その次の朝早く、ソミナは目を覚ますと、身づくろいもそこそこに、さっそく外に出て焚火を作った。家の中で囲炉裏を使っては、兄の眠りを邪魔するからだ。
昨日積んであった榾に囲炉裏の火を移し、土器の壺に水と米を入れて煮る。今日は干した小魚を裂いて入れた。そうすると魚の味が出て粥がうまくなる。
これを食べれば、兄も元気になるだろう。
出来上がった頃に、ソミナはそばで遊んでいたコルにいいつけた。
「コル、あにやを起こしておいで」
「うん」
コルは素直にうなずいて言うことを聞き、家に入っていった。いい子だ。コルはもうすっかりソミナの子だった。生まれた時からそばにいるような気さえした。あにやと一緒に、大人になるまで大事に育てていこう。だがしばらくして、コルは家から出てきて、ソミナに不安そうに言った。
「母ちゃん、アシメックが起きないよ」