日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

五月雨の加賀を行く - かがやき518号

2021-06-27 21:29:48 | 北陸
石橋を叩いて渡るつもりなら、そのまま駅へ向かった方が賢明でした。帰りの列車が出る時刻から逆算すると、さほどの余裕はなかったからです。それでも8番ラーメンに寄るという決断ができたのは、バスが頻発しているからでした。しかし、高を括ると慌てることになりがちです。駅へ行くバスはしばらく来ないと判明し、俄に緊迫し始めます。刻々と発車が迫る状況では、10分ほどの待ち時間もやたらに長く感じました。バスが来てからは順調で、発車の3分前にはホームに上がれたものの、今春の改正までは2分前だったところです。あと1分でも遅れたり、信号で長く待たされたりすれば、かなり慌てていたでしょう。薄氷を踏むかのような結末でした。

★金沢2101/かがやき518(3518E)/2332東京
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五月雨の加賀を行く - 8番らーめん

2021-06-27 20:12:41 | B級グルメ
二月の経験からしても、はしご酒は厳しかろうと思っていたところ、予想は見事に的中しました。問題は残り時間の使い道です。物件の周囲を下見しながら歩くと、片町へ戻った時点で八時を少し回りました。そのまま駅へ向かっても帯に短し襷に長しの時間が残る状況で、つい欲張ってしまうのは、自分が依然余所者だからに他なりません。飛び込んだのは橋の袂の8番らーめん、定番の味噌らーめんで締めくくります。
寺町の物件は川を挟んだ斜向かい、歩いても三分という近さです。首尾よくあちらに収まれば、最も愛用する店の一つになるかもしれません。

★8番らーめん 犀川大橋店
金沢市片町2-21-12 KDビル1F
076-232-1238
平日 1130AM-545AM(LO)
日祝日 1130AM-245AM(LO)
小さな味噌らーめん561円
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五月雨の加賀を行く - わり勘

2021-06-27 18:25:29 | 居酒屋
物件を下見するまでは、浅野川沿いの物件に傾いていたと申しました。理由の一つに挙げられるのが、駅周辺も辛うじて生活圏に入ることです。余所者が素通りしがちな界隈こそ狙い目と見ていたのでした。情報誌を見る限りでも、行ってみたいと思わせる呑み屋はいくつかありました。ただしそれらは軒並み日曜定休です。昨晩温存しておいた切り札がここで活かされます。「わり勘」が満を持しての登場です。
教祖の言葉を拝借しつつ、この店を「常連になりたい店」と形容したことがあります。教祖による最大の賛辞は「近くに住みたいと思う店」ですが、ご近所の皆様方で夜な夜な賑わう当店にどれだけ通い詰めようとも、余所者は余所者でしかありません。その立場をわきまえて、常連になれればそれで御の字というつもりでした。しかし、図らずも店の近くに住む機会が訪れようとしています。寺町の物件からは10分足らずで着くからです。
繁華街は橋を渡って徒歩3分です。しかし、日参するならここになりそうな気がします。それは取りも直さず、金沢で暮らす人々の日常が反映されているからです。よい意味での生活臭が色濃く感じられるという点で、当店の右に出るものはありません。この店の存在もまた、当地に住むという着想に至った理由の一つなのです。

前回ここを訪ねたとき、印象に残る出来事がありました。カウンターがほぼ埋まっているにもかかわらず、座敷に全くお客が入っていなかったのです。大人数での飲み食いを悪とみなす風潮の影響なのは明らかでした。ところが今夜は、カウンターよりも座敷の方が混んでいます。親子三代と思しき一行を含めて、その多くが家族、あるいはごく親しい仲の人々でしょう。「まん延防止」を口実に、当地でもつい最近まで、居酒屋に酒を出させないという無理無体がはびこっていたと聞きました。その「要請」がひとまず撤回されたのを受け、久々の外食に繰り出したのかもしれません。
一連の騒動が表面化してからというもの、お上は「大切な人」なる常套句を事ある毎に用いてきました。「大切な人」を守るため、「不要不急」の事共を「自粛」せよというのがおおよその論調です。しかしこれほど無責任な言い分もありません。「大切な人」を守れるかは各自の「自粛」にかかっており、こちらの知ったことではないと匙を投げるに等しいからです。
今ここにあるのは「大切な人」と過ごすかけがえのない時間です。しかるにそれは「不要不急」と決めつけられ、厳しい取り締まりの対象とされてきました。その代わり、大企業の利権に絡むことは不問に付され、世界的な祭典までが臆面もなく行われようとしています。強きを助け、弱きを挫く政策に言われるがまま盲従しても、「大切な人」を守り抜くことはできません。人々はそれに気付いてきたようです。

