日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

春まだ浅い北陸へ 2021 - かがやき518号

2021-02-21 21:28:58 | 北陸
車を返したのが六時、帰りの列車が出るのは九時です。市街までの行き来を含めて考えると、実質的な持ち時間は二時間あるかどうかといったところでしょう。駆け足で二軒はしごするか、呑み屋を一軒限りにして、銭湯に寄っていくかのいずれかだろうと見込んでいました。もっとも、そのような皮算用は得てして成り立たないものです。「わり勘」に長居したことにより、はしごするどころか一風呂浴びる時間も残りませんでした。さりとてそのまま駅へ戻るのも惜しまれます。犀川を歩いて渡り、繁華街を通り抜け、香林坊からバスに乗るという顛末です。最終の新幹線で帰ります。
こちらに戻ってから知ったのは、当地でも自治体によるお門違いな「要請」が罷り通っているということです。多くの店には早仕舞いを告げる張り紙がありました。日曜という事情を割り引いても淋しげな街の様子が気になります。福井へ行く目的はひとまず果たされました。次は富山と金沢です。桜が咲くまでの間に再訪できることを密かに願います。

★金沢2100/かがやき518(3518E)/2332東京
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春まだ浅い北陸へ 2021 - わり勘

2021-02-21 18:41:11 | 居酒屋
車を六時に返したのは、それより後の返却時間を選べなかったからでもあります。物騒なご時世につき早仕舞いをしているのかもしれません。しかしどのみち六時を過ぎれば暗くなります。一杯やって帰る上でも頃合いの時間です。荷物を預け、身軽になってからバスに乗り、繁華街を素通りしてに野町へやってきました。「わり勘」の暖簾をくぐります。
報道機関がいくら不安を煽っても、人々が無闇に恐れをなすことはもうありません。行きがけに通りがかった赤玉本店でも、非常時にあってこれかと思うほどの待ち客が列をなしていました。あれには及ばないものの、当店も地元では根強い人気を誇る繁盛店です。恐る恐る暖簾の奥をのぞいたところ、カウンターは先客で鈴なりになっているようでした。しまった、まさかの満席かと面食らうも、こちらに気付いた女将から手招きされて通されたのは、一番奥に一つだけあった空席です。先客が席を立った後には、予約席の札がすぐさま立てられました。滑り込めたのはかなりの強運だったといってよさそうです。
その後もお客が切れ目なく入る盛況です。もっともそれはカウンターに限った話でもあります。こちらが暖簾をくぐった時点で、座敷はいずれも空いていました。大人数での飲み食いがあたかも悪であるかのように叫ばれて、繁華街を目の敵にする風潮も蔓延する中、盛り場から適度に離れた当店が、せめてもの憩いの場になっているということでしょうか。世知辛いご時世をまたもや実感させられますが、当店の健闘ぶりを見届けられたのは幸いです。

わり勘
金沢市野町4-3-6
076-244-2280
平日 1700PM-2215PM(LO)
日祝日 1600PM-2115PM(LO)
月曜他不定休

常きげん
立山
牛すじ
刺身五種盛
かぶら寿し
たらあら汁
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春まだ浅い北陸へ 2021 - 帰還

2021-02-21 18:19:15 | 北陸
持ち時間を余すことなく使い切り、返却時刻の3分前に営業所へ帰還。二日間の走行距離は230kmでした。福井までの往復による200kmに、ヨーロッパ軒までの往復30kmが加わるという分かりやすい内訳です。
終日晴れたにもかかわらず、後半は計算不足に些細な不運も重なって、会心の出来と言い切れるまでには至りませんでした。天候に期待していなかった前日が意外に晴れてくれたため、二日間を通じて見ると上出来ではありますが、次はこうしてみようという反省点もいくつかあります。依然として物騒な情勢が続き、北陸をいつ再訪できるかも見通せないのが実情ながら、新幹線の開業までは可能な限り機会を作っていくつもりです。
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春まだ浅い北陸へ 2021 - 石川線

2021-02-21 17:22:46 | 北陸
三時過ぎのしらさぎを撮ったところで打ち止めです。あっさり見切りをつけたのは、さらに粘っても架線柱の影が列車に落ちると分かっていたからです。残り時間をどう生かすか思案の上、石川線の電車を撮ることにしました。
思い出すのは三年前の早春です。ラッセル車の試運転にたまたま出くわすという僥倖もさることながら、夕暮れ時の情景が実に印象的でした。淡い夕日を浴びた電車が、雪山を背にした小さな無人駅に滑り込んでくる光景は、そこはかとなく郷愁を誘うものでした。田圃に積もっていた雪こそないものの、夕日だけはあの日を再現したかのようです。
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春まだ浅い北陸へ 2021 - 枕木三本

