世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

岩の上のサッフォー

2014-05-02 06:05:11 | 虹のコレクション・本館
No,130
ギュスターヴ・モロー、「岩の上のサッフォー」、19世紀フランス、象徴主義。

これは、愛する男に心を受け入れてもらえず、岩の上から身を投げる寸前の女流詩人という図なのだそうだが、これを見ると、死ぬ寸前の頃のかのじょを思い出す。

何もかもに疲れ果てていた頃のかのじょだ。これでもかと難がふりかかってきても、勇猛に挑んできたかのじょだったが、もうあのころは、裏からわたしが支えていなければ、今にもぼろぼろに崩れていきそうなほどだった。

内面のかのじょは、こんなふうな感じだったよ。どんなに美しい詩を歌っても、誰にも理解してもらえない。どんなにがんばっても、だれにも笑ってもらえない。今にも崖の下に飛びこんでしまいそうだ。

サッフォーは古代ギリシャの詩人だが、女流ゆえに、正当に評価されているとは言い難い。その作品はほとんど残っていないので、今は評価のしようがないが、女流ゆえに、必要以上に削除されたり、曲解されたりしてきたようだ。

レズビアンの語源になったという、同性愛者だという伝説も、濡れ衣だ。女性には、裏側から操作されない限り、同性愛という現象はないんだよ。同性愛というのは、異様に女性を忌避する男のみに現れる現象だ。女性は、その本質的に持っている愛の性質上、あそこまでは、男を拒否することはできないんだよ。

女性に拒否されて、よく男は逆上するがね、それは要するに、普通女性はあまりにもひどい感じでは男を拒否しないからだ。それなのに拒否されるから、男は逆上するんだよ。

だが男というのは、ときに異様に女を拒否する。それは男が本質的に持っている攻撃性を転用しているのだ。ゆえに、男には同性愛という現象が起きてしまうんだよ。

サッフォーには気の毒だが、伝説というのはなかなかぬぐいがたい。この絵にも、どこか禁忌的な色がにおうのは、同性愛者の伝説が彼女につきまとっているからだ。またそれゆえにこそ、どこか崇高な美しさをも感じてしまうのだともいえる。性別を超えた愛のイメージを、添付したくなってしまう。

かのじょのおもかげを見てしまうのもそのせいだろう。



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