わり勘
金沢市野町4-3-6
076-244-2280
平日 1600PM-2215PM(LO)
日祝日 1600PM-2115PM(LO)
月曜定休・月一回日曜休業

一番搾り
常きげん
立山
牛すじ
茄子煮浸し
ちあゆ天ぷら
いわしヌタ
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五月雨の加賀を行く - 帰還

2021-06-27 17:55:07 | 北陸
良川駅を最後に切り上げ金沢に帰還。240kmほどを走破して、早めに車を返しました。七尾まであと三駅という中途半端な場所だったものの、さらに進むと時間が押すのは明らかでした。国鉄時代の駅舎が残るところを訪ね、きりがよいともいえたため、自分にしては潔く引き返してきた次第です。これにより、帰りの列車の時刻まで正味二時間ほどが残ります。一軒限りでは持て余す、さりとてはしごをするには慌ただしいという、帯に短し襷に長しの持ち時間ではありますが、いずれにしても一杯やってから帰ります。
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五月雨の加賀を行く - 良川駅

2021-06-27 15:29:05 | 北陸
続いて訪ねた良川駅、何かにつけて能登部とよく似た造りです。駅舎は箱型をしており、相対式のホームに沿って短い屋根が延びています。あえて違いを挙げるとすれば、間口が若干狭いのと、縦長の窓が並んでいることです。特に、待合室の窓は天井に届いています。大きな窓から日射しが注ぐ、明るくて開放的な待合室が印象的です。
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五月雨の加賀を行く - 能登部駅

2021-06-27 15:10:39 | 北陸
雨はおおむね止みました。続いて能登部駅に立ち寄ります。箱形をした駅舎の上に、敷地より少し大きな屋根を載せ、庇のように四方へ延ばした出で立ちは、鉄道いまだ華やかなりし昭和30年代頃の建築でしょうか。向かい合わせになったホームは短いながらも屋根に覆われ、大勢の乗降客で賑わった頃が偲ばれます。
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五月雨の能登を行く - 金丸駅

2021-06-27 14:22:50 | 北陸
続いては一つ隣の金丸駅を訪ねます。開業時からの木造駅舎は平成中期に建て替えられ、趣味的に見ればどうということのない代物となりました。しかし、待合室はギャラリー朱鷺と名付けられ、鉄道華やかなりし時代の写真がいくつも展示されています。この駅に対する愛着が窺われる光景です。
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五月雨の加賀を行く - 千路駅

2021-06-27 13:24:34 | 北陸
健闘していた天候がとうとう崩れ、今し方雨が降ってきました。それも、雨足がはっきり分かる本降りです。ただし、最新の予報によると三時頃には止むとされます。その可能性に期待しつつ、七尾へ向かって駒を進めることにしました。まずは千路駅に立ち寄ります。
国鉄末期の建築と思しき箱型の駅舎は、安普請にして無味乾燥です。しかし、その駅舎は立派なソメイヨシノに囲まれ、ホームの脇には立派な花壇が広がっています。加えて印象的なのは、開け放たれた待合室の玄関から燕が出入りしていることです。よく見れば、玄関の上に巣があります。あえてそのまま残したのは、遠方からの旅人を暖かく見守ろうという計らいでしょうか。殺伐としたご時世にあって心温まる一幕でした。
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五月雨の加賀を行く - 気多大社

2021-06-27 12:49:17 | 北陸
日頃から信心の浅い不届者ではありますが、経路上に格式高い寺社があるなら、挨拶がてら詣でていくにやぶさかではありません。能登国の一ノ宮、気多大社に参った記念を兼ね、お守りを一つ持ち帰ります。
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五月雨の加賀を行く - すしべん

