは52歳)が、漫画のヒーローの存在をあんなふうに哲学したら、もう完全にイッチャッテルことになるけれど、そういう風に感じさせないでラストのどんでん返し(製作者側にとっては、どんでん返しのつもり・・・)まで引っ張っていく存在感は、サミュエル・L・ジャクソンくらいかも。

それにしても、ブルース・ウィリスとの俳優としての個性での相性がいいとはとても思えないのに、この二人、『パルプ・フィクション』(「Pulp Fiction 」)『ダイ・ハード3』(「Die Hard: With a Vengeance」)に引き続いての共演。そんなところに一人勝手に感心しながら観ちゃいましたが、精神疾患というのを落ちにしていいのだろうかとイマイチ、「そんなこと、途中で分かるだろうに」と、その手軽さにはやはり不満が残りました。


 


★12月前半の映画鑑賞・・・(1)

2008年12月08日 | ■2008年 12月の映画鑑賞

●「ゴーストシップ」(2002年 監督スティーヴ・ベック)


http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD34057/

昨夜、娘が、「これ、悲しい映画なんだよね。一緒に見よう」と言うので、見ることに。何だか・・・なァという印象は以前と同じでした。



●「禅 Zen」(2008年制作 監督高橋伴明)


http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD13457/index.html

先行上映会にて見てきました。
後日アップしたいと思います。

●「ケイブマン(洞窟男)」(原題「THE CAVEMAN'S VALENTINE」)
2000年 監督キャシー・レモン(Kassi Lemmons)

http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD1810/index.html  

NYの郊外の洞穴でホームレスとして暮らすサミュエル・L・ジャクソン(Samuel・L・Jackson)扮するロミュラスが、凍死体の青年が実は殺されたのだと考え犯人を暴き出そうと孤軍奮闘する。
そのときいつも妄想の中で出てきては彼を苦しめる魔王的存在のの敵とその事件の犯人が重なり合う。けれど、この映画の見どころは、そうしたミステリ-小説を原作としているからといってミステリアスな展開や彼の探偵ぶりにあると思って見ると、おいしいところを見逃してしまいますね。委細は別立てのブログをご覧になってください。

●「ミラーズ」(原題「Mirrors 」)
2008年 監督アレクサンドル・アジャ(Alexandre Aja)

http://movies.foxjapan.com/mirrors/

面白かったです。ブログにアップしたかったのですが、
まだ公開されていない、それもスリラー映画なので、
拙ブログでのご紹介は月末頃にアップしたいと思います。

 

●「実録ブルース・リー/ドラゴンと呼ばれた男」
(原題「BRUCE LEE THE CURSE OF THE DRAGON」)

1993年制作 
監督フレッド・ワイントローブ、トム・カブン

とても懐かしかったです・・・
父息子二代に渡っての、まさにこれからというときの急死など、
いかに映画界広といえどもないだろうと。死因については薬物による過敏反応によるショック死という剣士報告が出されているにも関わらず、いまなお暗殺説がなくならないブルース・リー。32歳、あまりにも惜しまれる死でした。


 

●「サラエボの花」
(2005年制作 監督ヤスミラ・ジュバニッチ)


http://www.saraebono-hana.com/

ボスニア・ヘルツェゴヴィナ紛争のこと、いまどれだけの日本人が覚えているでしょう。戦争や内乱、紛争というのは、いつの時代も女性たちにこうした傷を負わせるもの。けれど、戦争はなくならない・・・・本作は、けれど、戦争映画というよりは、人間が人間である限り抱く憎しみや悲しみ、絶望と希望、そう、愛について考えさせてくれる映画です。ミリャナ・カラノヴィッチのような中年の女優ならではの演技は素晴らしい。残念ながら、ロリコン社会の日本ではなかなか制作されないタイプの映画です。

 

●「誘拐犯」

実はこの映画、お気に入りなんです。
娘といっしょに見たくて知らないふりをしましたが、
見るのはこれで3度目。

200年 アメリカ映画 
監督クリストファー・マックァリー(Chrstopher McQuarrie )


http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD32503/

やっぱり、ジュリエット・ルイス(Juliette Lewis )はトム・ハンクス(Tom Hanks )に似ているぞと今回も見入ってしまいました。
他人の空似シリーズで取り上げた気がしますが、まだだったかしら。