2021-02-21 14:32:41 | 北陸
昨日の今日で細呂木に舞い戻ってきました。こちらでも雪はすっかり溶けたものの、雪がなくとも絵になる場所には違いありません。必ず再訪しようと決めていた次第です。
昨日訪ねたことが教訓をもたらしました。先客がいた関係で、自身が思う理想の位置よりやや後方から構えざるを得なかったものの、先客が帰った後で前寄りに立ってみたところ、後ろから撮った方が架線柱との重なり具合がよいのです。もちろん今日も引いた位置から狙います。
もう一つの教訓があります。昨日ここで、サンダーバードと貨物列車を狙い通りに仕留めたなどと申しましたが、とんだ失敗をしていたことに後から気付きました。いわゆる前ピンだったのです。ここではエクステンダーを使い、実質300mm相当のレンズで引き付けます。しかし、撮り鉄の間ではごく当たり前の焦点距離でも、自分にとっては扱い慣れていないため、被写界深度の違いにまで配慮が及びませんでした。その結果、一見すると理想的だったにもかかわらず、拡大するや面食らうという、お粗末な結果となってしまいました。
もちろん同じ轍は踏みません。慎重に合焦させて試し撮りし、狙った位置に合っているのを再三にわたり確かめました。しかしこれはデジタルだからできることで、フィルムの時代は経験により培われた技術だけが頼りでした。仲間内で語り継がれる格言に、枕木三本というものがあります。ピントの誤差は枕木三本分以内に収めるべしという教えです。その言葉の重みを再認識する出来事でした。
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春まだ浅い北陸へ 2021 - 春江駅

2021-02-21 13:47:34 | 北陸
続いて春江駅に立ち寄ります。列車を撮るとき毎回のように訪ねているにもかかわらず、一帯を通るというと午前のことがほとんどです。西向きに建つ駅舎に日が当たるのを眺めるのは久々のような気がします。黒い瓦が北陸ならではです。
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春まだ浅い北陸へ 2021 -ヨーロッパ軒

2021-02-21 12:59:24 | 北陸
好天がそのまま続けば、とことん列車を撮り続けるのも一案でした。しかし、正午が迫る頃から次第に雲が増え、日が射したり陰ったりを繰り返すようになりました。ひとまず潮時と見て切り上げ、ここでお昼をいただきます。毎度おなじみヨーロッパ軒の出番です。
昼頃まで春江で列車を撮った後、丸岡の分店に行くのが最も多い流れです。しかし、牛ノ谷まで駒を進めたことによって事情が変わりました。最も近い春江の分店でも15km離れています。片道で30分はかかる距離です。手近なところで済ませるならば、芦原温泉の駅前にあった古い大衆食堂はお誂え向きでした。もう少し走れば8番らーめんもあります。敦賀、丸岡、そして春江と訪ね歩いた昨秋から半年経っていないことを考えると、趣向を変えてみる手はあったのです。それでも結局走ってきたのは、カツ丼の味もさることながら、ヨーロッパ軒特有の雰囲気も、自身のこよなく愛するところだからに他なりません。次にいつ福井を訪ねられるかも分からない物騒なご時世、今回の道中でも一度は寄っておきたかった次第です。
こうして店へ乗り込むと、通されたのは二階席でした。上端を半円にした洋館風の窓の向こうには、まだ分厚く積雪した奥越の山々が連なります。走ってきた甲斐はあったとしみじみ思う光景です。

ヨーロッパ軒 春江分店
坂井市春江町随応寺21-23-1
0776-51-4800
平日 1100AM-1500PM/1700PM-2100PM
日祝日 通し営業
火曜定休(祝日の場合は営業)
カツ丼930円
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春まだ浅い北陸へ 2021 - 陽気

2021-02-21 11:59:35 | 北陸
雪は一夜で溶け去りました。それとともに一変したのが気候です。昨日もおおむね晴れたものの、午後からは薄ら寒い風が吹き、冬の名残をありあり感じる一日でした。しかし、昨晩の雨を境に空気が入れ変わったのか、今日は一転穏やかです。風はなく日射しは暖か、締め切った車内ではやや暑いとさえ感じられます。遠景の霞み具合も春そのものです。この陽気でいよいよ花粉も飛び始めたか、目の痒みが辛くなってきました。日向で列車を待ちたいのはやまやまながら、今日は車内で待機します。
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春まだ浅い北陸へ 2021 - 雪解け

