日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

五月雨の加賀を行く - わり勘

2021-06-27 18:25:29 | 居酒屋
物件を下見するまでは、浅野川沿いの物件に傾いていたと申しました。理由の一つに挙げられるのが、駅周辺も辛うじて生活圏に入ることです。余所者が素通りしがちな界隈こそ狙い目と見ていたのでした。情報誌を見る限りでも、行ってみたいと思わせる呑み屋はいくつかありました。ただしそれらは軒並み日曜定休です。昨晩温存しておいた切り札がここで活かされます。「わり勘」が満を持しての登場です。
教祖の言葉を拝借しつつ、この店を「常連になりたい店」と形容したことがあります。教祖による最大の賛辞は「近くに住みたいと思う店」ですが、ご近所の皆様方で夜な夜な賑わう当店にどれだけ通い詰めようとも、余所者は余所者でしかありません。その立場をわきまえて、常連になれればそれで御の字というつもりでした。しかし、図らずも店の近くに住む機会が訪れようとしています。寺町の物件からは10分足らずで着くからです。
繁華街は橋を渡って徒歩3分です。しかし、日参するならここになりそうな気がします。それは取りも直さず、金沢で暮らす人々の日常が反映されているからです。よい意味での生活臭が色濃く感じられるという点で、当店の右に出るものはありません。この店の存在もまた、当地に住むという着想に至った理由の一つなのです。

前回ここを訪ねたとき、印象に残る出来事がありました。カウンターがほぼ埋まっているにもかかわらず、座敷に全くお客が入っていなかったのです。大人数での飲み食いを悪とみなす風潮の影響なのは明らかでした。ところが今夜は、カウンターよりも座敷の方が混んでいます。親子三代と思しき一行を含めて、その多くが家族、あるいはごく親しい仲の人々でしょう。「まん延防止」を口実に、当地でもつい最近まで、居酒屋に酒を出させないという無理無体がはびこっていたと聞きました。その「要請」がひとまず撤回されたのを受け、久々の外食に繰り出したのかもしれません。
一連の騒動が表面化してからというもの、お上は「大切な人」なる常套句を事ある毎に用いてきました。「大切な人」を守るため、「不要不急」の事共を「自粛」せよというのがおおよその論調です。しかしこれほど無責任な言い分もありません。「大切な人」を守れるかは各自の「自粛」にかかっており、こちらの知ったことではないと匙を投げるに等しいからです。
今ここにあるのは「大切な人」と過ごすかけがえのない時間です。しかるにそれは「不要不急」と決めつけられ、厳しい取り締まりの対象とされてきました。その代わり、大企業の利権に絡むことは不問に付され、世界的な祭典までが臆面もなく行われようとしています。強きを助け、弱きを挫く政策に言われるがまま盲従しても、「大切な人」を守り抜くことはできません。人々はそれに気付いてきたようです。

わり勘
金沢市野町4-3-6
076-244-2280
平日 1600PM-2215PM(LO)
日祝日 1600PM-2115PM(LO)
月曜定休・月一回日曜休業

一番搾り
常きげん
立山
牛すじ
茄子煮浸し
ちあゆ天ぷら
いわしヌタ
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