2021-06-27 12:17:37 | B級グルメ
あってほしいときに限って見当たらず、必要のないときに現れるすしべんが、珍しく頃合いの場所に現れました。一の宮店に立ち寄ります。
すしべんを前回訪ねたのは二月です。短い間隔での再訪を生かすべく、趣向を変えて肉うどんを試しに注文してみました。かけうどんが270円、いなりうどんが330円のところ、肉うどんは500円もします。それ故に食わず嫌いを続けてきたのが実情ながら、品書きにも「おすすめ」とある当店自慢の商品です。その触れ込みに偽りはありませんでした。近所の名店「瓢箪」の肉そばは、甘辛く煮た豚バラ肉を甘辛いつゆと合わせた関東らしい味ですが、こちらでは出汁で煮込んだ牛肉と細かく刻んだ葱、蒲鉾が組み合わされます。それにより、関西風の透き通った出汁と、牛肉の出汁が調和して、一層味わい深くなるという仕掛けです。一押しのほども宜なるかなと納得できる逸品でした。

★すしべん一の宮店
羽咋市寺家町レ-53-1
0767-22-3740
630AM-2030PM(LO)
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五月雨の加賀を行く - のと里山海道

2021-06-27 10:51:11 | 北陸
何度走っても楽しめる道はあるものですが、自動車専用道の中ではここが一番かもしれません。今日ものと里山海道経由で北上し、現在地は千里浜なぎさドライブウェイです。
金沢で二日足踏みしたことにより、残る一日をどう活かすかが問題でした。昨夜の時点で考えたのは、加賀か能登かの二者択一です。前者については、尾小屋鉄道の遺構をたどってみるつもりでした。後者については、時間が許す限り北上し、限界に達したところで引き返そうという算段です。ただしいずれも是非にと思うほどの決め手には欠けました。結局能登に落ち着いたのは、天候が上向いたという事情によるところが大です。曇り空は意外に明るく、青空が広がっている領域もあって、時折日差しも注ぎます。絶好とはいわないまでも、あながち悪くはない条件です。距離は相当あるものの、自動車専用道のお陰で帰りの時間が読みやすいことも決め手となりました。だだし、半島を一周するには時間が足りず、そうしたいと思えるほどの天候でもありません。自分にとって、言うは易く行うは難しの芸当ではありますが、どこまで行くかを見極めるのが肝心となりそうです。
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五月雨の加賀を行く - 原点

2021-06-27 08:39:13 | 北陸
昨日も今日も、お櫃のご飯を一粒残さずいただきました。二晩世話になったきくのやを出発します。
初めてここに泊まったとき、六畳間は他の部屋より千円安い六千円でした。それが今では七千円になり、朝食代と駐車料金を合わせると九千円を上回ります。宿代に極力金をかけない主義の自分にとっては、異例の大盤振る舞いです。それでも迷いがなかったのは、この宿で過ごす時間に価値があると考えているからです。
金沢に住むという着想を得たときは、町家暮らしに憧れていたと申しましたが、原点となったのが当館の六畳間です。しかしながら、実行に移す過程で気付いたのは、古い日本家屋での生活が端から見るほど楽ではないということでした。毎日生活する前提で考えたとき、蔑ろにしていた現実が見えてきたとでも申しましょうか。朝食に限ってみても、この品数を自分で毎朝拵えるのは到底無理です。温かく品数豊富な朝食が、お盆に乗って運ばれてくることに対して、値段以上のありがたみをしみじみ実感せずにはいられませんでした。
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五月雨の加賀を行く - 三日目

2021-06-27 07:17:52 | 北陸
おはようございます。体力的な陰りを自覚し始めてから既に数年経ちますが、最近頓に感じるのは、旅の疲れの回復が遅くなりつつあることです。二泊以上の旅程になると、疲れが日毎に増していくのを感じます。昨晩は歯磨きをする余力もなく倒れ込み、そのまま眠りにつきました。しかるに目が覚めたのは七時過ぎ、旅先としては少し遅めの時間帯です。このようなご時世になるかどうかにかかわらず、毎週末旅から旅に明け暮れた日々は否応なく終わっていたのかもしれません。
元々の予報を思えば昨日は上出来でした。朝だけ晴れ、その後は曇るはずだったにもかかわらず、夕方まで大半の時間にわたって日が射したからです。しかし、今日の天候はよくも悪くも時期相応で、上空は分厚い雲に覆われています。昼頃から雨が降るとも予想されており、天候については多くを期待しがたいのが実情です。とはいえ、往生際の悪い自分に、潔く見切りをつけることができるとも思えません。持ち時間は余すことなく使い切ります。
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