2021-02-21 11:42:49 | 北陸
さらに北上して県境に迫りました。牛ノ谷の直線区間を再訪します。現に福井市街にも九頭竜川の河原にも、雪はまだまだ残っていました。ところがこちらを再訪すると、雪はすっかり溶けていました。昨日訪ねた時点では、あちら以上に積もっていたにもかかわらずです。気温だけでなく日当たり、水はけといった要因で雪解けの早さが変わるのかもしれません。とはいえ、冬枯れの雑木林を背景に、直線区間を列車が迫ってくる様子は、雪がなくとも絵になります。新幹線が開業すれば、この光景も見納めです。日射しが低い今の時期に記録しておくのが吉でしょう。12時台まではこちらで粘ります。
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春まだ浅い北陸へ 2021 - 雪辱

2021-02-21 10:35:01 | 北陸
続いては丸岡から春江にかけての直線区間を訪ねます。広い田圃の只中を、上り列車が北北東から南南西へ走る線形は午前に向き、稲穂が実る時期はもちろん、雪解けの頃にも訪ねたなじみの場所の一つです。しかし、一昨年ここで痛恨の失策をしてしまいました。北陸には珍しい冬晴れだったにもかかわらず、宿を出てから悠長に行動していたのが災いし、機材を構える猶予もなく、列車をむざむざ撮り損なってしまったのです。後続に望みを託すも曇ってしまい、取り返しのつかない結果に立ち尽くすという顛末でした。あの時点では、新幹線の開業までに再挑戦することも叶わず、後年まで悔やみ続ける可能性を覚悟しました。今回雪辱できたことを幸いに思います。
田圃の雪がほぼ溶けたことについては既に述べました。ただし、線路際の法面にだけわずかに雪が残っています。必然的に選んだのは、あのとき撮り損なったのと同じ、線路側から中望遠で狙う構図です。今回は途中で曇ることもなく、特急を合わせて三本、狙い通りに仕留めることができました。短いレンズで近い距離から狙うため、ファインダー越しに迫る列車がとりわけ速く感じられます。これぞ北陸特急のです。
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春まだ浅い北陸へ 2021 - 九頭竜川

2021-02-21 08:52:27 | 北陸
大浴場付きの宿なら、朝風呂を浴びてから出たいのはやまやまでした。しかし、八時台に上ってくる特急の通過時刻が迫っていました。背に腹は代えられず見送って九頭竜川の鉄橋へ向かい、雁行するしらさぎとサンダーバードを撮ったところです。
こちらでは少なくとも三通りの構え方があるということに気付いてきました。堤の上から中望遠または望遠で狙うか、河原から広角レンズで橋の全幅を収めるかです。田圃の雪がほぼ溶けきった一方で、河原にはまだ雪が相当積もっています。まず思ったのは河原に下りてみようということでした。しかしよくよく考えると、昨日と違って雲がないため、河原から見ると横方向に間延びしてしまいます。さりとて望遠レンズでは橋しか写らず、雪が積もっていることを表現できません。その結果、堤の上から中望遠という選択に落ち着いたわけなのですが、到着があと数分でも遅れれば、そのような試行錯誤をする間もなく列車が通過していたでしょう。急いだ甲斐はありました。
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春まだ浅い北陸へ 2021 - ホテルフクイキャッスル

2021-02-21 07:31:24 | 北陸
福井の夜は思ったよりも賑やかでしたが、連休だった前回と違い、宿には余裕がありました。定宿のフクイキャッスルが空いていたため即決という結果です。
前回泊まったアズインも申し分のない宿でした。「紋や」が至近で大浴場完備、無料の充実した朝食が出て、足羽川を見渡せる部屋からの眺めも上々でした。それでもここへ戻ってきたのは、福井城址の裏手にある静かな一角の佇まいが、何物にも代え難いからに他なりません。去年は一度も機会を作れなかったため、泊まるのはこれが二年ぶりということになるものの、あたかも実家に戻ったかのような居心地は上々でした。心地よく休めたことに感謝します。
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春まだ浅い北陸へ 2021 - 二日目

2021-02-21 07:05:10 | 北陸
おはようございます。「紋や」の暖簾をくぐるのが九時になった時点で、呑み屋は一軒限りにしようと決めていました。実際の結果もその通りになりました。注文した品数はそれほど多くなかったものの、それぞれの品が一人前には多すぎるほど気前よく、おろしそばをいただく余力は全くありませんでした。とはいえ、なじみの店で散財できたのは幸いです。
店を出たとき、いつの間にやら雨が降っているのに気付きました。短い間だったとはいえ、傘をさしても濡れそうなほどに強まったため、雨宿りをしながら宿へ戻りました。しかし今日は再び晴天です。昨日と同様、ごく薄い雲を一枚隔てたかのような、淡い朝日が東の空から昇っています。昨日に続き北陸特急を追いかける一日になりそうです。
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