世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

青い鹿②

2017-12-18 04:12:50 | 風紋


おれも仲間を守っていた、と鹿は言った。

アシメックはぼんやりと鹿を見ていた。鹿の目は月の明るい夜空のような深い青色をしていたが、その中に何かが見えるような気がした。こいつはだれだろう。

星の光が静かに降っていた。アシメックと鹿はしばしともに沈黙を抱いた。夢の中で、何かが起ころうとしていた。

だがおれは死んだ。おれはアルカラより遠いところにいく。おまえは、おれの体を食え。そしておれの角を、神にささげるがいい。そうすればおれは、おまえを祝ってやる。

そういうと鹿は、幻のように解けて消えていった。ふと背後から、またどこかで聞いたことのある声がした。

ケバルライ

その声はアシメックをそう呼んだ。

ケバルライ? それはなんだ、と振り返った途端、彼は目を覚ました。




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