●「アン・ハサウェイ 裸の天使」(原題「Havoc」)
2005年
監督 バーバラ・コップル

http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=327500

タイトルと内容が全然マッチしていないので驚かされます。アン・ハサウェイのイメージチェンジのための映画でしょうか。イマイチキャスティングの違和感を感じました。経済的に何の心配もない富裕な家庭の娘たちが、退屈な日常からの脱皮を求めてトンでもないことをしでかしてしまうという内容ですが、甘っちょろい感覚に育てられた女子高校生にはありがちな危険かもしれません。ワルの男の子たちが集まる場所に行きたがる女の子には要注意かも。
サイコロを振って出た目の数だけそこに居合わせた男たちとセックスをするという冒険が、やがて集団レイプ事件ということになっていく・・・という危うい青春モノといえばいいでしょうか。

●「映画女優」(1987年 市川箟監督)


http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD17779/

これを見るのは二度目。映画館で観たときの失望感を思い出す。
今回も、やはりこれはダメだな~と思いながら見ちゃいました。これでは、田中絹代も泣くのでは・・・・

●「コクーン」(「COCOON」)

1985年 監督ロン・ハワード (Ron Howard


http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD3243/

「コクーン」シリーズは生憎と見ていなかったので、今回が最初です。制作されてからもう随分になるので、出演者の大方はもう鬼籍かなと思われたほど・・・・本作はそれほどに往年の俳優&女優たちが総出演といった感じですが、高齢となってからも映画に出演していた方たちが多かったかなと。中には、「あ、この女優(俳優)、誰だったかしら。う~ん、名前が思い出せないっ!」というのもありましたけれど、改めて、皆さん、「ああ、もう随分お歳になったのね」と懐かしかったです。中には半世紀どころか、100年近くも映画に出ているのではないかと思われるヒューム・クロー二ン(Hume Cronyn )だとかジェシカ・タンディ(Jessica Tandy)などご高齢になっても素敵で思わず見入ってしまいました。ウディ・アレン(Woody Allen)も出ていて、ああ、彼もこうしたお歳になったのねと。地球に残るただ一人の老人役というのも頷けたり・・・・。

映画はかなり冗長ですけれど・・・・
不老と不死ってこれほどまでに、超高齢となってもなお、人間の永遠の関心事なのかと思わされますが、キリスト教圏でこういう永遠の命の取り扱いの映画が制作されること自体驚きです。

★追記
いま、ネットで検索したら、ウディ・アレンだとばかり思って見ていた俳優は、ジャック・ギルフォード(Jack Gilford)でした。(>。<)


 


「コクーン」に出演している往年の俳優&女優たち

2008年12月08日 | ◆カ行&ガ行

どうしてこの映画を見損ねていたかといえば、当時流行りだった単なるSF映画だとばかり思っていたからでしょうか。
内容的には、どうということのないSF映画の一つながら、他のSF映画と違うのは、主役が老人たちだということです。

以下のお三方、どうです!
何かやらかしそうな老齢ヤンチャ紳士ではありませんか。



なので、当然本作に出演している俳優&女優は、高齢となっても映画に出演できるほどお元気だった俳優&女優たち。それだけ長年活躍してこられた俳優&女優たちということで、見ていてとても懐かしさがありました。


(左からドン・アメチー、ヒューム・クローニン、ウィルフォード・ブリムリー)

そこで、ここのブログでは、ストーリーではなく、半世紀以上にわたって映画に出演してきた彼らのお顔をアップしてみたいと思います。まずは、ヒューム・クローニン(Hume Cronyn)。


(ヒューム・クローニン、このとき73歳。2003年91歳で死去)

さすがに往年のスターです。高齢となっても存在感が凄い。
このヒューム・クローニン、愛妻のジェシカ・ダンディが亡くなったあと、再婚。これも凄いなァと!実生活のことは分からないけれど、多分人生をとことん前向きに愉しんでいたのだなあと。
その感性、意識、決断に感服させられます。


(若かりし頃のヒューム・クローニン)

宇宙人の生命力が注ぎ込まれたプールで遊んだら、エネルギーが満ちてきて、三人組の老紳士は若かりし頃のように夜遊び三昧できるくらいに若返ってしまうのですが、ヒュームは何と浮気してしまい、以下は妻に詫びを入れるシーン。



何だか実にリアルです。というのも、その妻役が実生活でも妻であるジェシカ・タンディ(Jessica Tandy)だからでしょうか。老いてなお気品を失わないこの美しさ・・・・
何だかここのシーンだけ観ると、とてもSF映画とは思えません。映画『旅愁』の数十年後・・・という錯覚を持ってしまいます。


(ジェシカ・タンディ、このとき75歳)

ジェシカ・ダンディというと、私の中では1940年代、50年代の映画に出ていた美女でしたが、彼女は、この映画の10年後、1994年に亡くなるまで映画に出演していました。まさに往年の名女優、80歳を過ぎて『ミス デイジー(Miss Daisy)』でアカデミー賞主演女優賞でした。享年85歳。実に半世紀以上も映画に出演していたのですから、やっぱり只者ではありません・・・・

二つ目のカップルはこちら。老いらくの恋というけれど、ちょっと嫌な言葉です。恋に老いも若きも関係ないぞと。



ドン・アメチー(Don Ameche )は本作のとき、76歳でしたが、1993年に亡くなりました。享年85歳。
若い頃はこんなお顔。
  ↓


個人的には、晩年のお顔の方が好きですね。
実に、好々爺然とした晩年でした。

本作では、唯一夫婦役じゃない二人ですが、

 
(グエン・バードンとドン・アメチー)

このお二人の恋を素敵だなと思ったのは、ドン・アメチーの純愛もさることながら、やはり、グエン・バードン(Gwen Verdon)のこの笑顔のせいでしょう。

いくつになっても女性らしい華のある笑顔ですね。
ドン・アメチが恋を告白したくなるのも分かるなァ。
若い頃から、笑顔が素敵な女優です。
 ↓


(これって、お宝映像ですね)


(本当に、笑顔がいいですね~)

三組目はこちらのお二人。
   ↓

(ウィルフォード・ブリムリーとモーリス・ステイプルトン)

このお二人、実に、共に老け顔なんですね。本作のときは、それぞれまだ若くて、ウィルフォード・ブリムリー(Wilford Brimley)は50歳、モーリス・ステイプルトン(Maureen Stapleton)は59歳!
なので、ちょっとびっくりしました。老人ホームに入居する年齢じゃないですよね。(苦笑)

モーリス・ステイプルトンは主役を演じる女優タイプではないけれど、まさに名脇役というタイプで、アカデミー賞でも助演女優賞をゲットしています。


(2006年、80歳で亡くなっています)

改めて彼女の経歴を見ると、ジェシカ・タンディ同様に舞台出身と言ってもいい女優さんですが、トニー賞やエミー賞などを多々受賞しているので、舞台、テレビドラマ、映画と幅広く活躍した名女優だと再認識させられます。
若い頃はこんな感じで、
  ↓

受ける印象はあまり変わっていませんね・・・
脂肪が付いておばさん化しただけという感じです。
ウィルフォード・ブリムリー(Wilford Brimley)は、
さすがに高齢となったいまはは、
こんな感じ。
  ↓



現在74歳ですが、お元気なのでしょうか。

他に、私がウディ・アレンと見間違えたのが、こちら。



若返りのプールにいくら誘っても来なかった老夫婦。三人組は、友達のバーニー(ジャック・ギルフォード)の病妻を何とかプールに入れようと誘うのですが・・・・・とうとう愛妻が亡くなってしまう。
すると、泣きながら愛妻の遺体を抱えてプールに入り、彼女の体にプールの水をかけながら「死なないでくれ、死なないでくれ」と泣くシーンですが・・・・染み入るものがありました。

この夫の役を演じていたのは、
ジャック・ギルフォード(Jack Gilford )でした。
いかにウディ・アレンのような眼鏡をかけ、彼のようなしゃべりをしていたとはいえ、ホント、見間違えてしまいました。



ジャック・ギルフォード(Jack Gilford )

本作のときは、76歳。
この5年後に亡くなっています。享年81歳。

以上の面々を中心とした老人ホームで暮らすご高齢者たちが、ひょんなことから地球外生物たる宇宙人と出会ってしまう本作。



展開の冗長さが気になりますが、ご老人が主役とあれば、無理のない速さの展開なのかなあという思いも。



宇宙人の目的がなかなか分からない時点で本作がSFファンタジーだと分からないのは、ひとえに宇宙人のリーダーを演じているのが、ブライアン・デネヒー(Brian Dennehy)だったからですね。悪役でも何でもこなせる存在感のある俳優ですから、分からないで見始めたら、ホラー映画かと思ってしまう場面も。


(宇宙人役の4人組)

本作は、心優しい宇宙人との交流を描いたSFファンタジー。
なのに、妙にリアルに感じたのが不思議です。
それは、

 

老齢となり、同年代の老人たちとホームで何の希望もないままに死を待つ生活ではなく「いくつになっても心躍る冒険にチャレンジして」「生きているいまを実感する」人生に希望を託す姿に共感を覚えたからかもしれません。

ただ、若返りの秘密が老人ホームのお隣の家のプールにあると分かったときのご老人たちの行動には少なからず心寂しくなるものを感じさせられましたけれど、老齢になったときの人間の「生きたい」「死にたくない」「若返りたい」という気持ち・・・・そういうものなんでしょうか。いわゆる≪不老不死≫への欲望・・・・

それより、私は、
このシーン、いいなあと。

相手に触れることなく愛し合うという宇宙人の愛情表現。
これ、良かったです。
そういう星なら・・・・私も行きたい。(笑)